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市民・NPOが支える「もうひとつのアメリカ農業」(1)【村田武・九州大学名誉教授】2018年11月28日

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 アメリカ農業といえば大規模農業というイメージが一般的だが、これは一面的な見方である。家族経営あるいはNPO などによる小規模農業も数多くある。むしろ環境保全や健康志向、さらに文化的な面などから、有機農業、都市農業への関心が高まっている。その中には地域が支える農業もある。村田武九州大学名誉教授に現場をレポートしてもらう。

 食糧の生産と消費を結ぶ研究会(生消研)は、去る6月、「2018年海外研修ツアー―ボストン・マサチューセッツ州に有機農業・都市農業を訪ねる」を実施した。ここではマサチューセッツ州で訪ねた小規模有機農場と非営利農業団体を報告する。

 

コミュニティを守る小規模農業

 

◆100万円以下が6割

放し飼いの採卵鶏 市民・NPOが支える「もうひとつのアメリカ農業」(1)【村田武・九州大学名誉教授】 アメリカ政府の農政や貿易政策は、多国籍アグリビジネス主導の「農業の工業化」とその担い手たる大規模農場、すなわち「主流農業」の利害を優先し、コメでも牛肉・豚肉でも、わが国の農産物市場をむりやり占拠しようとしている。ところがアメリカ国内には、主流農業とは異なって、環境保全型で地域社会・コミュニティを守ることと小規模農業を守ることを連動させようというオルタナティブ、すなわち「もうひとつの農業」運動が存在する。その代表が北東部ニューイングランドである。ここは小規模農場の有機農業運動のメッカであり、わが国やスイスの生協の産直運動に学んだCSA(コミュニティが支える農業)が全米のトップを切って1980年代にスタートしている。
 ニューイングランドの中心ともいうべきマサチューセッツ州(以下、MA州)では、2012年農業センサスで7755農場のうち5235農場(67.5%)は50エーカー(20ha)未満である。年間の農産物販売額では1万ドル(1ドル110円とすると110万円)以下の経営が5145農場と6割強を占める。野菜や果樹など園芸と酪農が中心であったが、昨年度の農産物総販売額は4.1億ドル(450億円)で、畜産は3000万ドル(33億円)に落ち込んでいる。基幹的農業部門であった酪農で離農が相次いだ結果である。農産物販売のうち消費者への直接販売が4790万ドルと販売額の11.7%を占め、2206農場、すなわち4分の1強の農場が消費者やレストランなどへの直接販売を行っている。CSAに取り組む農場は431農場もある。

(写真)放し飼いの採卵鶏

 

◆畜産と有機複合で

無償で提供の野菜栽培床 ボストン北西の近郊コンコードの「クラーク農場」は、7エーカー(2.8ha)の畑で多種類の野菜を栽培し、小規模な畜産と複合している。いずれも農務省の有機認証を得ている。採卵鶏300羽の平飼い、豚30頭は子豚を買取り3エーカーの林地で放牧、羊は肉用で30頭、ヤギ12頭である。有機卵は1ダース4ドルで売れる。ヤギは公園等の除草用にレンタルすると、肉用の3倍の収益がある。労働力は経営主1人と4人の通年雇用に加えて、夏期の高校生アルバイト(時給11ドル)が重要な労働力である。
 30万ドルほどの農産物販売は、畜産物も含めてすべて消費者への直接販売、それも会員300人のCSAが中心である。そのCSAは多彩である。
 時期別CSAでは、(1)通年型 (消費者が年間に出資する金額は630ドル) は6月中旬~11月の24週で、火曜日(午後3時~7時)、木曜日(午前9時~12時)、土曜日(午前10時~午後1時)のいずれかに受け取りにくればよい。これに加えて、(2)前期型(350ドル出資で、6月中旬から8月末)と、(3)後期型(同じく350ドル出資で、9月~11月末)のいずれかに分割参加も可能である。作物別CSAでは、(4)「自分で収穫型」(350ドル出資で、イチゴ、トマト、豆類を農場に入って自分で収穫できる、(5)花き型(130ドルで花きを受け取る)、(6)鶏卵型(95ドル)、(7)豚肉型(175ドル)、(8)ラム肉型(250ドル)、(9)マッシュルーム型(140ドル)と多彩である。いまひとつ、(10)「生活支援型」があって、これは農場の北10kmほどのカーリッスル村の高齢者協議会や公立学校の支援金で、10ドルを出資した同村の貧困家庭に野菜を供給している。
 農場付属の店舗での販売(5月~11月)は、火曜日~土曜日(午前9時~午後6時30分)、日曜日(午前10時~午後4時)である。さらにレストランへの販売もあるが、「デイリー・テーブル」という近隣の非営利小売店に、取り残し野菜を無料で提供している。

(写真)無償で提供の野菜栽培床

 

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