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パルシステムがTPP交渉で政府に意見書提出2013年7月23日

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TPP交渉に反対し、共生型、互恵型社会を求める

 生協のパルシステム連合会とパルシステム共済連合会は、7月17日に「TPP交渉に関する意見書」をTPP政府対策本部に提出した。そのなかで、パルシステムは、国民に知らせられないまま進められるTPP交渉に反対し、共生型、互恵型の社会を展望するよう求めた。

 この意見書でパルシステムは、TPPは「社会の基盤、国の制度まで大きく変える危険性」を持っていると指摘。「農と食をつなぐ産直に長年取り組んできたパルシステムでは、TPP交渉の参加に反対」している。
 さらに、「秘密交渉で内容が開示されない協定への参加に反対し、食の安全や農業の多面的機能の確保」を求めるとともに、「相互扶助制度である共済を保険と一元化、同一化することに反対」し、「共生型、互恵型社会を展望する」ように要求している。

 意見書は以下の3つの意見からなっている。

1:食の安全性および農業の多面的機能が確保されるべき
2:情報公開がなく歴史的、文化的背景を考慮しない交渉には参加すべきではない
3:相互扶助を目的とする共済は保険と一元化、同一化すべきではない。

 その全文は以下の通り。
提出意見1.食の安全性および農業の多面的機能が確保されるべきです
[1]対象分野:物品市場アクセス・SPS(衛生植物検疫) ・環境・金融サービス
[2]意見
 TPPは非常に広範な分野が対象となっており、参加した場合、農林水産業、食料自給、地域の地場産業、食の安全、共済、医療、健康保険制度など、国民の暮らしに大きな影響が出ることが予想されます。
 特に牛肉(BSE)では、各国での飼料の安全性確保とトレーサビリティの確立を前提とした制度整備を交渉以前に強く求めてください。
 遺伝子組換え食品や原産地等、表示義務付けを各国に求めてください。
 農産物への農薬・化学肥料の使用に関しては、その安全性の基準の確保、使用履歴とトレーサビリティの保証、表示の徹底を要求すべきです。
 食品添加物の安全基準の要求や表示などは厳格にするよう求めます。
 また安全規制の緩和は、食の安全を求め続けた消費者運動の蓄積を揺るがすものです。先進事例として日本の基準を参加各国に要求するよう求めます。
 これら食の安全の問題、消費者への情報開示、食品のトレーサビリティなどはこれを保持されるよう強く求めます。
 さらに食料自給率の問題については、TPPによって低下が予想されます。地産地消、フードマイレージ運動や持続可能な農業育成に取り組んできたパルシステムとして容認できません。
 日本は2010年に名古屋で開催されたCOP10でイニシアティブを取るなど、生物多様性保全の取り組みを国際社会に呼びかけています。TPP参加によってこれらのことが毀損されることのないよう参加各国に求めます。生物多様性保全型農業を守り農業の多面的な機能と価値を損ねることのないように求めます。

提出意見2.情報公開がなく歴史的、文化的背景を考慮しない交渉には参加すべきではありません
[1]対象分野:分野横断的事項
[2]意見
 TPP交渉は、国民に秘密にされ、内容が示されないまま進められようとしています。このことに強い危惧を感じます。米国主導の下、強引に交渉が進められることのないようにしてください。万一、自国のルールを国民が決めることができなくなる疑いがあるとすると主権の放棄と言わざるをえません。
 もしそのようなことが許された場合、日本は一方的な被害者ではなく、日本もまた他国に犠牲を強いる側面も否定できません。例えば、関税撤廃によって日本からの輸出や日本企業の海外進出がしやすくなるということは、その相手国の産業や雇用に重大な影響を与えることになります。
 各国にはそれぞれの歴史や産業、地域社会があります。TPPは、そうした国情を考慮することなく、一律のルールを強いる協定です。そのような協定には参加せず、共生型・互恵型の国際関係を展望すべきです。


提出意見3.相互扶助を目的とする共済は保険と一元化、同一化すべきではありません
[1]対象分野:金融サービス
[2]意見
 生協の「共済」は、メンバーシップ制の相互扶助の制度という視点が基本であり、不特定多数が対象の「保険」とは、本来相容れないものと考えます。
 また、生協は、組合員(消費者)のくらしをより良くするために事業(運動)を行う自発的で非営利の団体です。TPP交渉では「共済」と「保険」の一元化・同一化について要求される恐れがあり、監督官庁も金融庁への一本化や優遇税制の廃止等を危惧しています。これは、わが国の代表的な消費者組織である生協の共済に対し、営利を目的とする保険業との競争を強制し、自発的発展を妨げ、消費生活協同組合法の目的(第1条)である「国民生活の安定と生活文化の向上」と相反するものと言わざるを得ません。


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