【石破総理 新春インタビュー】政治の大転換期、新たな農業政策へ どう一歩踏み出すか(1)2025年1月1日
改正食料・農業・農村基本法が成立、施行された2024年は「農政の大転換の年」と強調されたが、総選挙後の国会は少数与党と野党との協議で政策決定されるなど「政治の大転換」も期待される年となった。2025年にどう臨むのか。石破茂内閣総理大臣に聞いた。(聞き手:谷口信和東大名誉教授)
理想と現実見据えて
歴史的大転換期の政治
石破茂内閣総理大臣
谷口 今日は今の政治的大転換期をどう捉えて、新たな農業政策の一歩をどう踏み出すのかをテーマにお話しいただきたいと思います。
最初に私の考えを申し上げます。今、日本の政治における民主主義が三つの点で大転換期にあります。
そのうちの1番目は自民党という与党のなかでの民主主義です。与党内での政策決定における民主主義をどうするか、今までのままではいかなくなったということです。
2番目は政府と与党の関係です。ここにおいても政府に丸投げで政策をつくる、あるいは政府が一方的に与党に押しつけるという関係ではなくなりました。
そして、一番大きいのは3番目の国会における民主主義です。恐らくさまざまな意見を交換しながら、必要においては修正ということも含めて政治を行っていく。それは妥協するということではないと思います。選挙公約を出しているのだから勝った側はそれをそのまま実現すればいいかといえばそうではないでしょう。それに反対する国民も野党もいるわけで、それらの意見が反映されていくということが、おそらく政策の幅を広げる意味で非常に重要だろうと思います。
総理は紛れもなくそうした歴史的な大転換期に立っておられ、後世、その時の総理大臣は誰だったかと問われれば石破総理だった、ということになると思います。
最初に、こうした現在の局面についてのご認識をうかがいたいと思います。
石破 振り返ると、8月14日に当時の岸田文雄総理が突如として退陣を表明され、自民党内が大混乱に陥り、今まで経験したこともない総裁選が始まりました。
岸田総理御自身がみんなどんどん出てくれというようなこともおっしゃいました。その前に派閥のほとんどは解散を表明しており、今までは派閥から誰かが出て、最終的にその合従連衡による数の力で総裁が決まり、日本国内閣総理大臣が決まっていったのですが、38年この世界にいて、こんな総裁選挙はなかった。
幹事長が総裁選に出るというのはあまり聞いたことがないし、現職閣僚からは官房長官、外務大臣、デジタル担当大臣、経済安全保障担当大臣が出るということで、今までにない自民党の総裁選で、最終的に党員投票と国会議員投票で過半数をとった者がいなかったので、上位二人、高市早苗さんと私で決選投票になりました。
党員票は47票しかありません。各県連から一票です。結局、国会議員の票で決まっていったのですが、そこにいろいろな力学が働いて結果として私になったわけです。本当にくどいようですが、今までの自民党の総裁選挙とは全く違うかたちになった。
総裁選挙の際には私なりに自分の思うことを言いました。地位協定の見直しとか、アジア版NATO、たしかにNATOというから差し障りがあるかもしれないけれども新しい安全保障の仕組みがアジアにおいて必要ではないかとか、防災省を作らねばならならない、地方創生はもう一回やり直すぞとか、かなり先鋭的というべきか、そうした考えを出して総裁になりました。けれども、では私を推した人たちがそれにみんな賛同したのかといえば、そうでもない。
自民党というのは総裁が独裁的に何でもやれる政党ではない。自分がやろうとしたことを少しずつ少しずつ、できるものからやっていくしかないわけで、総裁選挙の時に言っていたことと、実際にやっていることが違うじゃないか、ブレているじゃないか、という話もありますが、現実はそういうものです。しかし、そこがなかなか伝わらずブレているなどと言われて、あまり支持が広がらない、と。
谷口信和東京大学名誉教授
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