2021年度政治展望 訪米・ワクチン・補選〈3段ロケット〉【検証:菅政権13】2021年4月2日
2021年度がスタートし政権にとって試練の4月が待つ。一方で政権支持率が〈底打ち〉し反転攻勢の兆し。支持回復がエイプリルフールとならないために、首相の菅義偉は訪米、ワクチン、衆参補選の〈3段ロケット〉にかける。(敬称略)
発言する菅総理(写真:首相官邸)
「解散」巡りざわめく
売り言葉に買い言葉か。野党の「内閣不信任案」提出発言に対し、自民党の二階俊博幹事長は29日、「受けて立つ。菅首相に解散を進言する」と応じた。政治的駆け引きだが、2021年度予算成立以降、いつ解散、総選挙があるかわからない情勢を物語ると言っていい。
2年ぶり自民大会で意欲
21日の自民党大会で党総裁でもある菅は、今後の政権運営に並々ならぬ意欲を見せた。党大会はちょうど88回、人に例えれば末広がりの八が続く〈米寿〉だが、今の自民党にはそんな余韻に浸っている余裕はない。前代未聞の厄災、新型コロナウイルスの収束は見えず、全ての先行きが不透明なのだ。
それでも党大会で菅の顔色は血色が戻り、声に張りが出てきた。コロナで後手に回り、党内や官僚の不祥事が重なった中で、このところ内閣支持率が不支持を上回り、上昇に転じ始めた
党大会で菅は、最大の政治関心事である衆院・解散総選挙にも言及し「どんなに遅くても秋までには総選挙がある。私はその先頭に立って戦い抜く決意だ」と語気を強めた。当たり前のような言葉だが、ポイントは〈どんなに遅くても秋〉〈その先頭に立つ〉の二つ。できれば解散・総選挙を早めに打ちたいとの思惑を秘め、その先頭とは、政局の主導権はあくまで自分が握ることを内外にアピールしたものとも受け止められる。
「4月を乗り切れるのか」
21年度早々、いくつもの関門が立ちふさがる。冒頭で〈3段ロケット〉を暗示した所以だ。今後の主な政治日程は以下の通りだ。
・3月26日 106兆円超の新年度予算が成立
・4月前半 首相が訪米し日米首脳会談
12日 高齢者向けワクチン接種開始
下旬 デジタル改革関連法案成立予定
22日 米国主催の気候変動サミット
25日 衆院北海道2区補選、参院長野補選、参院広島再選挙
・6月16日 通常国会会期末
・7月4日 東京都議選
23日 東京五輪(~8月8日)パラ五輪・8月24日(~9月5日)
・9月30日 自民党総裁の任期満了
・10月21日衆院議員の任期満了
こう見ていくと、まずはこの4月が政権の浮沈を握る重要日程が続くのが分かる。菅政権はこの4月を、乱気流をしのぎどう乗り切るのか、いや乗り切れるのか。
いずれにしても「勝負の4月」となる。国内外に重要局面が待つ。大きい山は二つ。訪米と25日の三つの衆参選挙結果だ。菅にとって首相になり初の国政選挙となるだけに、結果次第で〈菅降ろし〉の動きも出かねない。
内閣支持率を年代別に見ると、若い層で支持率が高く、60代以上の高齢者層が厳しい傾向が続く。だが、官邸では高齢者ワクチン接種が始まれば安心感が広がり、政治の風向きも変わることを期待する。さらには、目玉施策・デジタル関連法案が通れば、政権の存在感も高まる。
千葉ダブル選100万票差の衝撃
菅にとって4月は反転攻勢の位置づけだが、足元は盤石ではない。やはり地方では自民党への政治不信が根強い。典型が先の3月21日投開票の千葉県知事選、政令指定都市・千葉市長のダブル選挙の自民系候補の大敗だ。
