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失敗しない6次産業化へ JA人づくり研究会2013年12月6日

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主体的に商工業との連携を

 JA人づくり研究会(代表:今村奈良臣東京大学名誉教授)は12月5日、東京都千代田区のJAビルで第18回研究会を開き、「失敗しない6次産業化への取り組みをどう進めるか」のテーマで討議した。同研究会副代表の仲野隆三(千葉県JA安房理事)が、「合併JAにおける役員・職員の学びをどう仕掛けるか」について問題提起。また6次産業化について、和歌山県のJA紀南の梅加工、広島県の世羅高原における6次産業ネットワークの取り組みについての報告をもとに意見交換した。

◆無条件委託販売に警鐘

6次産業の取り組みで意見交換した人づくり研究会 仲野副代表は、「合併JAにおける役員・職員の学びをどう仕掛けるか」で問題提起。これまでの農産物販売・流通への取り組みの経験から野菜・果実の流通が卸売市場を中心とした取引から生産者と実需者による契約取引に大きく変わっているにも関わらず、JAが依然として小売マーケットに無条件委託販売を続けていることに対して、「JAはいま危機感をもって生産販売体制の大改革をしないと、加工・業務用野菜の輸入増大でマーケットを失うだろう」と警鐘を鳴らす。 
 また、加工・流通の問題について開く講義や研修に農業改良普及委員や農業法人の参加はあるが、JAの職員の参加が少ないことを挙げ、「変化する食と農をとらえ、販路拡大するのがJAの組合員に対する役割であり、そのための人材育成が必要だ」という。その上で、[1]次世代組合員(新規就農者)[2]理事・監事に対する組織や金融経済および流通などの基礎知識の研修[3]戦後のJAを支えてきた団塊世代の退職に伴う現場ノウハウ知識の若手職員への継承、の3つについて人材育成の必要性を強調した。

(写真)
6次産業の取り組みで意見交換した人づくり研究会

◆生産側からの提案が重要

 JA紀南の梅加工では、同JA中家徹会長が報告。同JAは全国一の梅産地だがJAの取扱いは2、3割で、長年、業者と協調・競争しながらシェア拡大のための取り組みを強めてきた。特に梅は年ごとの豊凶の差が大きく、流通形態も多様という特徴がある。このため[1]安定生産・安定価格対策[2]安全・安心ンシステムの確立[3]消費宣伝活動と販路拡大対策[4]ブランド価値維持対策などを挙げた。
 価格安定には梅干安定契約売買制度で、業者と協議して契約取引したことがを公取委に指摘され、価格の提示ができなくなったこと、中国の輸入梅の増加に対しては、原産地表示の表記をもとめて運動していること、新商品の開発などについて話した。さらに梅の販路拡大のための営業活動に取り組んだ経験から、「梅に限らず、営業活動は、価格や金利の比較ではなく、協同組合としていかに差別化するかが重要だ」と指摘した。
 また6次産業化について、「当初の発想は1次産業である農業者の立場からだった。しかし流れが変わり、川下から売れるものを作れというようになった。その結果、儲けるのは消費地側となり、農業者は原料提供だけになってしまわないか。今後、我々生産者側から提案していくことができるから課題だ」と強調した。

◆ネットワークで地域ブランド

 世羅高原の6次産業化への取り組みは、世羅高原産業ネットワークの久保田志穂事務局長が報告。同ネットワークは、広島県世羅郡で6次産業化を目指している生産者の集まりで、観光農園や産直市場、直売農園、加工グループ、農家レストランなど68団体・組織で構成する。
 そのビジョンは、[1]地産地消の啓発[2]安心安全な農産物づくり[3]次代の担い手育成[4]都市と農村の交流活動[5]会員の情報交換などとなっている。つまり、生産活動に従事する生産者やその組織がそれぞれ共通する部分を共同で行い、世羅高原のイメージを売り出し、地域のブランドを確立しようというもの。
 こうした取組みの成果として、[1]半数以上の構成団体で60歳未満の経営者、あるいは40歳未満の後継者がいる[2]若い人たちが農業に関心を持つようになった[3]平成22年度から、就農希望の若者に対して5年間、毎月15万円を支給する制度を始めた[4]加工部門で女性のリーダーシップを発揮し、いきいきと活動しているという成果を強調した。


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