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JAの活動:第30回JA全国大会 持続可能な社会をめざして

【JAトップ座談会】組合員の「ために」から「ともに」へ 「おらが農協」が活路開く(2)【第30回JA全国大会特集】2024年10月8日

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JA全国大会のスローガンは「組合員・地域とともに食と農を支える協同の力」。JA鳥取県中央会会長で家の光協会会長でもある栗原隆政氏、静岡県JAみっかび組合長の井口義朗氏、長野県JA松本ハイランド組合長の田中均氏を招き、大会に合わせた座談会を企画した。司会は文芸アナリストの大金義昭氏。

【JAトップ座談会】組合員の「ために」から「ともに」へ 「おらが農協」が活路開く(1)から続く

司会・文芸アナリスト 大金義昭氏司会・文芸アナリスト 大金義昭氏

大金 「地域活性化戦略」については?

栗原 突き詰めると「食農教育」が基本ですね。JAの取り組みや小学校の総合学習の時間などを合わせても、これを受けた児童の数は全体の2割くらい。「小学校に農業科目を加えてほしい」と文科省にも言ったのですが、「働き方改革の最中に先生の仕事は増やせない」という。しかし、土に接して命の大切さを知ることは社会の根本です。「農業協同組合ってどういう組織?」という問いに対しても、「食と農に貢献するJA!」と打ち出したい。

田中 JAは縦割りが強すぎる。せっかく「総合事業」を展開しているのに、各事業の横連携が弱い。組合員にとって一番いいのは「ワンストップサービス」です。JA松本ハイランドでは月1回、若手職員5、6人と「組合長とのトークセッション」を昨年から始めました。今年のテーマは「横の連携」です。一昨日ある職員から、「私の名刺の表には担当業務のことしか書いていない。裏は真っ白。裏に、JAはこんなこともしていますとか、営農はここ、資材センターはここ、葬祭はここと近場(ちかば)の窓口だけでも記載しては?」と言われ、「すぐにできるじゃないか!」と思いました。仕組みも必要だけど、「同じ職員の仲間がどんな仕事をしているか」を知ることも大事ですね。

栗原 組合長と若手職員との対話では、5、6人だと意見が出やすい?

長野県・JA松本ハイランド組合長 田中均氏長野県・JA松本ハイランド組合長 田中均氏

田中 ですね。10人だとちょっと多い。人選は人事課に任せていますが、毎回、異なる職種から選んでいます。また、組織を強くするには「量と質」です。組合員の数をどう増やすか。あとは質、アクティブメンバーシップですが、日本語でいえば「おらが農協意識」。それには、組合員自身が運動に参加する仕掛けをしないと。

井口 若い人たちにも総代や理事になってもらい、意見も言ってもらいたいんだけれど、「JAが困っているなら出資しようか!」くらいしか言ってくれない(笑)。「役が回ってくるだけで、メリットが何かあるの?」と思ってしまうんですね。

JAグリーン近江の常務さんが「家の光大会」の講演で、「JAが先回りしてすべてのお膳立てを整え、組合員の仕事を取っちゃっているのではないか。だから組合員はJAに関心を持たなくなる!」と言われ、ハッとしました。良かれと思ってやってきたことが「お客さん扱い」の弊害になってきたのかな、と。

田中 私もそう思います。一所懸命に「お客さん扱い」しちゃっている。(笑)

井口 そうそう(一同笑)。でもズレてることの方が多いかな?

田中 だからJA全国大会のスローガンも、「組合員のために」ではなく「組合員とともに」なんです。うちの「支所協同活動」も「ともに」を形にする挑戦です。

JA利用は「やりがい」も分配

JA鳥取県中央会会長、(一社)家の光協会会長 栗原隆政氏JA鳥取県中央会会長、(一社)家の光協会会長 栗原隆政氏

栗原 組合員も職員も減少傾向にある中で、一人ひとりの質を上げる。「集い」の企画などで一番喜ばれるのが収穫などの農業体験です。そこを入り口に新たな組合員や「関係人口」を増やしていくのが近道じゃないか。

田中 「米価運動」華やかなりし頃は、「米価を上げろ!」の一点で組織がまとまれた。みんなが米を作っていたから。今はそうじゃない。だから、地域ぐるみで農業を守っていくしかない。組合員も准組合員も地域の住民も一緒になり、どうやって農業を守るか。