当初から自民不利の形成だったが、問題は負け方。知事選は立憲民主党の県組織が支援した熊谷俊人・前千葉市長が140万票、一方で自民系候補は38万票強とトリプルカウント。自民関係者は「まさかここまで開くとは」と100万票差に衝撃が走っている。セットで千葉市長選は神谷俊一・前千葉市副市長が21万票近くを得て同じく自民系候補をダブルスコアで下した。
やはりこの間の自民党の不祥事、コロナ対策が、自民党系に不利に働いたのは否めない。菅は、この千葉ダブル選で「政治の風向きはいつ急変し、政権に向かってくるか分からない」と感じたはずだ。
もう一つ。同日投開票の市長選で注視すべきは山口・萩市。次期衆院選山口3区の〈代理戦争〉の様相を呈した。同選挙区現職で自民党の河村建夫元官房長官の実弟が、前萩市長をわずか5000票差で破った。前萩市長は林芳正参院議員(元農相)が応援した。林は同区へのくら替えを狙っている。川村は二階派重鎮、林は岸田派幹部。自民派閥間の争いでもある。
千葉ダブル選では、国政で与党の公明党が自主投票に回ったことだ。菅は「やはり公明の結集力、組織票はすごい」と選挙当落の影響力を改めて感じているに違いない。
結果次第で政局にも大きな影響を及ぼしかねない7月4日の東京都議選まであと3カ月。衆院選も刻々と期日が迫る。選挙の行方は堅い票田を握る公明党との連携強化が肝を握る。
まずはバイデンとの駆け引き
4月の大きな山はまずバイデンとの日米首脳会談の行方だ。先のブリンケン米国務長官と楊共産党政治局員の米中外交トップの激しい応酬は、米中対立の深刻さを裏付けた。
双方の主要テーマは4月に入れば具体的に分かる。まずは対中包囲網へ同盟国の結束強化を前面に出すだろう。米国の通商を司るUSTR代表も決まる中で、バイデン大統領から日米通商問題でどんな言及があるのか。菅は東京五輪と北朝鮮拉致問題で米国の具体的な協力の言質を得られるのか。
4月25日に重要3選挙
そして4月25日に重要な選挙が待つ。吉川貴盛元農相辞任に伴う衆院北海道2区の補選、参院長野選挙区の補選、さらには参院広島選挙区の再選挙の行方だ。もしこの3選挙で自民全負となれば、党内がにわかに騒々しくなるだろう。
問題は広島の動向だ。自民党広島県連会長には岸田文雄・前政調会長が就いた。今のところ厚い保守地盤から自民やや有利との見方が強いが、「政治とカネ」が深く絡んだ再選挙だけに世論がどう向くか全く予断を許さない。ただし自民〝全敗〟となれば話は全く異なる。万が一、広島で自民が議席を失えば、岸田氏への求心力は一気に墜ち次期総裁選候補の資格さえ失いかねない正念場となる。
さらに、またぞろ〈GoToトラベル〉ならぬ〈GoToトランジット〉へ。つまり「菅で選挙が戦えるのか」とのトランジット、乗り換えの政治的な動きが表面化しかねない。
二階幹事長「他山の石」発言の陥穽
「政治とカネ」で、衆院広島3区の河合克之元法相が3月23日、議員辞職の意向を表明した。もし3月15日までに辞職したら、先の4月25日に広島で妻・案里との衆参ダブル選となり、政権にとっても逆風が吹いたはずだ。「政治とカネ」を巡る元議員夫婦の衆参ダブル選は前代未聞の出来事になっていた。結局、河井元法相の衆院補選は次期総選挙に統合される。
それにしても議員辞職を受け二階俊博自民幹事長は「他山の石として、自民党としてのしっかり対応していく」と口走ってしまい、野党から批判を受ける。自民内の話であり〈他山〉のはなく〈自山〉の不祥事であるにもかかわらずだ。
こんな中で政治が動き政権が揺れる卯月、4月の始まりである。
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