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JAの活動:2025国際協同組合年 持続可能な社会を目指して 協同組合が地球を救う「どうする?この国の進路」

【2025新春トップ座談会】営農畑出身全国機関会長の思い JA全農折原会長・家の光協会栗原会長・大金義昭氏(2)2025年1月9日

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今年は巳(み)年。巳年生まれの人は、知恵深く粘り強い性格を持つと言われる。JA全国機関の会長で、奇しくもJAの営農指導員出身であり「年男」でもあるJA全農経営管理委員会会長の折原敬一氏と(一社)家の光協会会長の栗原隆政氏に、今後の農に思うことを体験を交えて語ってもらった。司会は文芸アナリストの大金義昭氏。

生の声聞ける強み "笑顔"に意欲倍増

JAグループ山形3連共通会長、JA全農経営管理委員会会長 折原敬一氏JAグループ山形3連共通会長、JA全農経営管理委員会会長 折原敬一氏

大金 もう半世紀以上も前の「駆け出し」の頃、雑誌取材で営農部長の話を聞くために東北のある農協を訪ねたら、職場のストーブを囲み、大きなやかんから茶わんにお茶か何かを注ぎ、4~5人で談笑している。夕刻には早い時刻でしたが、「あんたもこれ飲んでもらわんと話できん!」と言われ、飲んだら日本酒でした(笑)。その気になってご機嫌になり、話を聞き忘れてしまった(笑)。まだ牧歌的な時代でした!

折原 まあ、昔はやんちゃだったなあと!(笑)。職員の中でも現場に行って組合員の生の声を聴きながら課題解決を探れるのが営農指導員の「強み」ですね。いろいろぶつかって議論もしましたが、糧になりました。

栗原 農家からの電話で早朝に起こされたこともしばしばです。生産組織がたくさんあって、その総会が2月に集中し、毎晩飲む!(笑)。それで歌を覚えた。マイクが回ってきますから、逃げるわけにいかん!(笑)

大金 栗原さんの十八番は、女性歌手の演歌でしたね!(笑)

栗原 営農指導の現場では、組合員から「スイカ作っとったかいや?!」と聞かれる。自宅で試験栽培しましたが、なかなか収穫までいかん! 忙しいですから。

営農指導員はいいもの作ってもいけんし、悪いもの作ってもいけん。いいものを作ると、「なんで自分はいいものを作るのに人には教えんのか!」となる(笑)。悪いのを作ると「なんだ、営農指導員だってあれしか作らんがな!」となる。だから作らんがいい!(笑)。どっちにしたって何か言われる。(笑)

折原 私の親父も、米もですけどスイカやキュウリも栽培していました。JAに勤めてからも親父を手伝うわけですが、「お前の指導は肩書だけか!」と言われ、カチンときたものですよ!(笑)。そこで朝は親父のほ場以外に、組合員の田んぼや畑も見て回り、農家との対話から非常に学びを得ましたね。

大金 若い営農指導員にとっては、組合員が父親や祖父の世代だからハードルが高い!

栗原 「こうだから、ああだから」と農家から教えてもらったり、営農技術診断員の田んぼや畑を見に行ったりして次第に自信が生まれた。

大金 折原さんも歌われたんですか、「二次会」では?(笑)

折原 歌うというか、歌わされるというか!(笑)。私たちの世代だから演歌で、北島三郎の「まつり」が大好きです!(笑)

大金 あの歌は会場が盛り上がる!(笑)。辛かった思い出や励まされたエピソードは?

折原 思い出すのは水稲の育苗です。私の地方は5月に入ってから田植えが始まりますが、連休明けくらいに雪が降ったことがありました。霜の害ともまた違い、かなりの低温で苗がことごとくやられました。

それでも組合員に苗は供給しなくっちゃと、県内はもとより栃木、新潟、秋田とトラックで走り回って苗を分けてもらい、必死で2万枚の苗を確保しました。不眠不休でしたが、その時は組合員から「よく頑張ってくれた!」とお褒めの言葉をいただきました。

また、スイカの産地づくりでは、若手職員7~8人で鳥取に現地研修に出かけ、選果施設などを見学させていただいたのも、後々の大きな財産になりました。

栗原 スイカもメロンも育苗は難しい。今は安定していますけど、昔は土ができていなかった。定植時期に苗がない事態が発生して県内を駆け回り、愛知県まで行って苗を求めると、「今年もですか!」と言われた!(笑)。農家には心配をかけましたが、育苗組合の皆さんからは信頼を得て「困ったら栗原に頼めばいい!」と言われた。(笑)

若い頃に職場に電話がかかってきて、「スイカの現場指導をしてもらいたい」というので出かけたんですけど、「農協に出荷しておられますか?」と聞いたら「出してない」という。

「それだったら指導はできません!」と断ったら、その方が「なに! 組合長に電話してやる!」と怒られ、そのまま帰ってきました。組合長から呼び出しがあるかなと思ったら何もなかった。今だったらちゃんと指導した上で「農協に出荷されたらいいですよ!」とお話をするところですがね。(笑)

イチゴもいろいろやり方が変わり、以前は「夜冷育苗施設」があったのですが、技術が進歩していらなくなった。それでほっといたら、当時の役員に呼ばれ、さんざん怒られてかつてなかった衝撃的な叱責をうけ「90万円を補償せえ!」と言われた。腹が立って、「よし分かった。明日、貯金を下ろして、その役員の机の上にバーンと投げてやろう!」と思ったけど、ようせなんだ(笑)。そこで学んだのは、怒るときは怒ってもいいけれど、相手を追い詰めないように抜け道をつくり、最後は笑って終わる、ということですね。(笑)

折原 私は稲作指導の後、園芸部門でスイカの産地づくりや販売を担当しました。選果施設がスタートした年、1990(平成2)年でしたが高値販売で組合員から喜ばれました。スイカの産地として確立し、今も皆さんに会うと「頑張ってくれたなあ!」と言ってくれます。市場関係者とも侃々諤々(かんかんがくがく)あったけれど(笑)、それが太いパイプになって使命を果たせたのかなと感じています。

大金 栗原さんに「あの時は泣いたよ!」というような経験は?

栗原 いや、人前では泣かない!(笑)。私もスイカの担当で、6~7カ所あった選果場を1カ所に集約して最新鋭の施設にしました。担当課長として現場に張りついたら、「課長なのに何で本所に来ない!」と叱られましたけど、聞きませんでした。機械が当初うまく作動しないために、手作業で農家の出荷を見てタイムテーブルを組まないといけない。その作業をスタッフと2人でやったんですね。市場ともやりとりを重ね、おかげさまで当時いい成績になり、良かったなあと!

大金 栗原さんは実績を「見える化」して、組合員の生産意欲を鼓舞した!

栗原 営農指導もですけど、農家の要望はとにかく1円でも「高く売れ!」です。その経験をベースに、組合長になっても有利販売を追求し、結果的に単価が上がってきました。それをうまく活用し、大きく発信しました。

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