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【クローズアップ:22年度農業予算概算要求】みどり戦略関連、多様な担い手、コメ需給焦点 農政ジャーナリスト 伊本克宜2021年7月20日

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成長分野に「特別枠」

22年度概算要求の特徴は、コロナ禍で財政支出が膨らむ中で、メリハリのある対応ということだ。具体的には、政府が成長分野に予算を重点配分する「特別枠」を設ける。

菅首相の目玉施策との連動も重視する。安倍前首相の突然の辞意を受け、昨年9月中旬に発足した菅政権は、いわば前政権の予算要求を受け継いだ形となった。当然、菅首相自身、官房長官として政権中枢にいたため予算全体の差配をしていた。だが、事実上は安倍前首相の意向に沿ったものに過ぎない。今回は、6月の「骨太の方針」などを踏まえ概算要求スタート時から関わる初のケース。それだけに〈菅色〉の強い予算編成を目指す。

菅首相は具体的な政策推進を好む。自民党総裁選や秋までの衆院選実施など政治的要素も加わる。「特別枠」で予算を重点配分するのはグリーン(脱炭素化)、デジタル化、地方活性化、子育て支援の4分野だ。

農水省はみどり戦略、スマート農業推進

農水省はグリーン、デジタル化を踏まえた「特別枠」活用した予算獲得を目指す。

筆頭はグリーン対応だ。気候変動、国連の持続的開発目標であるSDGsも踏まえた「みどりの食料システム戦略」実現に向けた環境負荷軽減の技術開発、生産体制の構築など。さらに農業のデジタル化を担うスマート農業推進も目玉だ。

全中要請は6本柱

こうした中で全中の予算要請は大きく分けて六つ。新型コロナ対策、「人・農地」対策、グリーン社会への環境整備、国産農畜産物の輸出・需要拡大、コメや畜酪など品目別対策、災害・感染症等に強い農業対策である。

◎全中2022年度農業関係予算要請内容

・新型コロナ対策の継続・強化
・多様な担い手・育成とJAなど伴走機関の機能強化
・農地バンクの抜本強化
・地方回帰・活性化の促進
・グリーン社会実現へ農業者の所得確保
・品目別ではコメ需給対策の拡充、輸入飼料高騰対策、生乳需給安定対策

コロナ禍が長期化する中で、中小農業者の持続的な生産支援、労働力確保支援の継続に加え、大きく需要を失ったコメ対策拡充、国産農畜産物需要回復が必要だ。

また、政府・与党による「人・農地プラン」法定化の動きを踏まえ、同プランに位置づけられる中小・家族経営を含めた多様な担い手への支援拡充を求めた。

また、「特別枠」と絡むグリーン社会実現に向けた環境整備も挙げた。

スマート農業を含む技術開発、社会実装を加速化する。環境循環型農業の構築に向けた支援拡充を求めた。ただ、環境重視農業に取り組む農業者の所得確保に向けた万全な施策の確立も欠かせないとした。

品目別では、コメ関連は水田フル活用支援拡充、需給緩和への備蓄米の運用改善なども挙げた。畜酪では、輸入飼料価格高騰の中で国内飼料基盤強化、バターなど乳製品在庫が積み上がる中で生乳需給安定化への支援なども掲げた。

衆院選前の経済対策も焦点

予算関連では、コロナ禍の追加経済対策も今後の大きな焦点となる。自民党は秋の衆院選前に経済対策をまとめ、衆院選公約の反映させる方針だ。

時期的には、コメ過剰が深刻度を増す出来秋とも重なる。コメ需給対策をどうするかの政治判断も迫られる。

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