規制改革会議、農地集積バンクを議論2013年8月23日
9月中に意見集約
政府の規制改革会議(議長:岡素之住友商事相談役)は8月22日、第14会議を開き、当面の最優先案件として農水省が打ち出している「農地中間管理機構」(農地集積バンク)を議論の対象にすることを正式に決めるとともに農水省からヒアリングを行って意見交換をした。農水省は同機構に関する法案を秋の臨時国会に提出する予定のため、規制改革会議は今後数回のヒアリングを行って集中的に議論し9月中に「意見」をまとめる方針だ。
◆運営組織で意見
農地所有者から借り上げて基盤整備と集約化を行ったうえで、担い手に貸し付ける農地中間管理機構について岡議長は「強い農業、競争力のある農業、魅力のある農業、成長産業化する農業、それを実現するためのひとつの手立てとして農地を集約し大規模化した生産性の高い農業が大変重要ではないか。それをどう実現していくのかということに尽きた」とこの日の議論を総括した。
また、岡議長自身は改正農地法によってすでにリース方式であればほぼ誰でも農業に参入できるようになっていることを会議で発言したという。ただし「2つ課題がある。1つは農地を貸してもらうときに個別に交渉をしなければならないこと。もう1つは借りた農地が大変な飛び地になっていることがあり、規模は大きくなるかもしれないが集約化されていない実態があること」指摘したうえで、農地集積バンクが「この課題を解決してくれるなら素晴らしいと評価している」と述べた。 ただし、委員からはとくに機構の運営組織について意見が出たという。
農水省の構想では農地中間管理機構の公正・適正な運営を確保するため、運営委員会を置く方針で、その構成員は人・農地プランで位置づけられた中心経営体(法人、家族経営、企業など)などと中立の立場の学識経験者などのほか、農業委員会、市町村の首長、農協なども検討されている。 会議では運営委員会のメンバーにこうした「既存の組織が入って構想どおり機能するのか。さらに議論が必要だ」といった意見が出たほか、農地の出し手に対する助成金のあり方、貸し手を選定する際の公正性や透明性の具体的な担保方策などもさらに検討すべきとの指摘があったという。岡議長は「農業委員会や農協などが入ることは反対、と言ったわけではない。規制改革会議としても大変効果的な構想であると評価したうえで、さらに組織論など各論を議論していきたいということ」と話した。
指摘があった問題を中心に今後数回議論をし9月中に規制改革会議としての「意見」をまとめる方針を明らかした。
(写真)
規制改革会議の岡素之議長(住友商事相談役)
◆農業WGが正式発足
また、この日の会議で農業WGのメンバーが正式に決まった。WGの検討事項は「農地中間管理機構」に関わる事項を除いて検討され、9月12日の次回、本会議に報告、正式に決まる予定となっている。それまでにWG会合が数回開催される見込みだ。農業WGの検討も含め、規制改革会議としては来年6月まにとりまとめを行うことにしている。
次回に決める検討事項には農協改革もテーマになることも見込まれ9月以降の同WGと本会議の議論が注目される。農業WGのメンバーは以下のとおり。●規制改革会議農業ワーキング・グループ委員
○座長=金丸恭文・フューチャーアーキテクト(株)代表取締役会長兼社長)
○座長代理=浦野光人・(株)ニチレイ相談役
○委員=▽滝久雄・(株)ぐるなび代表取締役会長
▽長谷川幸洋・東京新聞、中日新聞論説副主幹
▽林いずみ・永代総合法律事務所弁護士
○専門委員=▽北村歩・(株)六星取締役
▽田中進・農業生産法人(株)サラダボウル代表取締役
▽本間正義・東大大学院農学生命科学研究科教授
▽松本武・(株)ファーム・アライアンス・マネジメント代表取締役(農業生産法人松本農園プロジェクトマネージャー)
▽渡邉美衡・カゴメ(株)取締役常務執行役員(経営企画本部長)
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