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【米国農政・2024 大統領選の行方】「確トラ」の暁には日本農業は生贄に 明海大学准教授・宮﨑礼二氏2024年7月4日

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世界的な異常気象や紛争で食料問題、ひいては農業から目が離せない。今回は米国経済に詳しい明海大学経済学部准教授の宮﨑礼二氏に米国農政について2回に分けて寄稿してもらった。2回目はアメリカの労働運動と大統領選をテーマにした。

〇アメリカ国旗.jpg

前回の2020年米国大統領選挙では、バイデン氏が現職トランプ大統領を打ち負かす結果であった。バイデン民主党政権の成立に大きく貢献したのが、Z世代(1997年以降生まれ)とミレニアル世代(81年から96年生まれ)といった若い世代の強い支持だった。これら若い世代は、富の再分配、気候変動、医療保険、人種やジェンダーによる差別、性的指向の自由などを重要課題と考え、共和党による保守ではなくリベラルな民主党を政治選択する傾向が強く見られる。

若い世代の新たな政治力の誕生のきっかけは、格差拡大と不公正な社会に異議を唱える運動として2011年秋にニューヨークで始まった「オキュパイ運動」にある。人口わずか1%の富裕層が米国の富の30%、人口10%では富の70%近くが占有される格差社会の是正を求める運動であった。この運動は既存の労働組合や市民運動との連携を重視し、80年代以降停滞を続ける労働運動に新風を吹き込んだのである。翌2012年にはファストフード労働者による最低賃金15ドルを求める運動「ファイト・フォー・15ダラーズ」が発足した。これら運動は、オバマ民主党政権の政策志向と一致し、全米一斉ストライキや組合の組織化を活発化させた。その後のトランプ共和党政権において強い逆風に直面しながらも、運動は衰えるどころかいっそう勢いを増し続け、共和党から民主党への政権交代の原動力となった。

バイデン政権の後押しを受けて、労働運動はますます勢いを増し、職場放棄をともなうストライキ数は、01年から20年では年平均わずか16件であったのに対して、21年は270件、22年は414件、23年には421件と増加を続けている。2000人以上が参加する大規模ストライキも、22年に15件、昨年には25件へと増えた。

組合組織率は1983年の20%から現在では半減しているのに対し、世論調査では6割の人々が組合組織率の低下が米国にとって悪いことであると回答した。また別の調査では、政党支持に関係なく71%の人々が労組を支持、30歳以下の若い世代による労組支持は88%にも上っている。ストライキ支持率は75%ととても高い。11月の大統領選挙では、自動車労組、鉄鋼労組、建設労組など有力労組が次々とバイデン支持を表明している。

若者と労働組合から強力な支持を得たかに見えるバイデン大統領だが、イスラエル・ガザ紛争でイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの侵攻を容認し、軍事支援を続け、国連では停戦決議案に対し拒否権を行使し続けるバイデン大統領への失望と反感が支持層の要である若者たちの間で広がっている。5月時点で、全米140を超える大学キャンパスで、「即時停戦」と"DIVEST"(「イスラエルへの投資を止めろ」)をスローガンとする学生による抗議デモが継続的に行われている。

米国第一主義貫く 対日要求拡大は必死

明海大学経済学部准教授の宮﨑礼二氏

【画像】明海大学経済学部准教授 宮﨑礼二氏

11月本選の勝敗を決定づける激戦州の一つ、ミシガン州での民主党の予備選において、イスラエル支援を続けるバイデン大統領に抗議して「支持候補なし」と投票した人は得票率で13%を上回った。こうした有権者にとって、イスラエル・ガザ紛争についてはバイデン大統領も共和党のトランプ氏も本質的な違いはなく、11月の本選では第三の候補者ケネディ氏へとバイデン票は流出し兼ねない状況にある。民主党ではベトナム反戦運動が大統領選の敗北につながった「1968年の悪夢」の再来が懸念されている。

それとは逆に、トランプ氏が大統領経験者で初めて刑事裁判で有罪評決を受けたことにより、これまでトランプ支持をちゅうちょしていた共和党議員や支持者らは、今回の評決を一斉に「民主党による魔女狩り的選挙妨害だ」と非難し、トランプ支持の下に団結・連帯を強めつつある。英国の『エコノミスト』誌は6月27日に、全米および各州の世論調査をもとに、トランプ氏が勝率71%、バイデン氏は勝率29%との分析結果を発表した。本選まで残り4ヵ月。「もしトラ」は「ほぼトラ」、「確トラ」になるのか、予断を許さない。

任期4年の2年目に実施される中間選挙は、政権前半期に対する評価であり、任期後半の政権運営を左右する議会構成を決めるため、政権政党が上下両院で多数派を獲得することが大統領の望む政策課題をおこなうための条件となる。次期大統領がバイデン氏の場合よりもトランプ氏のほうが、26年中間選挙に向けて、「米国第一主義」で手っ取り早く成果をあげようと対日要求を突きつけてくることが予想される。

19年夏の日本による米国産の余剰トウモロコシの購入を想起すればよいだろう。日米で協議していた貿易協定とは別に、安倍=トランプ会談で突如、飼料用トウモロコシ250万t、年間輸入量の20%超の日本による緊急輸入が取り決められた。トランプ氏は予定になかった日米共同会見を開き、「国内のいろいろな場所でトウモロコシが余っている。そのトウモロコシを全部、日本が買ってくれることになった」と上機嫌で安倍首相に感謝の意を表した。当時の米国でトウモロコシの余剰が深刻になった原因はトランプ政権の政策にあるが、いずれにしても、20年中間選挙を見据えたトランプ=共和党支持の農民票の離反を防ぐための決定であった。

「確トラ」になれば、「米国第一主義」というより「トランプ第一主義」と米国の歓心を買いたい日本政府によって再び生贄(いけにえ)として日本農業は差し出される不安にさいなまれることになるだろう。

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