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【クローズアップ】鳥インフル発生が異例ペースで相次ぐ 「全国的にウイルス濃度高まり」 警戒強化呼びかけ2022年11月7日

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今シーズンの鳥インフルエンザの農場での感染が異例のペースで相次いで発生している。10月28日に初めて確認されて以降、1週間ほどで全国で5例が確認されてニワトリなどの処分は約189万羽に達し、すでに昨シーズン全体と同数になっている。農水省の専門家による会議では、「全国的に環境中のウイルス濃度が非常に高まっていると考えられる」と指摘され、同省は野鳥などを介したウイルスの侵入をはじめ、農場周辺の防疫措置をこれまで以上に徹底するよう全国の家きん飼養者に呼びかけている。

鳥インフルエンザが異例ペースで流行(岡山県提供).jpg

岡山県での鳥インフルエンザの防疫措置(岡山県提供)

1週間で全国で5例 異例のハイペース

農水省によると、今年最初の発生は10月28日、岡山県倉敷市の養鶏場で死亡したニワトリが検査の結果、患畜となるおそれがある疑似患畜と確定された。同日、北海道厚真町の養鶏場でも疑似患畜が確認されたのに続き、11月1日には香川県観音寺市の養鶏場でも確認、さらに11月4日には茨城県かすみがうら市の農場と、1例目と同じ岡山県倉敷市の別の農場でも疑似患畜が確認された。
短期間で2例の発生が確認された岡山県の伊原木隆太知事は「想像している以上に大量のウイルスが岡山県内に入ってきている可能性がある」と、感染拡大の防止を呼びかけた。

処分数は189万羽 昨シーズン全体と同数に

疑似患畜が確認された農場では、飼育しているニワトリなどを殺処分する防疫措置が進められている。農水省によると、処分の対象は5か所合わせて約189万羽に達した。これは昨シーズン(2021年11月~2022年5月)、12道県で25件発生して処分された総数に匹敵し、高病原性鳥インフルエンザの発生に伴う処分数としては、最も多かった2020年11月~2021年3月の約987万羽に次いで過去2番目に多い数字となったという。

「全国的にウイルス濃度非常に高まっている」

こうした事態を受けて、今月4日、専門家らでつくる農水省審議会の家畜衛生部会の「家きん疾病小委員会」が開かれ、今後の防疫方針が話し合われた。
農水省はすでに9月22日に都道府県に通知を出して、家きん飼養者に対して早期発見・早期通報の徹底をはじめ、野鳥などを介した農場内へのウイルス侵入防止対策の徹底などを求めている。今年は特に9月以降、野鳥の鳥インフルエンザの感染がたびたび確認されていることから、「全国的に環境中のウイルス濃度が非常に高まっていると考えられる」として、改めて警戒の強化を呼びかけた。
具体的には、特に農場周辺にため池などの水場がある場合は、防鳥ネットや家きん舎の穴などの再点検を徹底するとともに、これまでに以上に▽農場内での手指や長靴の消毒▽農場周辺の消毒等の防疫措置の徹底▽毎日あるいは汚れた都度、消毒薬の交換や消毒前の長靴の洗浄等を実施すること、を呼びかけている。

世界的な流行の可能性 欧州では夏季の発生も

農水省によると、鳥インフルエンザは昨シーズン、世界的に流行が見られたのに加え、世界規模で野鳥の感染が確認されており、今シーズンも早くから感染した渡り鳥の飛来するリスクは高いと指摘されていた。実際、野鳥では、国内でこれまでで最も早い9月25日に神奈川県で野鳥のハヤブサから検出されている。また、野鳥が日本に渡るルートの1つとされる韓国では、日本の農場で確認される前の10月17日から26日にかけて3か所の農場で鳥インフルエンザが発生していた。さらに世界的には、欧州や北米大陸で、これまでと異なり、夏季になっても農場での感染が継続しており、ハンガリーやブルガリアでは今年6月の発生が報告されている。

こうした状況を踏まえ、農水省は今シーズンも家きん飼養者に警戒の強化を呼びかける一方、鶏肉や鶏卵等を食べることにより、ヒトが鳥インフルエンザウイルスに感染する可能性はないと考えられることから、消費者には冷静な対応を求めている。

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