TPP「強い憤りをもって抗議」萬歳会長が会見2013年3月15日
安倍首相が15日夕、TPPへの交渉参加を正式に表明したことを受け同日夜、JA全中の萬歳章会長は東京都内で緊急会見を開き、抗議声明を発表した。
声明のなかで「TPPは国のかたちを一変させる極端な交渉であるという懸念が国民の間にあるなかで、総理が極めて前のめりな姿勢で参加表明に踏み切ったことは到底納得できない。全国の農業者とともに、強い憤りをもって抗議する」とし、「十分な説明がなく、政府統一試算も事前に情報開示しないまま、拙速に参加表明した政府の姿勢は極めて遺憾」と抗議した。
萬歳会長は「TPPは聖域なき関税撤廃が原則であることからこれまで断固反対してきた。関税が除外できるのであればTPPではないと解釈している。TPPについて断固反対の認識は変わっていない」と述べ、「長い闘いになるが、引き続き断固反対の運動を展開していく」と強調した。
【TPP交渉参加表明に対する抗議声明】
3月15日、安倍総理は、「自民党の決議文を胸に、強い交渉力で結果を出していく。」、「日本の食と農を守ることを約束する」、「政権公約、国民との約束は必ず守る」などと述べ、TPP交渉参加の意向を正式に表明した。
TPPは、国のかたちを一変させる極端な交渉であるという懸念が国民の間にあるなかで、総理が極めて前のめりな姿勢で参加表明に踏み切ったことは到底納得できない。全国の農業者とともに、強い憤りをもって抗議する。
TPPの基本的な枠組みは何ら変わっておらず、日米共同声明に基づく総理の「聖域なき関税撤廃が前提ではない」という認識は理解できない。この我々の疑問に対し、十分な説明がなく、政府統一試算も事前に情報開示しないまま、拙速に参加表明した政府の姿勢は、極めて遺憾である。
政府が、あくまで「聖域なき関税撤廃が前提ではない」という認識で交渉に入っていくのであれば、わが国の米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物等の農林水産物の重要品目を全て除外または再協議としなければ、我が国の国益は守れない。
また、TPPは農業の問題だけではなく、ISD、食の安全・安心、医療、保険など、国民生活に直結し、国家の主権を揺るがしかねない重大な問題を含んでいる。多くの国民が、そのような懸念を抱いているにもかかわらず、6項目にわたる政権公約は何ら担保されていない。そうした懸念は、すべて交渉の結果でしか払拭できないものであり、極めて問題である。
政府は、国民が納得できる揺るぎない交渉方針を確立すべきである。今後の交渉プロセスの中で、国益が守れないと判断した場合には、即刻、交渉から脱退することを、政府として明確に国民に確約すべきである。そうしなければ、政権公約の遵守を実現できるものではなく、政治に対する国民の信頼は確保できない。
政府が交渉参加を表明しても、米国や豪州、ニュージーランドなどがどのような対応を示すかは、全く予見できない。TPP交渉が現在の枠組みで行われている以上は、わが国の国益は守れない。我々がこれまで主張してきたことを今後実現していくには、長い闘いになるが、引き続き、国民各層との幅広い連携のもと、TPPから食と暮らし・いのちを守るため、断固反対の運動を徹底的に展開していく決意である。
平成25年3月15日
全国農業協同組合中央会
会長 萬歳章
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