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米砂糖団体「関税撤廃正しくない」 全中と連携2013年9月4日

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 8月末までブルネイで開かれた第19回TPP(環太平洋連携協定)交渉には、JA全中の冨士重夫専務らが現地で情報収集にあたるとともに、米国、カナダ、豪州の農業団体と意見交換した。9月2日、冨士専務が概要を公表した。

◆砂糖、米国と豪州で平行線

 米国の砂糖消費量1000万tのうち、国内産は800万t。米国の砂糖団体はこれ以上輸入量が増えることに反対し、国内生産を守るべきとの立場だ。
 意見交換した米国砂糖連盟(ASA)のフィリップス貿易顧問は「われわれはすべての関税を撤廃することは正しくないと訴え続けてきた。もちろん米国の砂糖は絶対に撤廃させるべきではないとの立場。日本の重要5品目、カナダの供給管理品目も同じこと」と明言し、今後も連携を図っていくことを確認したという。
 ブルネイ交渉では米国は農産物の市場アクセスについて自国の提案(オファー)を示さなかったが、米国は国際貿易委員会によるTPPの影響評価の分析を待って提示する方針でフィリップス顧問は9月には米国も「準備万端で交渉に臨むことができるだろう」との見通しを示した。
 また、米豪FTAなど、米国は砂糖を除外した既存のFTAについての再交渉を拒否しているが、豪州などはTPPで再交渉したい意向で平行線のままとなっている。これについてはTPPが妥結すれば、かりに米国の砂糖を守ることができたとしても、豪州が加盟国に粗糖を輸出、そこから米国に砂糖として迂回輸入される可能性もあるとして「原産地規則が必要」とも語ったという。

◆日本と豪州、重要5品目で意見対立

 カナダは酪農・乳製品、鶏卵・鶏肉について政府による価格支持、生産数量管理と関税で国内生産を守っている。ブルネイで冨士専務と意見交換したのは酪農者連盟のスミス会長ら。スミス会長は「(供給管理制度に)一切触れさせないと約束させている。それを盾に政府に強硬な姿勢を見せ続けることが重要」と強調した。
 また、貿易大臣も「国民にとって有益でない条約は結ばない」と確約しているといい、「供給管理品目はいかなる貿易交渉においても守られる」と話した。全中とカナダ酪農者連盟は長年にわたって協力関係を築いてきたが、TPP交渉でも引き続き緊密な連携をとっていくことに合意したという。
 一方、豪州全国農業者連盟(NFF)のフレーザー会長らは、関税撤廃は日本農業の崩壊につながるとの主張に対して「あくまで例外なき関税撤廃を含む包括的な合意を望んでいる。とくに市場アクセスは死活的な問題。日本の重要5品目等はわれわれにとっても重要であり、だからこそ除外すべきではない」と主張した。
 意見は対立したが、両国の農業を存続させていくことは重要との認識は一致し、主張が違っても交流を継続させていくことは確認したという。
 このほか冨士専務は、交渉会合が行われている現場では政府からの一定の説明はあったが、「日本国内でも通常時に情報提供すべきではないか」と可能な限り情報提供をして国民的議論をすべきと改めて訴えた。また、重要5品目を関税撤廃対象から除外するなどの国会決議が日本の交渉の前提であり、「あの決議が実現できればTPPは異質のFTAではなくなる。必ず実現してもらいたい」と強調した。


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