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コロナ禍第6波の中で進む都立病院独法化の不条理(2) ジャーナリスト・北健一2022年3月9日

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新型コロナウイルスの第6波の中で、公立・公的病院の効率化や再編・統合が進められ、現場の医療関係者などから危惧する声が高まっている。命より採算性を優先するかのように進められる公立病院をめぐる動きをジャーナリストの北健一氏が取材した。

現場の疑問を東京都病院経営本部にぶつけた。

――都の一般会計から都立病院会計への繰入金400億円は「赤字」か。

乙山広恵・計画調整担当課長「赤字補てんではない。都立病院が担う行政的医療にかかる費用は診療報酬だけでは賄えないため、維持に必要な額を都として財政している」。

――独法化で減らないか。

乙山氏「繰り入れを減らす目的は独法化にはない」

――看護師の昇給は11年目からはどうなるのか。

乙山氏「独法の人事賃金制度は、働きがいある制度にする。職員団体(組合)と協議中なので、中身は言えない」。

病院経営本部はそう言うのだが、都の病院経営委員会では、独法化後も行政的医療には都の補助金等を入れて継続し、それ以外は効率化を、と言う趣旨を述べた委員に対し、座長が、「名前だけ変わって、相変わらず同じような税の投入が継続されるようなことは......何のための独法化かということになる」と述べた(2020年2月4日)。都立病院関係者には「独法化で都税投入を削りたいというのが〝都の本音〟だ」という見方が広がった。

2006年、大阪府立病院は、全国の都道府県立病院として初めて独法化された。独法化、後収益が改善し「税の投入」は着実に減らされたため、「独法化の成功例」と見られてきたが、現場からは余裕が失われ、コロナ感染第5波では高い死亡率となった。

都立とは対照的に独法の府立病院はコロナ病床の準備が遅れ、効率化を進めた橋下徹・元府知事も〝反省の弁〟をツイートし話題を呼んだ。

独法化によって海外富裕層向けの「医療ツーリズム」など「稼ぐ医療」へ傾斜し庶民が切り捨てられたり、採算が取れないからと民営化や廃止につながる危惧もある。佐々木公一さん(前出)も、「独法化はごまかしで、後で民営化する卑怯なやり方だ」と喝破する。一方、病院経営本部の乙山氏は、「稼ぐ医療をする考えはない。PDCAサイクルを回して業務を見直し必要な措置をとることは、直営でも独法でも変わらない」と説明した。

地方独立行政法人法では、3~5年ごとに業務を見直し、廃止、民営化を含め必要な措置を講ずると規定されている。PDCAサイクルは民間企業で経営革新、合理化に使われるが、果たして行政的医療にそぐうのか。東京都の西山智之病院経営本部長は2月22日の都議会で、「行政的医療の提供は、(独法)法人の業務であることから、他の医療と同様、(業務見直しの)対象となります」と言い切った。

東京都だけの問題ではない。厚労省も「地域医療構想」で436病院を名指しして統廃合を狙い、急性期を中心に約20万床を削減しようとしている。

医療制度研究会副理事長の本田宏医師は「日本はもともと医師数がOECD平均と比べ13万人少なく、公立・公的病院の割合もかなり低い。コロナで公立病院の大切さが身に沁みたのに、独法化で効率優先にしたり統廃合を進めるのは本末転倒で、公立・公的病院をむしろ拡充すべきなのです」と力説する。

米倉春奈都議(共産党)は2月22日、都議会の議場で呼びかけた。

「独法化に対する意見の違いはいろいろあるでしょう。しかし、どこからどう考えても、コロナ禍の第6波のさなかの今やるべきではありません。(昨年の都議会で)独立行政法人の定款に賛成された会派のみなさんも含めて、今は立ち止まることを、心から訴える」

住民の命と健康を守るため、立ち止まり、〝本末転倒〟を初めて止めたケースが徳島にあった。徳島病院閉鎖・東徳島医療センターへの統合に反対する運動を進めた徳島県医労連の井上純書記長は、公立公的病院の統廃合を進めると「金のあるなしで命が左右される」と心配する。

反対の声が広がり、徳島県議会が全会一致で「徳島病院を守る決議」を可決。県知事も統廃合推進から姿勢を変え、統廃合の動きはぴたりと止まった。

徳島病院を守るため住民たちが立ち上がった(2018年11月11日、徳島病院再発見ウオーキング )徳島病院を守るため住民たちが立ち上がった(2018年11月11日、徳島病院再発見ウオーキング )

世界では、「命よりカネ」の新自由主義見直しが進む。コロナ禍で公立・公的病院が大活躍するなか、「効率優先」「削減ありき」は、立ち止まって見直すべきではないか。そのヒントが徳島にある。

独立行政法人(独法) 国や自治体が行っていた事業を切り離し、法人格を与えて運営することで、効率性、自律的運営、透明性の確保、向上を図る仕組み。国や自治体の直営から独法になった例には、病院や大学が多い。企業会計に準拠し運営には採算性が求められる。

公社病院 石原慎太郎知事(当時)による都立病院改革の受け皿として作られ、地域医療の拠点となってきた。「効率化」を掲げたが赤字に苦しんでいる。一部の病棟は老朽化しており、建て替え費用捻出も独法化後の難題となる。

コロナ禍第6波の中で進む都立病院独法化の不条理(1)

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