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【TPP】自由化交渉本格化 秘密主義に不満続出2013年8月2日

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 7月23日のマレーシア会合から日本政府が正式参加したTPP(環太平洋連携協定)交渉は、8月22日からのブルネイで行われる第19回会合から交渉が加速化するとTPP政府対策本部は説明している。農産物の関税撤廃などを交渉する市場アクセス分野もブルネイ会合から本格化する見込みで、政府は交渉参加国にどう条件提示(オファー)をするか検討している。オファーをしなければ参加国の考えも分からないとする。
 ただ、TPP交渉は厳しい守秘義務が課せられており、日本がどのようなオファーをしたのかは公表されない。「オファーを開示する国はそもそも交渉会合に入れない」という。 政府は自民党や業界関係者にマレーシア会合の結果報告をしているが、このような守秘義務に対して不満が続出している。衆参農林水産委員会や自民党が重要5品目を関税撤廃の除外とするなどの決議を行っているが、この決議を守る条件提示をしたかどうかも不明になってしまうこともあるからだ。
 こうしたなか与党には、ブルネイ会合では関税品目全体の自由化率を提示すべきとの意見がある一方、品目ごとに交渉方針を打ち出す必要があるとの意見もある。政府のTPP対策本部は8月12日からの週に交渉官らが2回目の合宿を行い、協定文の分析を行いながら戦略を決める見込みだが、これまでの説明の場では「最初から高い数字を出すのは戦略的にどうか」との見方も示している。

◆21世紀型とは秘密主義?

  自民党は8月2日、外交・経済連携本部、TPP対策委員会合同会議を開いた。
 会合で石破茂幹事長は「TPP交渉は両国の利害が真正面からぶつかる2国間交渉でもなく、百何十か国も参加して1か国でも反対したら潰れるWTOでもなく、新しいスタイルの交渉。21世紀型の交渉だから、今までと同じ感じでやってはだめだ、ということをよく認識をしながら努力をしたい」と述べた。 甘利明・経済再生担当大臣も出席。「国益をふまえ、なおかつ今までにない高いレベルの新しいルールをアジア太平洋地域でつくっていく。それがさらに拡大するだろう通商貿易エリアの基本的なルールになることが予測される」などと述べ、WTO交渉などを担当した経験と比較し「まったく種類の異なる交渉だと痛感している」と話した。
 いずれもTPPが「21世紀型」通商交渉であることを強調する。TPP政府対策本部の澁谷和久審議官は、「21世紀型」について「関税などの国境措置に限らずグローバルなサプライチェーンの構築による相互の利益増進のための包括的で幅広い分野についてのルールの確立」だと述べた。


◆情報提供の方法を模索

 しかし、過去に例がないといえば、厳しい守秘義務だ。甘利大臣も「聞いたことがないような内容」と話す。 日本が交渉参加を正式に認められたのは7月23日午後2時23分だが、それは鶴岡公二首席交渉官が守秘義務契約にサインした時間。600ページ程度の協定文はもちろん、交渉の経過、メールなどすべてオープンにできない。しかも、「妥結後、4年間は明らかにしてはいけない」ことを澁谷審議官は明言した。
 会合では「ここが今、せめぎ合いになっているということも報告されないのでは会議の意味がない」との指摘も出たほか「異常な義務が課せられている。守秘義務を前提に議論し、批准を判断しなければならないのは極めて厳しい」との意見も。
 秘密主義を問題視するこれらの指摘に対して西村康稔内閣府副大臣は「指示を仰ぎながら対応していく」、「一定の範囲内で、あうんの呼吸で相談しながら準備していくことになる」などと回答した。また、澁谷審議官も「オープンな場で申し上げられることは大変限られている。しかし、与党や関係団体とのコミュニケーションは上手にやっていかなければいけない。各国がどうやっているかを調査をしている」と話し、一部の国ではコピーやメモを取らない条件でごく少数の国会議員が協定文を閲覧していることを認めた。
 さらに国によっては団体トップが守秘義務契約を結び交渉状況を説明している例もあるという。


◆交渉方針、明確化を

 西川委員長は「WTO交渉は情報公開し過ぎてダメになった。その轍をふまないため秘密にしようとなったのではないか」と話す。しかし、国会で批准をしなければならない。そのため西川委員長は「呑んでいただける(=批准する)条件での交渉でなければならない」として、政府のオファーは個別具体的な品目ごとにするのではなく、全品目でどれだけ自由化するか「自由化率」を提示することを政府に申し入れたことを明らかにした。ただし、その場合でも守秘義務からその数字が明らかにされることはない。国民的議論のため政府としてTPP交渉にどう臨むのか、基本方針をまず示すことが求められる。


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