JAの活動:第30回JA全国大会 持続可能な社会をめざして
地域を守り命を守る使命を重視 JA全農 折原敬一経営管理委員会会長に聞く(1)【第30回JA全国大会特集】2024年10月10日
JAグループは10月18日に第30回JA全国大会を開く。大会スローガンは「組合員・地域とともに食と農を支える協同の力~協同活動と総合事業の好循環」。「なくてはならない全農」をめざす姿として生産振興を戦略の柱として事業を展開してきた折原敬一経営管理委員会会長は「現場に立つ組合員の視点を大事にしながら、しっかり事業展開をしていきたい」と語る。JA全国大会への思い、農政の課題などを聞いた。
――生産資材価格の高止まりが続くなか、食料安全保障の確保や適正な価格形成といった理念が盛り込まれた改正基本法が施行され、新しい基本計画策定に向けて10月から議論が始まっています。まずは昨今の情勢や、今後の農政に期待することなどからお聞かせください。
基本法は25年ぶりの改正ですが、農業をどのように持続可能にしていくのかということが一つの大きな視点でした。全体としてJAグループの政策要求を反映していただけたと受け止めています。ただ、予算の獲得も含めて、やはり国の食料安全保障を考えて、農業をどう位置づけるのかという視点が重要で、さらに議論をしながら、現場を理解していただく農政が必要ではないかと思います。
――米の店頭価格は昨年よりも高く5kg3000円を超えるものが多い状況ですが、生産資材価格の高騰を踏まえた適正な価格が必要で、そこを消費者にも理解してもらう必要もありますね。
資材や燃油など生産コストが高騰しているなかで、果たしてこれまでの米価で稲作を続けていけるのか、一番の課題になってきたわけです。
日本は瑞穂の国であり、米を主体とした農業が行われていますが、逆に言えば、その重要性がないがしろにされるような状況があったのではないかと思っています。
概算金は昨年より上昇していますが、これは20年以上前の水準と同程度とも言えます。その当時は、これほど生産資材価格の高騰により生産者が疲れ果てるような状況にはなかったと思います。その後、米価は低迷し、場合によっては1俵1万円を割るようなこともあったのではないかと思います。そのような状況では、安心して米作りをやっていけるのか、規模拡大や法人組織を育成しても、安定した収入を得られるのかという疑問が常にありました。
ですから今の状況はようやく生産費がまかなえる水準に近づいてきたというのが現場の感覚であり、そのことをいかに国民に理解していただけるような運動に結びつけるかが大事です。特に全農としては、国産農畜産物をしっかり販売していきながら、国民に農業の現場を理解してもらう。それが持続可能な農業の展開につながると考えています。
米に限らず、資材高騰は畜産や園芸などほかの品目も同じ状況で、現場ではなかなか後継者が育たないという課題があります。これはJAグループだけで支援できる課題ではなく、国全体の課題であり、食料安全保障の確立に向けた政策に期待しています。JAグループも努力することが必要です。その中で、生産者が頑張っていくという姿をいかに描けるようになるのか、そこが大きな課題です。
今年も自然災害が頻発しました。早急に復旧できればいいのですが、地元の山形でも営農再開に時間がかかりそうだという地域もあります。自然を相手にした農業ですが、国土保全の観点も含め、農業振興を行っていく必要があると私は認識しています。
(2)へ続く
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