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【寄稿】JAはだの(神奈川)宮永均組合長 特定生産緑地待ったなし(2) 農と都市の共生の要に2021年12月13日

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三大都市圏特定市では生産緑地の8割が2022年に指定期限を迎える。都市農業存続のためには特定生産緑地制度への移行が急務だ。神奈川県秦野市農協の宮永均組合長に寄稿してもらった。

市街化区域農地と生産緑地の面積推移

宮永均JAはだの宮永均
JAはだの 代表理事組合長

また、JAはだのではこれらの状況を踏まえて、管内農家が市街化区域農地を維持するにあたって抱えている制度的課題などを相談や調査によって明らかにし、市街化区域農地を長期的に保全・活用していくために農の有する多面的機能の展開方向として、「農と都市が共生」したまちづくりの推進に取り組み、環境対策を推進しつつ多くの市民に「食」と「農」への関心を高め、持ち続けてもらうことを期待している。

市街化区域農地における農地保全は、都市農地を都市資源とみなしつつも、地域周辺の住宅地や緑地等との共生、「農と都市の共生」をいかにはかるかが重要なテーマである。つまり農と都市が有機的に関係を有しながら、良好な環境形成がはかられるような街づくりが求められている。

都市農地は駅に近い利便性に加えて、都市農地の多面的機能の観点から多様な機能を発揮することで、まちの付加価値を高め、高質な居住環境を形成することが期待できるため、計画的に農地を位置付け保全・活用をはかる必要があると考える。

農地の多面的機能は、農産物を生産して販売することが基本であるが、農地を農地として有効活用することを主目的として農産物生産以外にも様々な機能発揮をすることを期待している。すでにJAはだの管内では、市民農園や体験農園、コミュニティー農園の開設がされているが、秦野市の市街化区域内においては数少ない現状がある。

一方、市街化調整区域内にも多くの市民農園が設置され、利用者は自宅近くにあることが望ましく、気軽に農園に足を運ぶことができる環境が望ましい。

秦野市はこれまで、人口増加傾向にあったため市街化区域内には新規住民等が多く、市民農園や体験農園等の農業体験のニーズが大きい地区である。このため、特に体験農園の設置を推進し、食農教育、景観形成、コミュニティー形成による機能発揮に努めている。そのため高齢化した農業者の知識やスキルを最大限発揮することや、農作業の労働負担軽減をはかり農業経営を促進することなど、秦野市と秦野市農業委員会、JAはだので運営する「はだの都市農業支援センター」が主体となって推進している。

都市農業・農地は後世に残していくべきかけがえのない貴重な共有財産であり、「社会的共通資本」であると思う。都市農業は単に農産物を供給するだけでなく、身近に存在するヒートアイランド現象の緩和、災害時の避難場所、緑の空間の創出など多面的機能を発揮し、都市政策の貧困をカバーしている。市民農園や体験農園、学校農園等による農業との触れ合いにより 地域を中心としたコミュニティー形成や自然体験等を通じての感性を育てる役割を果たしている。

今日では、都市農業振興基本法・基本計画を踏まえた対応方向として、政府がまとめた基本計画は、市街化区域内の農地を「宅地化すべきもの」から「あるべきもの」に転換したため、今後、都市農業振興基本計画の講ずべき施策や秦野都市農業振興計画、JAはだの地域農業振興計画に沿った取り組みを加速しなければならない。

そのため秦野市をフィールドとして次のことを整備しなければならないと考える。

(1)農と都市の共生に資する面整備として、農業従事者の高齢化の進行は、ダイコンやバレイショなどの重量野菜から葉物野菜などの軽量野菜栽培を促進させる必要がある。さらに蓄積された栽培技術を生かすことができる都市型農業経営形態としての体験農園がよいと考えるが、土地区画整理事業はあくまで宅地化が主目的となるので、農地保全を前提とした面整備ができるのかが少なからず問題となるが、体験型農業ほ場の設置を拡大していく必要がある。

(2)新・農住組合制度への期待として、都市部のコンパクトシティーを目指す今日においては、市街化区域農地を円滑かつ速やかに住宅地等へ転換するための組織は、その役目を終えたと判断している。農地保全を前提に新たな農住組合制度に改定されることを期待し、前述したとおり「農と都市が共生」したまちづくりを進める必要がある。(※農住組合とは、住宅需要の著しい地域における市街化区域農地の所有者が協同して、必要に応じて当面の営農継続をはかりつつ当該市街化区域農地を円滑かつ速やかに住宅地等へ転換するための組織)

(3)所有権と利用権の分離等による公共財的活用により農地集積を行い「はだの市民農業塾」修了者などが 農業者となって、利用権設定による農地の利用拡大をはかり、また生産法人が利用する。そして、前述した体験型農業ほ場を設置拡大するなど、幅広く活用していく。

(4)農業の担い手がいない市街化区域農地所有者には「都市農地貸借の円滑化」の理解促進により市街化区域農地保全活用に対応する必要がある。

(5)都市化地域における認定農業者制度の基準見直しを行うべきである。農林水産省は、認定農業者制度の運用改善のガイドラインにより、農業経営基盤強化促進基本方針で都道府県知事がおおむね5年ごとに、その後10年間につき所得目標や効率的かつ安定的な農業経営の基本的指標を定めることとされ、目標を達成できる水準として設定されているかどうか改めて点検し、必要に応じて見直すものとしている。

市町村は効率的かつ安定的な農業経営の育成をはかるため、都道府県知事が定める基本方針に掲げられた基本的指針等を咀嚼(そしゃく)しつつ、それぞれの地域の実情を踏まえながら、基本方針を定めることができるとされている。秦野市において農業者を増やすためにも、育成すべき農業経営を地域段階で明確にし、支援を重点化していく制度として地域の実情に即した担い手の育成・確保に向けた取り組みを効率的・効果的に行うことが都市農地の保全・活用につながるのであろう。


【寄稿】JAはだの(神奈川)宮永均組合長 特定生産緑地待ったなし(1)

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