JA全青協がTPP断固反対を特別決議2013年5月20日
JA全青協(全国農協青年組織協議会)は5月16日に第60回通常総会を開き、25年度活動計画などを決めるとともに、「TPPに断固反対する青年農業者による特別決議」を採択した。
◆6月15日に全国一斉TPP参加阻止行動
山下秀俊新会長(長崎県農協青年部協議会前委員長、酪農経営)ら新役員は5月17日に記者会見した。
山下新会長は今年度の活動目標として5つの柱を上げた。
1つめは、東日本大震災の被災地復旧・復興の支援。これまで被災地への義援金支援のための募金やベルマーク収集運動の実施、支援即売会「神田夕やけ市」への参加など、「JA全青協・絆プロジェクト」を実施してきたが、これに今年度も継続的に取り組む。
2つめはTPP反対運動。山下会長は「JAグループを挙げて一貫して断固反対の姿勢で臨んできた。今も気持ちは変わらない。国運がかかっている」と述べ、6月15日にはJA全青協が主導しJAグループはじめ関係団体とともに、47都道府県一斉に街頭参加阻止行動を起こす。「大きなうねりを作り出したい」と山下会長は力を込める。
3つめは、JA青年部の組織基盤の強化。現在の盟友数は6万2000人。減少に歯止めがかからないなか、盟友獲得を進め、青年の力を発揮するための組織力拡大に取り組む。
4つめは、取り組み3年目となる現場から盟友自身の手で政策提言を行う「ポリシーブック」の作成・見直しなどの運動の継続だ。
そして5つめが他団体の連携強化。漁連、JC、商工会も含めて「同じ年代を生きる仲間たちと連携を強化しながら青年部活動をしていきたい」と話す。
このうちポリシーブックの取り組みなど農政運動では自民党の農林部会幹部と定期的に意見交換していくことも決まった。
また、JA全青協として政策提案を行う専門部会は「水田農業」、「青果」、「畜産・酪農」、「都市農業」の4部会に加えて、今年度初めて「食農部会」を設置した。
山下会長は「今の時代を変えるのは私たち青年」だとして当面はTPP参加阻止に重点を置いて活動するほか、合わせて参議院選挙でJAグループ推薦候補の支援に全力を挙げる方針だ。
【各理事 ひとこと】
○益子丈弘・副会長
(栃木県農協青年部連盟委員長、水稲・山ウド)
新会長をサポートし自分たちの思いを存分に貫いていきたい。農政の激動期のなか、熱い行動力と青年らしさを発揮して活動していきたい。
○黒田栄継・理事
(北海道農協青年部協議会会長、小麦・バレイショ・長イモ、ゴボウ)
ポリシーブックの取り組みは作成にとどまらずいかに成果に上げていくかを視野に入れながら活動していきたい。TPP問題はわれわれの思いがなかなか届かない面もあった。いかに消費者にそれを届けるか、自分たちの役割をしっかり考えていきたい。
○天笠淳家・理事
(群馬県農協青年部協議会委員長)
激動の一年になると思うが、われわれがやるべきことを迷うことなくまっすぐ進めていけるよう、精一杯自分たちの力を発揮できる組織づくりに取り組みたい。
○橋本守・理事
(福井県農協青壮年部協議会会長、水稲)
各県、各単組の盟友の声を上に上げ、さらにその声を大きな力として前にどんどん進む、力強い活動をしていくようがんばりたい。
○高塚光春・理事
(鳥取県農協青壮年連盟委員長、梨)
会長、副会長を支え若い組織らしい活動をしていきたい。
○西村富佐雄・理事
(滋賀県農協青壮年部協議会委員長、水稲・小麦・大豆)
盟友拡大が根本だと思う。盟友がいてこその全青協。滋賀県もこの4月に青年部単組が増えた。できれば毎年組織が増えればと考えている。
○白水信和・理事
(福岡県農協青年部協議会委員長、いちご・水稲)
執行部として全国の盟友の英知と行動力をしっかりと引き出させるように旗振り役としてしっかりとがんばりたい。
(写真(前列左から)黒田理事、益子副会長、山下会長、白水理事(後列左から)天笠理事、橋本理事、高塚理事、西村理事)
【TPPに断固反対する青年農業者による特別決議】
我々JA青年組織に結集する全国の若手農業者の願いは、安全・安心な「食」を消費者に提供し、農業を基軸として培われた日本の地域コミュニティを発展させ、次世代を担う子どもたちに受け渡すことである。
しかし、政府はこのような思いを踏みにじるように、唐突に3月にTPP交渉参加を表明し、7月の交渉参加を目論むなど、拙速な前のめり姿勢に終始している。
TPPは我が国の農業に深刻な打撃を与えるだけでなく、環境保全・地域の防災といった農業の多面的機能の喪失、遺伝子組み換え食品の表示ルール緩和や国産では使用しない必要のないポストハーベストを使用した輸入農産物の拡大による食の安全・安心の失墜、医療における国民皆保険制度の土台の崩壊、そして国に主権を損なうISD条項など、国民生活、地域社会に甚大な影響を与える極めて危険な経済連携協定である。
我々は、引き続き政府に対し、国民への十分な情報提供、幅広い国民的議論の実施を求めるとともに、国会議員や消費者をはじめとする多くの国民と連携し、このような極めて危険なTPPの断固阻止に向けて全国の盟友の総力を結集して強力に行動していくことを、ここに決議する。
(関連記事)
・JA全青協、新役員決まる 会長に山下秀俊氏(2013.05.17)
・【TPP反対声明】JA全青協(2013.03.18)
・JA青年の主張は石井宏和さん(JA菊池)、活動実績はJA東京むさしが優賞 第59回JA全国青年大会(2013.02.15)
・【インタビュー】議論深め、自信もって行動を地域の課題をポリシーブックに 遠藤友彦・全国農協青年組織協議会会長 (2013.02.14)
・最優秀賞にJA津軽みらい青年部田舎館支部 JA青年組織手づくり看板全国コンクール (2013.01.25)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(119) -改正食料・農業・農村基本法(5)-2024年11月23日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (36) 【防除学習帖】第275回2024年11月23日
-
農薬の正しい使い方(9)【今さら聞けない営農情報】第275回2024年11月23日
-
コメ作りを担うイタリア女性【イタリア通信】2024年11月23日
-
新しい内閣に期待する【原田 康・目明き千人】2024年11月23日
-
基本法施行後初の予算増確保へ JAグループ基本農政確立全国大会に4000人 生産者から切実な訴え2024年11月22日
-
「適正な価格形成」国関与で実効的に JA群馬中央会・林会長の意見表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
JAグループ重点要望実現に全力 森山自民党幹事長が表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
農林水産省 エン・ジャパンで「総合職」の公募開始2024年11月22日
-
鳥インフル 米モンタナ州、ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
11月29日「ノウフクの日」に制定 全国でイベント開催 農水省2024年11月22日
-
(411)「豚ホテル」の異なるベクトル【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月22日
-
名産品のキャベツを身近に「キャベツ狩り選手権」開催 JA遠州中央2024年11月22日
-
無人で水田抑草「アイガモロボ」NEWGREENと資本業務提携 JA三井リース2024年11月22日
-
みのるダイニング名古屋店開業2周年「松阪牛ステーキ定食」特別価格で提供 JA全農2024年11月22日
-
【スマート農業の風】農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
-
自動運転とコスト【消費者の目・花ちゃん】2024年11月22日
-
イチゴ優良苗の大量培養技術 埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」で大賞受賞 第一実業2024年11月22日
-
「AGRIST Aiサミット 2024」産官学金オープンイノベーションで開催2024年11月22日