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関税以外の5項目、オバマ大統領の受け止めは不明 日米首脳会談2013年2月25日

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 2月22日に行われた安倍首相とオバマ大統領との日米首脳会談の概要を外務省が公表しているが、安倍首相が説明したとされるTPP交渉参加に関する「聖域なき関税」問題以外の5項目についてオバマ大統領がどう話したのかは不明だ。

日米首脳会談でオバマ大統領と握手する安倍総理(首相官邸ホームページより) 会談の概要によると、安倍首相から「日米が協力してアジア太平洋地域における貿易・投資に関する高い水準のルール・秩序を作っていくことの意義は大きい」と話した。
 そのうえでTPP交渉については、衆院選挙で「聖域なき関税撤廃を前提にする限りTPP交渉参加に反対する」という公約のほか、自民党は5つの判断基準を示して政権復帰を果たしたとオバマ大統領に説明したという。
 関税問題以外の5つの基準とは(1)自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない、(2)国民皆保険は守る、(3)食の安全安心は守る、(4)国の主権を損なうようなISD条項(投資家対国家紛争解決手続き)は合意しない、(5)政府調達・金融サービス等はわが国の特性を踏まえる、である。
 安倍首相は会談後に記者会見でもこれらの「5項目についても言及した」と話したが、オバマ大統領がどんな発言をしたのかは会談概要には記されていない。
 概要が伝えるのは、引き続き安倍首相から▽日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように両国ともに2国間貿易上のセンシティビティが存在すること、▽最終的な結果は交渉のなかで決まっていくものであること、▽交渉参加に際し、一方的にすべての関税撤廃をあらかじめ約束することは求められないこと、の3点を述べてオバマ大統領との間で確認したということだ。
 実際、この部分は共同声明の第2段落部分そのままで安倍首相からの提起であることは分かる。しかしながら文面からは「最終的な結果は交渉のなかで決まっていくものである」としているように、首脳会談で農産品についての例外確保が認められたとはいえない。
 さらに自民党は外交・経済連携調査会で判断基準の6項目は一体のものとしているが、ISD条項や食の安全などの問題で掲げている方針について、それらを担保できるとの“感触”を首脳会談で得たとの説明は安倍首相からはない。
 むしろ今回の共同声明で問題視すべきなのは、TPPはすべての物品が交渉対象であり、包括的で高水準の協定という既参加国が合意した「TPPのアウトライン」を日本も参加して達成していくことを両国政府が確認した、と冒頭に明記した点だ。
 これは多くの国民や過半の与野党国会議員がもっとも問題があるとして反対してきた「TPPの理念」である。それをふまえて自民党の公約も打ち出されたのだと理解して投票した有権者からすれば公約違反と映る。25日から自民党は役員会を開く予定で、党内の議論が最大の焦点になってきた。

(写真)
日米首脳会談でオバマ大統領と握手する安倍総理(首相官邸ホームページより)


■日米共同声明(2013年2月22日 外務省仮訳)

 両政府は、日本が環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉に参加する場合には、全ての物品が交渉の対象とされること、及び、日本が他の交渉参加国とともに、2011年11月12日にTPP首脳によって表明された「TPPの輪郭(アウトライン)」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになることを確認する。
 
 日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに二国間貿易上のセンシティビティが存在することを認識しつつ、両政府は、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであることから、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認する。
 
 両政府は、TPP参加への日本のあり得べき関心についての二国間協議を継続する。これらの協議は進展を見せているが、自動車部門や保険部門に関する残された懸案事項に対処し、その他の非関税措置に対処し、及びTPPの高い水準を満たすことについて作業を完了することを含め、なされるべき更なる作業が残されている。


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