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JAの活動:2025国際協同組合年 持続可能な社会を目指して 協同組合が地球を救う「どうする?この国の進路」

R・ケネディ・ジュニア氏が米国農務省長官顧問に指名された意味(2) 国際ジャーナリスト 堤未果氏2025年1月10日

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国内の多様な問題や米国など幅広く取材・発信する国際ジャーナリストの堤未果氏。トランプ政権下での農務省長官顧問にロバート・ケネディ・ジュニア氏が選ばれた背景や日本の事情を交えて解説してもらった。

国際ジャーナリスト 堤未果氏国際ジャーナリスト
堤未果氏

ケネディ・ジュニア氏の農業公約を見てみよう。

①大規模農業企業の支配を終わらせる=小規模農家を支援し、持続可能な発展を優先する。

②再生農業を推進する=土壌の健康を改善し、化学物質への依存を減らす。

③公共の健康を改善する=天然の全食品を推奨し、慢性病を減らす。

④有害な化学物質を禁止する=農薬や添加物を制限し、有機農業を支援する。

⑤地方の食品システムを強化する=地元市場を推進し、炭素排出を減らす。

⑥食品ラベルの透明性を確保する=遺伝子組み換えや添加物の成分を明示する。

⑦農民の権利を保障する=補助金を改革し、小規模農場を支援する――。

どれを見ても国際協同組合年の方向性に、しっかりと沿っている内容だ。USDA(米国農務省)やCDC(米疾病予防管理センター)など米国の行政はどこも巨大企業との利益相反が強く、ケネディ氏はそこからメスを入れてゆくという。業界はこれを阻止すべくすさまじい勢いでロビー活動を繰り広げているが、同じ流れを日本でも作ってゆくタイミングは今に他ならない。

地上波マスコミでは批判されるケネディ・ジュニア氏だが、SNSなどではまるで英雄のように神格化する声も少なくない。そう、私たちはいつもヒーローを待っている。絶望的に所得が上がらず、物価と税金はこれでもかと上がり続け、官僚や政治家は一番大事な情報を黒塗りにして、涼しい顔で説明責任から逃げてゆく。

ウクライナは結局黄金の土地を外資に奪われ、爆撃が絶えないガザは本来自給できるはずの農業に手がつけられず、アサド大統領が亡命した後、イスラエルはゴラン高原よりさらにシリア側に侵攻し、地元の農民たちに発砲している。シリアは1万年以上の歴史を持つ優れた種苗の伝統を持っている。エネルギーの流通経路という側面から見えるもう一つの戦争の顔を、私たちは見落としてはならない。

コロナパンデミックやウクライナ紛争、ガザなどの世界同時有事によって、農薬・化学肥料・エネルギーが高騰し、多くの国で食料安全保障がもう一度見直される中、EUやカナダ、そしてここ日本でも、多くの人が立ち上がっている姿が見え始めた。

島根県では、生産者に寄り添った農政を求めて36台のトラクターが道を行進 して話題になった。フランスの生産者のようにふん尿を役所に投げる過激さはなかったものの、SNS上では広く拡散され、たくさんの人が勇気をもらったとコメントしている。仙台では農協が国産の子実トウモロコシで育てた仙台牛をお披露目し、水戸では減農薬を実施した田んぼにコウノトリが3羽戻ってきたのを見て、向こう5年間でネオニコチノイドを減らしていくことを決定した。オーガニックビレッジ宣言をする地域は130を超え、JAと行政、学校と生産者の連携も急速に進んでいる。

自然災害大国の日本にとって、最後のとりでは種だろう。地域の風土にあった、安全で災害にも強い「在来の種」を公共資産と位置づけて、地域の種を守る「循環型食システム」を全国47都道府県に作るべく、夫と仲間数人で4年かけて作った「ローカルフード法案」が、次の通常国会で提出される。成立すればこれを根拠法として各自治体が条例を作れば、両輪で地域の生産者と経済、食の安全を維持し、有事に強い食料体制を敷ける起爆剤になるだろう。中央集権化の真逆にあるブロックチェーンは技術的には便利だが、共同体を組織化した経験や、互いの違いや階層を乗り越え、認め合う方法、私たちの持つ経験値の方がこれからはるかに大きな力で変化を起こしてゆくだろう。すでに日本国内で始まっている、「国際協同組合年2・0」は、決して権力を集中させず、多様性を維持し、情報公開を地方レベルで求めてゆく一人一人の意思が、新しい未来を創ってゆく。

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