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都会の真ん中に百姓の叫び 令和の百姓一揆・トラクターデモレポート2025年4月2日

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都会のまんなかに、百姓の叫びが響いた――。
「令和の百姓一揆」と銘打たれたトラクターデモが3月30日、東京のど真ん中で実施された。全国からトラクターを持ち込んだ農家を含む4500人が集結し、「農を守れ」「農民を殺すな」と声を上げた。現場からの声を拾い、記録する。(客員編集委員 先﨑千尋)

4500人が集結した「令和の百姓一揆」トラクターデモ(3月30日、東京都内)4500人が集結した「令和の百姓一揆」トラクターデモ(3月30日、東京都内)

声援が励みになる

「思っていた以上にデモの参加者が多かった。生産者だけでなく、一般の消費者の人たちも多く集まり、米だけでなく、農業をどうするのかについて共感を持って参加していたのに驚き、すごいなと感じた。トラクターで行進していると、沿道から手を振る人、頑張ってくださいと声をかけてくる人がかなりいて、すごいインパクトを受け、励みになり、参加してよかった。トラクターの参加者とも情報の交流ができてうれしかった」。3月30日の「令和の百姓一揆」にトラクターで参加した茨城県那珂市の米生産農家・浅川泉さん(61)は弾んだ声で語ってくれた。すぐ近くに住む秋山東栄さん(64)も常陸農協の秋山豊組合長に声をかけられ、都会の消費者に百姓の気持ちを直接訴えたいと、一緒にトラクターデモ行進に加わった。2人は水稲栽培の他に、地区内の空中防除作業などを請け負っている。東栄さんは土地改良区の理事も務めている。

2人は、「国は『これからの農業はもうかる農業、スマート農業』だと言っているが、それは大規模農家だけを対象にしており、中山間地の農家ではできない。新規に米づくりを始めるには、トラクターやコンバイン、乾燥施設などの設備投資に5000~6000万円かかり、今後も米価がもっと高くなる保証はないので、国が相当の補助金を出さなければ、誰も手を出せない。今の値段でも、経費が7~8割かかるので、時給10円と言われているように、農家がもうかっているわけではない。そのことを消費者に分かってほしい」と話す。2人が耕作している水田では、現在、再基盤整備事業が進んでおり、最大区画3haになるが、4割の転作が条件。米が足りないと騒いでいるのだからもっと作らせればいいのに、こういう条件をつけることは理不尽、おかしいとも言う。

02:地域の米生産状況を語る秋山組合長、トラクターデモ参加者の浅川泉さん、秋山東栄さん(左から)02:地域の米生産状況を語る秋山組合長、トラクターデモ参加者の浅川泉さん、秋山東栄さん(左から)

秋山組合長は「ここ数年米価が下がり、農地を守ってきた女性たちの離農が進んでいる。残った担い手も地域の田畑を請け負いきれない状況だ。担い手も60代後半で、この人たちが倒れれば、数十haの水田が作れなくなり、急速に耕作放棄地が増えていく。大規模農家に農地を集約すれば何とかなるという人もいるが、担い手になる人がいない。このままでは農村から若者がいなくなり、村が消えてしまう。百姓の悶々とした気持ちをデモで都会の人たちに訴える。それもトラクターで」と、2人の気持ちを代弁する。

同農協では直営の直売所で、管内で生産された米を玄米(キロ700円)で1家族10キロまでと制限して販売しているが、担当者は「普通の精米よりも安いので、まもなく在庫がなくなってしまう」と悲鳴を上げている。

二人が住んでいる旧瓜連町には30~40haを経営している水稲農家が2軒あるが、それ以上規模を拡大すると雇用労働力が必要になり、新たなトラクターなど設備投資も必要になるので、50~100ha規模の農家はこの地域では期待できないと秋山組合長は話す。町内には4人の集荷業者がおり、農協よりも高く買い入れるので、農協の集荷率(予約数量に対する集荷率)は昨年で7割程度にとどまっている。

「農終い」、そしてムラが消える

私は集会の会場に午後1時前に着いた。もう全国各地からの参加者でいっぱいだ。むしろ旗や思い思いのプラカード。生協の旗もある。空には取材のヘリコプターが舞い、舞台の前には取材のカメラが林立。韓国のテレビ局も主催者にインタビューしている。私自身も国際情報紙のインタビューを受けた。

農民一揆の集会はほら貝の合図で始まり、30人のトラクター・オペレーターが「消費者の人たちに農村の実情を知ってもらいたい」などと発言し、出発した。

トラクターデモのしんがりを務めた浅川、秋山さんトラクターデモのしんがりを務めた浅川、秋山さん

その後に挨拶した百姓一揆実行委員会代表で山形県の専業農家・菅野芳秀さん(75)は、「日本の農業は崩壊の局面に入って来た。ムラから農民が消え、ムラそのものが消えようとしている。都会の消費者はそのことを知らないでいる。だが、農業が滅んで本当に困るのはその消費者だ。まだ農民が残っている今、国民とともに農を滅ぼそうとしている政治を変えていかなければならない。今日はそのための集会だ。農村では、『墓終(しま)い』と同じように『農終い』という言葉が交わされている。そういうことがないようにしたい。このことには保守も革新もない。我々の世代の役割は、次の世代にその志をどうつなげていくかだ。やわらかく、おおらかな、のびのびした運動を続けていこう」と訴え、参加者の大きな賛同を得た。

最後に、集会の仕掛け人の山田正彦(82)元農林水産大臣が「日本の食と農を守るために、欧米並みの戸別所得保障をわが国でも実現させよう」と訴えた。

集会の参加者は主催者発表で3300人、沿道参加者も含めると4500人と、想定以上だった。江戸時代の百姓一揆は、領主や代官に対して年貢の減免を訴え、暴動という形を取ったが、今回の「令和の百姓一揆」は、暴動は起こさない、火もつけない、敵を作らない、他の団体や人の批判も行わないというスタイルだった。

私は徒歩でのデモの隊列に加わり、茨城県勢と一緒に、会場から青山通り、高級ブランド店が並ぶ表参道、人通りの多い原宿駅前を通って、代々木公園までを「農民を殺すな」などと訴えながら歩いた。途中では、手を振る人、拍手してくれる人、スマホで撮る人など、関心を示し、デモを支持してくれる人が多い印象だった。

都会の真ん中に百姓の常陸農協那珂直売所の告知板常陸農協那珂直売所の告知板

私がこの集会に参加して強く印象に残ったのは菅野さんの「農終い」という言葉だった。私が住んでいる辺りで見ると、なるほど農終いが始まっている。今年は5年に一度の「世界農林業センサス」が実施される年だが、わが家に来た調査員の話だと、純農村なのに14戸ある組内で調査対象になるのはたったの2戸ということだ。6戸ある飯米農家は調査の対象外なのだ。空き家も2戸ある。堆肥づくりのための落葉さらいをしているのは、ずっと前からわが家だけ。町で1軒しかない。

わが家の農業経営は、50aの谷津田の水田と少しばかりの畑。確定申告では50万円の赤字だから、モミ1袋(25kg)当たり5000円の赤字になる。時給10円どころの話ではないのだ。そのわが家にも、35%の減反目標が国から市を通して届いている。

デモが終わったあとの「次に向けた寄り合い」では、「令和の百姓一揆の会」を立ち上げ、農と食を守る運動を続けていくことを決めた。今回は全国14カ所でトラクターデモが行われたが、この運動が全都道府県に広がることを期待する。

(客員編集委員 先﨑千尋)

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