【TPP】自民党TPP対策委員会の決議2013年3月14日
自民党のTPP対策委員会は3月13日夜、「TPP対策に関する決議」(本文参照)を採択した。各グループ会合のとりまとめ報告とともに、14日夕の外交・経済連携本部で正式の了承する。
【TPP対策に関する決議】
平成25年3月13日
自由民主党外交・経済連携本部
TPP対策委員会
本年2月22日の日米首脳会談の結果、安倍総理とオバマ大統領は、「環太平洋パートナーシップ」(TPP)交渉に関する共同声明を発表し、「聖域なき関税撤廃」が前提でないことが文書で確認された。これは、安倍新政権による日本外交の成果と考えられる。
これを受けて、自由民主党外交・経済連携本部に置かれたTPP対策委員会は、政府並びに関係諸団体等から意見聴取を行うとともに、分野毎の検証作業などを通じ、全党挙げての集中的な議論を行った。これらの結果として、以下の通り決議し、安倍総理に対し、申し入れを行うものである。
1.先の総選挙において、自由民主党は、TPP交渉参加に関し6項目の約束を国民に対して行って選挙戦に臨み、政権復帰を果たした。これらの公約は、国民との直接の約束であり、党として必ず守らなければならない。
このため、政府は、国民生活に対する影響を明らかにし、守るべき国益を如何にして守るかについて明確な方針と十分な情報を国民に速やかに提示しなければならない。また、本年2月27日に自由民主党外交・経済連携調査会で採択した「TPP交渉参加に関する決議」を遵守し、その実現に向けた戦略的方針を確立するべきである。
2.TPP交渉参加については、国民の間に様々な不安の声が存在している。
(1)もし、聖域の確保が達成できなければ、食料自給率の低下、農地の荒廃、担い手の減少などにより、国民に安定的に食糧を供給する食料安全保障が確保できなくなるのではないか、離島や農山漁村地域などにおける社会基盤が維持できなくなるのではないか、また、美しい故郷と国土を維持する多面的機能が維持できなくなるのではないか、との声が大きい。
(2)国民の生活に欠かせない医療分野でも、これまで営々と築き上げてきた国民皆保険制度が損なわれるのではないか、また食の分野においては、食品添加物や遺伝子組換え食品などに関する規制緩和によって食の安全・安心が脅かされるのではないか、との強い懸念が示されている。
(3)さらに、我が国の主権を損なうようなISD条項(投資家対国家間の紛争解決条項)が導入されるのではないか、政府調達、金融サービス等について、我が国の特性を踏まえることなく、国際調和の名の下に変節を余儀なくされるのではないか、といった様々な懸念が示されている。
3.一方、今TPP交渉に参加しなければ、今後、我が国の人口減少・高齢化が一層進む中、アジア太平洋地域の成長を十分に取り込むことができず、我が国がこれまで築き上げてきた国民生活の水準、国際社会における地位を保つことはできなくなるのではないか、との懸念する声も大きい。また、世界第3位の経済大国である我が国が、アジア太平洋地域における貿易や投資等の経済ルール作りに参加しないことは、この地域における政治的・経済的リーダーシップの低下につながるとの声もある。
さらに、我が国にとって日米関係が外交の基軸であることにかんがみ、今後のアジア太平洋地域における経済連携を進めるに当たっては、TPP交渉に参加して、米国との一層の経済的連携を深めるとともに、守るべき国益の議論のみでなく、交渉において攻めるべき点を攻めていくべき、との大きな声もある。
4.このように、国民の意見が大きく分かれる中で、我が国がTPP交渉参加の是非を判断することは、容易ではない。安倍総理におかれては、岐路に立つ日本の経済・社会が今後進むべき方向を選択するという高い見地から判断願いたい。なかんずく、上記のような様々な意見を十分に尊重され、我が国の自然的・地理的あるいは歴史的・社会的条件、我が国を取り巻く国際環境、経済再生の重要性等を踏まえ、国家百年の計に基づく大きな決断をしていただきたい。
5.なお、仮に交渉参加を決断する場合において、TPPが国民生活に大きな影響を及ぼし得ることから、以下の諸点を確実に実行すべきである。
この場合において、特に、自然的・地理的条件に制約される農林水産分野の重要5品目等やこれまで営々と築き上げてきた国民皆保険制度などの聖域(死活的利益)の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとする。
(1)政府は、別紙の党内5グループ並びに21作業分野に対する検討チームの取りまとめの内容を踏まえ、2国間交渉等にも留意しつつ、その主張が交渉結果にしっかりと反映されるよう全力を挙げ、交渉の進展に応じ、適時に十分な情報提供を行うこと。
(2)これまで、国内の各産業や各制度については、省庁ごとに個別に交渉することが多かったが、TPP交渉においては、強力な交渉チームを作り、また閣内の連携を強く保つことにより、政府一丸となって国益を十分に実現していくこと。
[結び]
仮にTPP交渉に参加する場合は、国益がしっかり守られ、結果として日本の繁栄につながるよう、政府と与党が一体となって交渉を進めるべく、自由民主党外交・経済連携本部内のTPP対策委員会と政府は緊密に連携すべきである。
また、各国の主張を冷静に見極め、我が国としての主張を効果的に展開していくために、党としても国会議員による議員外交を、戦略的、かつ、積極的に展開してまいる所存である。
以上
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(130)-改正食料・農業・農村基本法(16)-2025年2月22日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(47)【防除学習帖】第286回2025年2月22日
-
農薬の正しい使い方(20)【今さら聞けない営農情報】第286回2025年2月22日
-
全76レシピ『JA全農さんと考えた 地味弁』宝島社から25日発売2025年2月21日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付)2025年2月21日
-
農林中金 新理事長に北林氏 4月1日新体制2025年2月21日
-
大分いちご果実品評会・即売会開催 大分県いちご販売強化対策協議会2025年2月21日
-
大分県内の大型量販店で「甘太くんロードショー」開催 JAおおいた2025年2月21日
-
JAいわて平泉産「いちごフェア」を開催 みのるダイニング2025年2月21日
-
JA新いわて産「寒じめほうれんそう」予約受付中 JAタウン「いわて純情セレクト」2025年2月21日
-
「あきたフレッシュ大使」募集中! あきた園芸戦略対策協議会2025年2月21日
-
「eat AKITA プロジェクト」キックオフイベントを開催 JA全農あきた2025年2月21日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付、6月26日付)2025年2月21日
-
農業の構造改革に貢献できる組織に 江藤農相が農中に期待2025年2月21日
-
米の過去最高値 目詰まりの証左 米自体は間違いなくある 江藤農相2025年2月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】有明海漁業の危機~既存漁家の排除ありき2025年2月21日
-
村・町に続く中小都市そして大都市の過疎(?)化【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第329回2025年2月21日
-
(423)訪日外国人の行動とコメ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年2月21日
-
【次期酪肉近論議】畜産部会、飼料自給へ 課題噴出戸数減で経営安定対策も不十分2025年2月21日
-
「消えた米21万トン」どこに フリマへの出品も物議 備蓄米放出で米価は2025年2月21日