ある支所で、田んぼの「あぜ草刈り」ができなくなっている人がいると聞いてアンケートを取り、できなくなった人と「できるよ!」という人とのマッチングを図ったら、「できます」という人が26人いて、その中には農業をしていない人もいた。これからは、そういう人たちとともに農業を守っていくのかなと思いますね。

栗原 やっぱり人間のDNAには、農業体験や食農体験が組み込まれている。(笑)

田中 「農的暮らし」を求める機運はありますよね。

大金 そうした機運を、「開かれたスタンス」でJAも受け止めたい。

田中 そのステージが「地域」なんです。新規就農者が増えているところは、地域ぐるみで応援している。新しく入ってきた人が10年、20年経過して、新しい人を引っ張ってくる。そういう循環になれば、もう「自動巻き」でいける。

井口 難しいのは、若い人たちが「マークシート」か「三択」なんですよ(笑)。何をしたらいいかと問うと、「それはJAが考えることでしょう!」とくる。(笑)

田中 でも、若い人も捨てたものじゃない。職員の場合には、自分のしている仕事にいかにプライドを持ってもらうかですね。渉外担当者にも「皆さんは保険会社の外交員とは違う。皆さんの仕事でJAに利益が出て、それが営農活動に還元される。地域貢献だよ!」と言っています。むろん、給料の問題もあるけれど、一番は「やりがい」でしょう。

信用、共済も営農基盤

大金 「経営基盤の強化」に話題を転じますか。(笑)

静岡県・JAみっかび組合長 井口義朗氏静岡県・JAみっかび組合長 井口義朗氏

井口 組合員には正規の価格で購買してもらう。人件費はじめ経費を差し引いた分を、事業分量として返していく。いま静岡県の10JAで、正規に事業分量配当(組合員の事業の利用分量に応じて剰余金を配当する仕組み)を採用しているのはJAみっかびだけ。これはぜひ守りたい。組合員は「最初から値引きすりゃいいじゃん!」と言うんです(笑)。「いや、そりゃJAじゃないでしょ!」という話です。

栗原 私が組合長をしていた時代はまさに「自己改革」の最中で、信用・共済事業がもう右肩上がりにはならないという情勢にあった。信用・共済で稼げないなら、営農事業を改革しなければということで、営農センターを整備したり販売手数料を上げたりしてきた。一時、固定比率とかが法律に抵触する状況でしたが脱したので、農業振興の成長戦略を描きたい。これは組合長を退いたから言えることかもしれないけど。(笑)

田中 経営基盤を強化するには当然、事業量を上げる、コストを下げる。それには個々に具体的な課題があって、着実にやるしかない。営農経済事業は赤字を垂れ流しちゃいけないけれども、赤字にならざるを得ない面がある。どこまで赤字を許容できるか、みんなで共有する必要があります。

大金 外野からは「営農の赤字を信用・共済で補てんするのは怪しからん!」とか言う声もある。

田中 「怪しからん!」じゃなくて、JAの立派なビジネスモデルなんですよ。JA松本ハイランドの場合、営農関連部門は5億円のマイナスですが、それを埋めるにはどうすればいいか、という事業立てになります。自己資本比率をどこまで上げればいいのか、という問題もある。うちはもうじき20%。そろそろ使ってもいいんじゃないか。(笑)

井口 JAみっかびは28%近くありますが、ほんとうは投資しなければいけないのでしょう。JAとぴあ浜松の初代組合長さんが言うには「人件費の3年分あれば、それ以上は必要ないので使っていい」とか。(笑)

栗原 たしかに、最低線しか指標が出ていないけれど、「これだけあればいいよ」という指標があってもいい。

井口 うちは単年度で流動する要因が多い。台風が来たら減っちゃうし、カメムシにやられたら減っちゃうし、全国のミカン生産量が多ければ単価が下がっちゃう。組合員に大いにもうけてもらい、貯金をしてもらって還元するという循環が必要です。

栗原 JAの立地条件もありますね。収益の半分はプールして再分配するとかできないかな。まあ、現実的には無理だけれど。(笑)

【JAトップ座談会】組合員の「ために」から「ともに」へ 「おらが農協」が活路開く(3)へ続く

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