築地市場の移転 安全性に問題?(下)2016年9月9日
卸潰しは生産者にも打撃
◆業者も愕然 豊洲市場
安全性の問題などを仮にクリアしても新市場が卸売市場として機能を果たすのか疑問だと指摘する。
豊洲の新市場は空調設備を備えるため閉鎖型の建物になっている。現在の築地市場は車で中まで運ぶことができるが、新市場は建物の回りに車を止めなければならない。
築地で働いてきた人からすると駐車スペースが明らかに不足し、荷物降ろしにも時間がかかりそうだと話す。しかも市場内部のモノの移動はどうするのかも不透明。また、環状2号線の完成までは豊洲新市場には晴海通り一本しかない。買い出し業者で渋滞は必至だ。
こうしたアクセスの不便さと使用料負担などから廃業を決める仲卸も出てきている。築地がなくなるのなら、と廃業を決めた銀座の寿司屋さんなどもある。買い手がいなくなれば影響は仲卸の廃業という問題となる。「目利きの仲卸は適正な評価で価格形成している。それがどんどん少なくなるということは生産者にも影響することを知ってほしい」と中澤委員長。最近のアンケートでは移転反対が8割だったという。
築地問題は農水産物の産地にも関わる問題だという認識が必要だ。今後も引き続きこの問題を注視していきたい。
【築地市場の豊洲移転問題の経過】
(三國英實広島大学名誉教授作成資料を一部改変)
1999年 9月 同年4月就任の石原知事が築地市場を視察、「古い、汚い、危ない」と発言。都が進めていた現在地での再整備を中止し豊洲移転を決定。
2003年5月 東京都が「豊洲新市場基本計画-東京から開く市場の新時代」を策定。
2004年 国は小泉構造改革のもとで卸売市場法の大幅改定。第8次卸売市場整備方針策定。
2007年4月 豊洲の土壌汚染問題が明るみに。都知事選
の争点となり石原知事が調査を約束。「豊洲新市場における土壌汚染対策等に関 する専門家会議」を設置。
2008年5月 専門家会議が調査結果発表。移転先の土壌はベンゼン、シアン、ヒ素、水銀、6価クロム、鉛などの有害物質で汚染。東京ガスの石炭からのガス製造工場の跡地。
2008年8月 都「豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」を設置。
2009年2月 技術会議が加熱処理など土壌汚染対策を発表。都は土壌汚染対策工事に入り、12月に市場建設工事を開始し14年12月開場方針を決定。
2009年7月 都議選で現在地での再整備を求める民主党、共産党などが議会の過半数に
2009年9月 都議会は本会議で築地市場移転問題を審議する特別委員会を設置。移転か再整備か、参考人を呼ぶなど審議・検討。
2010年3月 都は1月から始めた豊洲地区での汚染処理実験で「確実に無害化できることが実証された」とする中間発表。
2011年3月 東日本大震災で豊洲新市場予定地の90か所で液状化現象。都議会民主党が築地市場移転費を含む中央卸売市場会計予算に賛成。
2014年2月 市場建設3件の再入札。都は407億円(64.9%)増額の1035億円で落札。大手ゼネコンが筆頭企業。「技術会議」が土壌汚染対策工事が完了したと建設ゴーサイン。起工式。
2016年3月 豊洲新市場完成。
2016年8月 小池新知事が11月7日開場の延期を表明。
(写真)東中労の中澤誠委員長
・築地市場の移転 安全性に問題? (上) (下)
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