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農業所得13%増と試算 農水省2013年11月28日

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 経営所得安定対策の見直し議論のなかで農林水産省は自民党の会合に日本型直接支払制度の創設や飼料用米の交付金増額で農業所得がどれだけ増えるかの試算を示した。それによると全国の平均的な農業集落全体で13%増えるとされている。

 試算の前提となった平均的な農業集落は耕地面積34ha(田が19ha、畑15haと仮定)。
 田のうち主食用米は10.5ha、転作を7ha、不作付け地を1.5haと仮定した。転作率は4割となる。
 試算は米の直接支払が10a7500円と削減される一方、飼料用米が10万5000円(上限値)に見直されたことと、米をはじめ販売収入は変わらない前提で行った。
 支援水準が変わったことで主食用米から1.1ha、不作付け地から1.1haが飼料用米に転換、大豆、麦の作付けと畑地の作付け(大豆)は変わらないものとして算出した。
 これに創設される農地維持支払(田10a3000円と資源向上支払(田10a2400円)が水田・転作田・不作付け地に交付され、さらに畑地でも今回の政策見直しによって地域の共同活動が促進されるとして農地維持支払(畑10a2000円)の交付を見込んだ。
 その結果、主食用米の所得は作付け減と直接支払額の削減で10aあたり40万円が32.5万円に減少する。その一方、飼料用米は作付け増と交付額の増額で所得30万円が55万円に増加する。
 これをもとに面積ベースで積み上げ、農地維持支払などを加えると、現行ではこの集落の農地からは得られる所得は880万円だったが、見直し後は1000万円となった。所得は約13%増加することになる。

  平均農業集落の所得試算
34ha(田19ha、畑15ha)
  【現行作付け状況】
    田(19ha)=主食用10.5ha+転作7ha+不作付地1.5ha、畑(15ha)=大豆
  【対策見直し後の作付状況】
    田(19ha)=主食用9.4ha+転作9.2ha+不作付地0.4ha、畑(15ha)=大豆
    ※ 主食用と不作付け地から2.2haが飼料用米=転作へ転換
↓ 対策見直し後のおもな所得変化
  [1] 米直接支払い(10a)=1.5万円×10.5ha→0.75万円×9.4ha⇒所得114.5万円減
  [2] 飼料用米支援(10a)=8万円×2.3ha→10.5万円×4.5ha⇒所得 178.5万円増
  [3] 共同活動支援=農地・水支払(19ha)→農地維持支払+資源向上支払(対象34ha)
     ⇒ 所得49万円増加
  [1]+[2]+[3] = 113万円増
対策見直し後所得=現行所得888.1万円+増加分113万円
   → 1001.1万円(約113%)
 
         

 このほかに産地交付金による▽麦・大豆への助成充実、▽飼料用米での多収性専用品種の取り組み、加工用米での複数年契約(10a1.2万円)などからさらに所得の向上が期待されるとしている。また、農地中間管理機構を通じた農地集積によるコスト低減も期待されるとしている。
 もっとも飼料用米の10.5万円は数量払いによる上限値。全国平均標準単収10a530kgを8万円とした場合、680kgの単収をあげたときに得られる所得という前提に立っている。また、不作付け地の解消努力も織り込まれている。
 林農相は今回の政策見直しについて11月26日の会見で「ただ単に現状どおりの営農を続けている農家も含めて所得を上げるというものではなく、水田をフル活用しようと工夫や努力を行う農家を後押ししようとしているもの」と述べた。
 農水省はこのほか北海道、東北など全国8地域についてモデル別の所得試算を出しているが、さらにさまざな前提条件のもとでの試算を示す考えも林農相は示している。

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