JAの活動:2025国際協同組合年 持続可能な社会を目指して 協同組合が地球を救う「どうする?この国の進路」
【JAトップ提言2025】農業応援団と地域振興 JAいちかわ組合長 今野博之氏2025年1月21日
第30回JA全国大会は「組合員・地域とともに食と農を支える協同の力~協同活動と総合事業の好循環」を決議した。2025年度はその実践の初年度となる。いうまでもなく地域によって課題は異なる。そのなかでどう戦略を打ち出すべきか、JAいちかわ組合長の今野博之氏に提言してもらった。
JAいちかわ組合長 今野博之氏
令和7年は、JA全国大会に基づく新たな3カ年がスタートします。前回の中期計画実施期間中の令和5年に「JAいちかわ設立60周年」を迎え、地域と時代の変化に対応し、組合員・地域の皆様と共に協同活動・事業運営の実践を積み重ねた結果、バランスの良い経営基盤の確立に取り組めたことを振り返る機会となりました。しかしながら近年、自然災害の頻発・激甚化、コロナ禍による社会全体の仕組みや価値観の変化、国内経済や政治・国際情勢の変化も激しくなっており、まだまだこれらの変化には対応し続けなければなりません。加えてデジタルの世界では、スマートフォンがパソコンの台数を上回るなど劇的に日常生活の景色が変化し、車の自動運転も近い将来可能となるなどの新たな変化も加わっています。そのようなデジタル化が加速する中、人口減少・高齢化による農業従事者の減少などは継続的な課題であり、新たな変化を生かしたスマート農業などの提案で対応し、組合員の営農とくらしを守る取り組みを実践し続けていく必要があります。
令和4年から重点目標に掲げた「地域農業振興応援団(准組合員)」拡大運動も最終年度の令和6年には8000人を超える新たな仲間を迎えることができました。この仲間が地域農業・JAの応援団となり、生産者・組合員を相互に支え「質の高い自己資本」となるものと確信しておりますが、将来にわたってこの組織基盤を維持・拡大し続けるためには、農業・JAの魅力を発信し、またJA(役職員)が正・准組合員の「ファン」であり続けることがJAの役割だと考えています。
このような時代変化や生産者の現場、地域の生活などの多様なニーズに対応するために、今回当組合の中期計画では「協同活動と総合事業の革新」をテーマに掲げその実現に向けて、引き続きイノベーションに挑戦します。イノベーションのスタートは型破りであること、型にはまった昔ながらの踏襲では何も変わらず、何も起きません。現状維持が衰退の始まりです。スマートフォンの例のように、数年前では考えられなかった景色が更にすごいスピードで変化し続ける中、JAもその時代の波に乗った総合事業を展開しなければなりません。それにより、組合員・地域からの信頼を得てJAの役割発揮につながります。
JAの活動の基本は「生産者の営農を守り、組合員のくらしを守る」ことに変わりはありません。しかし、生産者、組合員のニーズは変わり続けています。それらに対応し続けるにはJAが時代の流れを的確に捉えて、多様化するニーズに合ったチャネルを構築し、営農と地域の活性化に貢献し、アクティブメンバーシップ強化による、新たな協同組合の価値の提供に取り組む必要があります。 令和7年は2回目の「国際協同組合年」を迎えます。持続可能な地域社会をつくる協同組合の取り組みをさらに進め、協同組合に対する認知を高めていく絶好の機会となります。国連はこの「国際協同組合年」を通じSDGsの実現への協同組合の貢献の認知を高め、協同組合の発展を支援し、協同組合を振興するとしています。
令和4年6月に市川市内の梨のほ場に「ひょう」が降りました。傷のついた梨は出荷ができないのではと生産者は落胆をしましたが、多くのJAグループ以外の多くの企業からも協力依頼をいただき、規格外品を加工品へと活用いただき、持続可能な農業・フードロス削減への貢献につながりました。また、地域の皆様にも即売会を開催し購入いただき、おいしい梨を「買うことで農家を助けられるのであれば」との声などもいただき、組合員・地域・企業・組合が一体となった取り組みとなりました。これが協同組合としての役割発揮の基礎となるものだと感じる機会でありました。また、令和5年8月には温暖化による中国の火傷病による梨の花粉が輸入停止となった際には、当組合での花粉製造を目指し、「ピンチをビジネスに」を合言葉に、組合の経営基盤、生産者の持続可能な農業を目指した取り組みを行うことができました。地域のボランティアも300人を超える方にご協力をいただき、行政・地域も巻き込んだ協同活動でありました。また、梨の剪定枝の処理事業も行っておりますが、これも、温暖化対策の貢献、循環型農業への第一歩として引き続き取り組みます。
このような活動を通じて、生産者には持続可能なもうかる農業の支援。そして、地域の方々には「農業振興応援団」として協同活動に参画いただき、強固な組織基盤として農業を支え、すべての組合員とともに豊かな地域の社会への実現に向けて取り組むことがJAいちかわの役割だと考えます。
当組合は今後も、都市型農協として、生産者の営農と組合員のくらしを守るため、組合員の意思やニーズに応え、更なる「農業振興応援団(准組合員)」の拡大を進めることで、協同組合の取り組みを発信し、共感や信頼につなげ、事業を利用する人・協同活動に参加する人を広げ、「わが国」の持続可能な社会の実現に貢献します。
重要な記事
最新の記事
-
米 推計19万tが分散して在庫 農水省調査2025年3月31日
-
【人事異動】農水省(4月1日付)2025年3月31日
-
【注意報】さとうきびにメイチュウ類西表島、小浜島で多発のおそれ 沖縄県2025年3月31日
-
【注意報】かんきつ、びわ、落葉果樹に果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 静岡県2025年3月31日
-
農業は恰好いいと示したい トラクターデモに立った農家の声 「令和の百姓一揆」2025年3月31日
-
4月の野菜生育状況と価格見通し 果菜類、ほうれんそう、レタスなどは平年並みへ 農水省2025年3月31日
-
農林中金 総額6428億円の増資を実施2025年3月31日
-
25年産米「概算金のベース」 あきたこまち60キロ2万4000円 全農あきたが情報共有2025年3月31日
-
「農山漁村」インパクト可視化ガイダンスなど公表 農水省2025年3月31日
-
北アルプスの水と大地が育む米「風さやか」使用 ツルツル食感の米粉麺はスープも含めグルテンフリー JA大北2025年3月31日
-
特産の小松菜をバームクーヘンに 試食した市長も太鼓判 JAちば東葛2025年3月31日
-
三鷹キウイワイン 市内のキウイ使った特産品 JA東京むさし2025年3月31日
-
地域の営農継続へ JA全国相続相談・資産支援協議会を設置 JA全中2025年3月31日
-
中央支所担い手・若手農業者研修会を開く JA鶴岡2025年3月31日
-
全国の農家へ感謝と応援 CM「Voice」フルバージョン配信開始 JA全農2025年3月31日
-
セメント工場排ガスから分離・回収した二酸化炭素の施設園芸用途 利用へ取組開始 JA全農2025年3月31日
-
カナダで開催の世界男子カーリング選手権 日本代表チームの食事をサポート JA全農2025年3月31日
-
JA鶴岡「もんとあ~る」dポイント加盟店に 4月1日からサービス開始2025年3月31日
-
JA全中「健康経営優良法人2025」に認定2025年3月31日
-
「佐賀牛 生誕40周年記念キャンペーン」開催中 数量限定40%OFF JAタウン2025年3月31日