【クローズアップ・新疆ウイグルのトマト】加工資本支配のトマト産地 世界最大の中国・新疆ウイグル2019年9月17日
中国の新疆ウイグル自治区は今日、加工用トマトで世界最大級の生産地になっている。現地で濃縮加工されたトマトは世界中に輸出され、特にヨーロッパではイタリア産、欧州産のトマトケチャップやトマトソース、トマトジュースとして再輸出されている。新疆ウイグル自治区のトマト畑を訪れ、農家の話を聞き、現地の一端を垣垣間見た。
世界最大の新疆ウイグル自治区のトマト
新疆ウイグル自治区の首府ウルムチの北西に隣接する昌吉町の郊外。1区画50haほどのトマト畑が広がる。2月に播種、4月に定植した加工用トマトが、いま収穫期を迎え、近くにある、中国最大の食品会社・中糧集団有限公司(COFCO)の加工工場に向かう道路は、トマトを満載した30~40t積みの大型トラックが頻繁に走っている。
訪れた生産者の王登玉さん(56)は、二人で約1300ムー(1ムーは約67a。約87ha)でトマトを栽培する。国から配分される6人の持ち分42ムー(1人7ムー)を除いて、すべて村の人からの借地。王さんは昨年までの綿花栽培から今年、機械収穫できる加工トマトに切り替えた。
「この数年、契約価格は同じ」と言う王さん(左)
トマトの種子から肥料、潅水用のパイプ、マルチ用のビニールまで加工場が手配する。収量は1ムーで8t前後。収穫したトマトは1kg4~5角(1角=0.1元)で工場が買い取る。1kg5角として10kg5元、1t500元。1300ムーで1万400tの収量があり、販売契約価格(販売額)は520万元(約8800万円)になる。これから生産費等を差し引いた実質の手取りは1ムー当たり800元ほど。1300ムーで100万元(約1700万円)と推察される。
中国のトマト加工企業は100社余り。その8割が新疆ウイグル自治区に集中している。この数年、買い取り価格は固定しており、王さんによると、生産者には加工業者との契約価格を交渉する場もないとのこと。経済成長著しい中で、大手加工企業の支配のもと、トマト生産者は安い買取り価格で生産を余儀なくされている状況がうかがえる。
加工工場に運ぶトマトを満載したトラック
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(119) -改正食料・農業・農村基本法(5)-2024年11月23日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (36) 【防除学習帖】第275回2024年11月23日
-
農薬の正しい使い方(9)【今さら聞けない営農情報】第275回2024年11月23日
-
コメ作りを担うイタリア女性【イタリア通信】2024年11月23日
-
新しい内閣に期待する【原田 康・目明き千人】2024年11月23日
-
基本法施行後初の予算増確保へ JAグループ基本農政確立全国大会に4000人 生産者から切実な訴え2024年11月22日
-
「適正な価格形成」国関与で実効的に JA群馬中央会・林会長の意見表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
JAグループ重点要望実現に全力 森山自民党幹事長が表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
農林水産省 エン・ジャパンで「総合職」の公募開始2024年11月22日
-
鳥インフル 米モンタナ州、ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
11月29日「ノウフクの日」に制定 全国でイベント開催 農水省2024年11月22日
-
(411)「豚ホテル」の異なるベクトル【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月22日
-
名産品のキャベツを身近に「キャベツ狩り選手権」開催 JA遠州中央2024年11月22日
-
無人で水田抑草「アイガモロボ」NEWGREENと資本業務提携 JA三井リース2024年11月22日
-
みのるダイニング名古屋店開業2周年「松阪牛ステーキ定食」特別価格で提供 JA全農2024年11月22日
-
【スマート農業の風】農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
-
自動運転とコスト【消費者の目・花ちゃん】2024年11月22日
-
イチゴ優良苗の大量培養技術 埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」で大賞受賞 第一実業2024年11月22日
-
「AGRIST Aiサミット 2024」産官学金オープンイノベーションで開催2024年11月22日