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「例外は認められない」カトラーUSTR代表補2013年5月13日

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 4月下旬に訪米した「TPPを考える国民会議」の調査団が5月9日、国会内で報告会を開いた。米通商代表部(USTR)のカトラー代表補と会談した山田正彦元農相(国民会議世話人)によると、カトラー代表補は米も含めて関税撤廃の例外は一切認められないと語ったという。このほか米国では、日本のTPP参加決断について「国を挙げて農産物の開放を決議したと伝えれている」(首藤信彦前衆院議員)など、重要5品目を除外とすることなどを決めた国会決議の存在も知られていない実態も明らかになったといい、米国議員に対して国会決議の英文訳を広めるなど情報発信が必要と強調された。

◆「例外なし」 共通認識

記者会見する国民会議代表団ら(左から)首藤信彦前衆院議員、原中勝征会長、山田正彦元農水相 調査団は4月22日から25日にかけて訪米し、米国の政府関係者や国会議員、農業団体、自動車団体などを訪問した。
 山田元農相によると日米共同声明で日本の農産物にセンシティビティがあると確認されていることをふまえ、USTRのカトラー代表補に米を例に関税撤廃の例外が認められるかと質問したところ「各国ともセンシティビティはあるが、関税撤廃の例外にするということではない。その扱いは“長期間の段階的撤廃”や“セーフガード”の設定が考えられる」と回答した。
 さらに「結果として例外はないということか」と確認したところ、カトラー代表補は「日本も含めTPP交渉参加国は包括的で高い水準の協定に取り組むことに合意した」と突き放したという。
 安倍首相は日米首脳会談で“聖域なき関税撤廃が前提ではないことが確認された”としているが、山田元農相らは「いわゆる例外、除外というものはないことがはっきりした。センシティビティは認めても、除外ではなくセーフガードか長期間の関税撤廃ということ」と米国の姿勢を強調した。

(写真)
記者会見する国民会議代表団ら(左から)首藤信彦前衆院議員、原中勝征会長、山田正彦元農水相

◆国会決議は守れない

 また、米国議会下院のキャンプ歳入委員長の首席補佐官のエラード氏も調査団メンバーに対して、センシティビティとは例外ではなく関税撤廃に向けた道筋を他の品目とは別のかたちにすること、との認識を示し、米国も再重要センシティビティの自動車関税ですら関税撤廃の例外にしていないのだから「日本が同様なのは当然」と話し、TPPに関税撤廃の例外なし、は米国政府・議会双方の共通認識となっているという。
 衆参農林水産委の国会決議では「段階的な関税撤廃も含めて認めないこと」を政府に要請しているが、調査団の報告でTPPとはそもそも関税撤廃が原則であることが改めて明らかになったといえる。

◆安保論に関心なし

 調査団によると今回の日本のTPP参加表明は、とくに農業分野について日本の「全国民的合意のもとで」市場開放を決断したと受け止められており、農業関係議員、団体からは農産物の劇的な輸出増加への期待が語られたという。
 その一方で自民党や国会で関税撤廃の除外を求めるなどの決議が出されており、その英訳を手渡したところ、「こんな資料が出ていることは知らなかった」、USTRに確認すると「顔色を変えた議員もいた」(原中勝征会長・前日本医師会会長)という。USTRが「一方的な情報のみ伝えているのではないか」と不信感をあらわにする議員もいたという。
 また、日本国内では安全保障の観点から米国に譲歩せざるを得ないという主張もあるが、米国国会議員からは安全保障とリンクさせるような認識はほとんど存在していないとのことだ。

◆世界に連帯広める

 さらに米国議員でもTPPをよく理解しているのは一部の積極的な議員で多くの議員はほとんど知らないのが現状だという。一方で食の安全、安価な医薬品、インターネットの自由への脅威、ISD条項など市民の自由や権利、さらに建国の理念でもある地方自治などにTPPが悪影響を与えそうだという認識を持つ議員も出てきているといい、調査団は「日本での反対運動を世界と連帯し高めていくことが必要だ」と強調した。


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