JAの活動:第10回JA営農・経済フォーラム
【第10回JA営農・経済フォーラム JAの実践報告③】「地域ぐるみ」を念頭に JA愛知東 河合司常務2024年10月1日
JA全中は9月11日、東京都内で第10回JA営農・経済フォーラムを開いた。テーマは「次世代総点検運動をふまえた組合員参画型の地域農業振興計画等の策定・実践」。オンラインでも中継し、会場と合わせて約200人が参加した。ここでは3JAの実践事例報告を中心に紹介する。
中山間地の農業を守るために わがJAが果たすべき役割は何か
JA愛知東 河合司常務
当JA管内の高齢化率は2020年には39%となり、全国平均よりも速く高齢化が進んでいる。JAでは地域農業の発展と組合員の暮らしを守るため、2024年度からの10年ビジョンとして農業・農村基本計画を策定し、中期計画として3カ年計画を策定している。
農業・農村基本計画では、数値目標を打ち出すことは難しいなか、▽生かせる農地を未来へつなげる▽魅力ある中山間地農業の生産力を未来につなげる▽地域振興を生かした産地振興――を掲げた。これをふまえ、中期3カ年計画のなかで具体化していこうと考えている。
当JAにおける計画策定の考え方として、組合員の声を聞くこととともに、行政や商工会など地域を巻きこんで、必要があれば関係機関とも組織をつくって策定するという方針のもと、取り組みを進めてきた。
組合員の意思を反映するために毎回アンケートを実施し、職員が組合員宅を訪問して回収率はほぼ100%近くとなっている。今年は次期計画の策定年度となっているが、今回はWEBアンケート実施を考えている。また、意見反映の場として営農、生活、金融・共済、女性部などの部門別に組合員による小委員会を設置しており、そのほかにも支店運営委員会でも意見を聞いている。加えて、県や市町村行政の関係者や、JAグループでは中央会、経済連、信連などからの意見も取り入れ計画に反映している。
現在策定をすすめる次期計画は、各部から選ばれた若手職員による検討を進めている。これは計画を自身の「自分事」として考えてもらうためであり、縦割りではなく横のつながりを意識した計画としたいと考えている。そのプロジェクトチームには11人が手を挙げて任命された。そこでの検討をもとに策定した計画案は、常勤役員や各部長などから成る策定委員会、各部門の課長などを構成員とした分科会により検討が深められることとなっている。
中期計画の進捗(しんちょく)管理は、四半期ごとに農産物の生産量などを数値化して実施してきた。 そのなかで高齢化等による部会員の減少が明らかとなり、部会員自身から新規就農者の確保が必要だとの声が挙がり、地域一丸となった担い手の育成確保に取り組むことになった。
関係機関と連携しながら就農希望者を募り、就農相談会等では就農した場合の収支イメージを品目ごとにあらかじめ示すとともに、個別の面談を丁寧に行い、受け入れるかどうかを見極めている。受入が決まった就農希望者には、農地はもちろん住居の用意など行政と役割分担しながら、「地域が責任をもって定着させる」ための支援を続けている。特に新規就農者の経営安定に向けては、月次での販売実績の検討会をJA内部で行い、適宜必要な栽培指導や経営相談を行うなど、計画的な支援を行っている。
そうした取り組みの成果として、いまやトマト生産部会では新規就農者が半数以上を占めるなど、過去10年間で100人超の新規就農者を確保した。栽培、出荷実績が良くないというデータが明らかになるとJAとして面談をして新規就農者をサポートしている。新技術に挑戦する意欲も強く、JAの役割がさらに重要になっている。
既存の専業農家を育てることも大事だが、多様な担い手とも一緒になり地場産業としての農業をいかに維持発展させるかが重要と考える。多くの人や機関を巻き込んで、JAの計画ではなく「地域の計画」にしていくことが求められている。
【第10回JA営農・経済フォーラム JAの実践報告①】「集えひとつに!!」力に JAきたみらい 高橋優常務
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