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【石破総理 新春インタビュー】政治の大転換期、新たな農業政策へ どう一歩踏み出すか(4)2025年1月1日

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改正食料・農業・農村基本法が成立、施行された2024年は「農政の大転換の年」と強調されたが、総選挙後の国会は少数与党と野党との協議で政策決定されるなど「政治の大転換」も期待される年となった。2025年にどう臨むのか。石破茂内閣総理大臣に聞いた。(聞き手:谷口信和東大名誉教授)

農業政策 社会と一体

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石破 これももう古くて新しい議論で、農業政策は産業政策と社会政策の両面を持っているわけです。私は必ずしも小農優先主義には立っていないんです。水田は広ければ広いほどいいんだが、しかし、経営面積が20ヘクタールを超えると、かえってコストがかかるようになるし、分散錯圃(ほ)も解消していかなければなりません。

いかにして社会政策と産業政策、これを両立させていくかということについて答えが出ていないので、ここは答えを出さなきゃいかんと思います。

それから、お米を食べましょうということを本気でやってきたかといえば、私ははなはだ怪しいと思っています。去年の世に言われる「令和の米騒動」、これはなぜ起こったのか、令和5年産米の作況指数は101であり、「不作だった」というのは違います。外国人がたくさん食べたという指摘もありますが、本当にそうでしょうか。

細川内閣のときには異常気象で、作況指数が74でした。でも一昨年は足りなかったというわけではない。しかし、備蓄米の放出も議論になりました。私はこれが正しいという根拠を持ってはいませんが、世に言われる「令和の米騒動」の検証が重要であり、それがないと、そういうことが頻発する危険性があると思っています。

一方で私たちが議員になった頃は短粒種の水分が多いジャポニカ米なんて世界では誰も食べない、それを世界に売ろうということなどもともと無理だと言われていました。しかし、コロナ禍もあってニューヨークやパリのおにぎり屋が売れているという状況が出てきました。ともかく、やはり米消費拡大をまじめに考えようということは意味があります。

水田と森林が大事だ

谷口 今日は長期的な水田農業政策の話はとてもできませんが、ぜひ水田を大事にするというメッセージをいただきたい。これが農政の基本だと。気候変動を考えても日本の場合は、もっぱら豪雨ですから、水田の機能を生かしていくことを基本に据えざるを得ないと思います。

石破 そうですね。水田では連作障害が起こりません。この水田があって、日本国がある。水田の機能を失わせることがあってはならないが、水田が耕作放棄地になり、あちこちで熊が出る、イノシシが出るといった具合に国土そのものがおかしくなりつつあります。大事なのは水田と森林だと思っています。これはセットです。

谷口 最後にJAグループに向けてのメッセージをお願いします。

石破 一人は万人のために万人は一人のために。これがJAであって、本当に国民世論を動かしていくんだと思っています。いつも申し上げますが、平成の大合併で市町村の数は半分以下になってしまいました。地域のコミュニティーを維持するには、やはりJAですし協同の精神だと思っています。

物価高が克服しなければならない政策課題の一つですが、やはりいい米が安く手に入るということが求められます。もちろん去年は価格が高騰して、それでようやっと米生産を続けられるレベルになったということはよく知っています。

だけれども、国民に安くおいしい米を提供するのは国民すべての利益であり、それは土地改良政策もそうだと思います。国民全体の福祉に資するような農業政策、それを支えるJAというものがもっとこの国の再生のために機能してほしいと願っています。

【インタビューを終えて】

谷口信和東京大学名誉教授

谷口信和東京大学名誉教授

▼今回のインタビューは貴重な体験となった。年に2度も、首相相手も全く初めてだった▼【試行錯誤】。この言葉は今の石破政権に最も相応しい▼政権の第1ラウンド=臨時国会での補正予算と政治改革法案成立プロセスは戦後日本政治史上で特筆される1ページとなる▼当初は国民民主党とだけの政策協議で始まったが、補正予算では野党第1党の立憲民主党とも協議が行われ、予算案は28年ぶりの修正をともなって成立した▼江藤農水相の活躍も石破内閣ならではの印象だ▼第2ラウンド=通常国会が正念場だが、トランプ大統領との会談実現がそのための成功切符となるだろう。▼国会が面白くなった。(谷口信和)

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