田畑と山林立木など価格調査 日本不動産研2013年10月25日
一般財団法人・日本不動産研究所はこのほど、田畑価格と賃借料、および山林素地と山元立木価格の調査結果(平成25年3月末現在)をまとめた。田の価格が21年、畑の価格が22年連続の下落で、田畑の賃借料の下落幅は縮小したものの、すべての分野で価格の下落傾向が続いていることが明らかになった。
全国平均の10a当たりの価格は、田が81万8405円、畑が46万9785円で、前年に比べ田が1.7%、畑が1.4%それぞれ低下した。下落幅はそれぞれ0.1ポイント拡大、0.4ポイント縮小だった。田は平成5年以降、畑は平成4年以降連続の下落で、ともに昭和53年の価格水準になった。
田の価格下落の原因は、「農業後継者の減少」24.5%、「高齢化」22.7%、「買い手がない」20.5%、「農業経営の先行き不安」17.1%の順で、「米価の下落」は前々回の333.0%(1位)、前回22.3%(2位)だったが、米価の持ち直しで12.9%まで下がった。畑もほぼ同じ傾向にあるが、「高齢化」24.3%が理由の1位になっている。
一方、10a当たり田畑の賃借料は、田が1万778円、畑が5562円で、前年に比べそれぞれ1.4%、1.0%の低下だった。下落幅はいずれも0.5%縮小した。 米価の持ち直しでほ場条件のよい水田の賃借料は強含みだったが、条件不利地の水田は借り手がなく、全体としては下落傾向に変わりない。畑の賃借料は北海道や三大都市圏では比較的、保合い傾向だったが、水田と同じく、条件不利地では高齢化などによって規模縮小が進み、借り手のいない状態が続いている。
山林の立木価格は、全国平均(北海道、沖縄を除く)の利用材積1立方メートル当たりで、スギが2465円、ヒノキが6493円、マツが1376円。それぞれ前年に比べ5.2%、5.3%、6.0%低下した。大きく下落した昨年より下落幅は縮まった。スギは最高だった昭和55年の2万2707円の10.9%(昭和27年頃の水準)、同じく桧が55年の4万2947円の15.1%(昭和32年頃の水準)。
平成25年に入って木材製品市況が上向いてきたことから素材(丸太)価格上昇の条件がそろい、同24年の最悪期を脱したとみられるが、製品需要ほど安定しておらず、また利用間伐材の供給も多いため素材価格は一進一退の状況にある。
こうした木材価格の低迷を反映して、山林素地の10a当たり価格は、用材林地が4万5733円、薪炭林地が3万881円で、前年に比べそれぞれ3.4%、2.6%低下。下落幅は同じく0.5ポイント、0.4ポイント縮小した。いずれも平成4年以降22年連続の下落となった。
下落の理由は「木材価格が下落した」32.5%、「買い手がない」25.4%、「建築用材の需要が減少した」22.6%、「林業経営の先行き不安」20.3%の順だった。薪炭林地は「買い手がない」21.6%「パルプチップ材の需要が減少」13.4%などとなっている。
なお、この調査は都道府県で農地事情を最もよく反映すると思われる1500市町村を選定し、市町村役場または農業委員会等に調査票を送付し回答を得た。回収率は73.5%。
(関連記事)
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