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JAの活動:【Never Give Up! 新時代へ前進あるのみ 第71回JA全国青年大会特集】

【青年大会特集座談会】国の礎「食」を支える自負を(2)京大藤井聡教授・田中均組合長・久保田治己氏2025年2月28日

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第71回JA全国青年大会に合わせて青年農業者の奮起に期待を寄せて座談会を企画した。参加者は多彩な言論で活躍する京都大学教授の藤井聡氏と長野県JA松本ハイランド組合長の田中均氏、そして食料安全保障推進財団専務の久保田治己氏に進行役を務めてもらった。

【青年大会特集座談会】国の礎「食」を支える自負を(2)京大藤井聡教授・田中均組合長・久保田治己氏京都大学教授 藤井聡氏

戸別所得補償が最善策

久保田 米価はようやく30年前の価格に戻りました。30年前、私のうちでは母は専業主婦で父の稼ぎで子ども2人大学まで行きましたし、「米が高い」とは思われていませんでした。今の消費者は、米価が30年前に戻ったことに耐えられないほど可処分所得が減っているのではないか。そちらがより問題に思えます。

田中 先日、すし屋の大将に「米が高いというけど茶わん一杯、いくらなら高いと思い、いくらなら安いと思う?」と聞きました。すると「一杯100円なら高いが50円なら安い」。米5キロでほぼ茶わん70杯ですから3800円なら一杯約54円。「高くない」はずなんですが、消費者は「一杯いくら」は考えず、ただ「上がったから高い」と言われてしまいます。

藤井 統計によれば米農家の年間農業所得は2022年、年間たった1万円でした。消費者が米をもっと適正な価格で買ってもっとたくさん食べてくれたら農家は最低限の所得が得られます。「米は安いのが当たり前」といった消費者側の発想にも問題を感じますね。

久保田 日本人は賢いはずなのに消費者が正確な認識を持てないのは、報道の歪みも一因ではないでしょうか。イーロン・マスクの政府効率化省の調査で、USAID(米国際開発局)が海外メディアに金を流していたことが明らかになりました。NHKはなぜか懸命に反論していますが......。

世論操作には注意を

藤井 トランプはそんなUSAIDの解体を進めていますが、その日本への影響は限定的な気がします。日本の政府もメディアももはや今はもう海外からの働きかけがなくとも嬉々として米政府のCIAやUSAIDの見解を自ら取り込み、自分の正義にしてしまっているからです・日本はそこまで深く洗脳されているんだと思います。とはいえ彼らがトランプによって解体・弱体化すれば、全うな意見が通りやすくなるでしょうね。先方の後ろ盾がなくなるわけですから。

田中 難しいことはわかりませんが、米国が中国に関税圧力をかけると、中国は対抗して米国産農産物を買わなくなる。すると余った農産物が日本に売りつけられてくることや「自動車の関税を上げられたくなかったら農産物を輸入しろ」と日本が言われることを危惧しています。

藤井 米国産農産物を日本に売ろうとする時、エコノミストやアナリスト、テレビのコメンテーターたちを事実上"買収"するのが手っ取り早い。NHK解説委員などが買収される例は少ないのかもしれませんが、米国関係者がたとえば定期的に食事をしているだけでも、意見誘導が可能です。私もテレビに出ているからよくわかります。もちろん私に誘いは来ませんが(笑)。

【青年大会特集座談会】国の礎「食」を支える自負を(2)京大藤井聡教授・田中均組合長・久保田治己氏食料安全保障推進財団専務 久保田 治己氏

久保田 これまでは「陰謀論じゃないか」とか言われましたが、日本でも気づく人が増えてきましたね。

藤井 特に若い人の方が気づきやすい。そして今、その若い人が理解すべきは、農家が生き残る上で何よりも大切なのは農家の所得が守られることであり、そのために政府がなすべきは戸別所得補償か輸入農産物への高い関税の二つであり、だからそれを政府にやってもらう政治状況を作る以外に農家が守られる道はないのだ、という真実を知ることです。

田中 関税を上げる選択肢は政府にはないでしょう。だから所得補償しかない。生協のみなさんに話すと理解してもらえます。「食品が高くなるより所得補償がいい」と。だから生協・消費者のみなさんとタッグを組んで訴えていくのがいいと思っています。

藤井 「令和の米騒動」に意味があったとすれば、このままでは米が買えなくなるかもしれないと気づくきっかけになったことでしょうね。

田中 楽観はできませんが、われわれがきっかけにしなければ。翌年には忘れられた「平成の米騒動」の二の舞にはできません。

農業を守る勝負時に

藤井 そうです! 当時と今とで何が違うかというと、農家も米の供給量も確実に減っていることです。「農家を守ろう」という議論を立ち上げる最後の勝負だと思います。

戸別所得補償には1兆円もかからないという試算があります。それなのにできないのは、予算編成の方向などを決める「骨太の方針」で、プライマリーバランス(PB、基礎的財政収支)だけでなく「一般会計の当初予算は年333億円ずつしか増やせない」という自公政権が作ったルールがあるからです。

「骨太の方針2018」をみると、脚注に「集中改革期間の3年間で一般歳出1・6兆円程度、社会保障関係費1・5兆円程度の増加」と書かれています。(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2018/2018_basicpolicies_ja.pdf)

一般歳出は3年間1・6兆円増えるがそのうち社会保障関係が1・5兆円なので、「それ以外」は差し引き1000億円です(1・6兆円―1・5兆円)。3年間で1000億円ですから年333億円で、この「333億円キャップ」が引き継がれ、歳出を抑えてきた。相当な力学が働かないとこのキャップは外れません。現状では他の農業予算を削って回すしかない。

田中 民主党政権がそうでした。

藤井 財務省が課すその厳しい規律がある以上、彼らはそれしかできなかったのです。ですが本当だったら十分な戸別所得補償をやるだけの財源はあります。例えば物価上昇の煽(あお)りで名目GDPが増えたお陰で、2020年から5年間で「税収」も約18兆円も増えた。そのごく一部を使えば良いだけです。だから結局、そうした所得補償を実施する政権の樹立以外、農家が救われる道は、事実上存在しないと私は思います。

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