【TPP】米国強硬姿勢変わらず2014年4月16日
「合意せず帰国を」自民党・山田議員が強調
米国のオバマ大統領の訪日前にTPP(環太平洋連携協定)交渉をめぐって、4月16日に甘利明担当大臣が訪米しフロマンUSTR代表と再交渉をする。前日15日には自民党TPP対策委員会が開かれ議員が甘利担当大臣に意見を述べた。そのなかで山田俊男参議院議員は「合意しないで帰国を」と強く訴えた。
◆「オバマ来日は1つの節目」甘利担当相
TPP交渉は、フロマンUSTR代表が来日して4月9日から甘利大臣と18時間におよぶ協議を行った。オバマ大統領と安倍総理が3月のオランダでの会談で交渉加速化で合意したことを受けたもの。
しかし「一定の前進はあったが、まだまだ相当な距離感がある」(甘利大臣)として協議を継続することになった。
15日の自民党の会合で甘利大臣は次のようにあいさつした。
「日米首脳会談では、安全保障や経済など幅広い分野で強固な連携を確認する。そのことが東アジアにおける安定の礎となり、そういう環境づくりを私は命じられていると思う」。
「TPP交渉は期限を切っているわけではない。交渉がきちんと収れんしたところが着地点になる。しかし、オバマ大統領の訪日が一つの節目であることは間違いない。ワシントンに乗り込んで厳しい交渉をするのは、そのときまでに少なくとも今よりは距離感を詰めていく。つまり、TPPは各国の努力によって収れんする方向に行く、という状況をつくることが使命だと思っている」。
「担当大臣として両首脳が合意した思いに立って日米がしっかり連携していくことが東アジアの安定であり、世界の安定であり希望の光になる。その使命をしっかり心に刻んで、なおかつ心配されている日本農業の存続性、これもしっかりと受け止めながらぎりぎりの交渉をしていきたいと思っている」。
(写真)
15日の会合であいさつする甘利担当相
◆交渉一任の声も
ただし、米国の姿勢は強硬だ。林芳正農相もあいさつのなかで「米国はすべての品目で関税を撤廃することが原則であると主張し、重要5品目についても日本の市場を開放するように強く求めている」と話し、「これに対しわが方は重要5品目等の聖域を確保するとしたTPP対策委員会の決議、衆参農林水産委員会の決議をふまえ、国益を最大限実現するよう全力で交渉にあたっている。TPP政府対策本部で政府一体となって対応している。農林水産省としても対応に万全を期する考え」と話した。
議員からは「日豪EPAで関税が引き下げられ、さらにこの次にどれだけ関税が下がるのかという不安がいつまでも農業者に残っている。誇りを持って農業を営めるよう関税引き下げへの不安を取り除いてほしい」などの意見が出たが交渉を一任するとの声も多かった。
◆交渉まとまる環境にない
そのなかで山田俊男議員は「合意しないで帰国を」と訴えた。
会合後、山田議員は記者団に対して「日米首脳会談の外交上の意味は大きいとは思う。そうしたなかでTPA(大統領貿易促進権限)を取得できていない米国と(合意に)突っ込んでしまうとそれこそ大変な重荷を背負ったままになる。この段階で合意するという動きになるということは絶対にマイナス。もっともっと交渉重ねるべきだという意味で、何としても合意しないでがんばったうえで帰ってきてください、と申し上げた」と話した。
また、米国の姿勢について「日本側の思いや決議をふまえてまとめてくると到底思えない。米国は議会の中間選挙を控え、作物別の農業団体も勝手なことをさんざん言っているなかで、交渉をまとめる環境にないと思う。しっかりと時間をかけて、各国の多様な位置というのを互いに認めていくというものにしなければならない。そのことはマレーシアもシンガポールも、その他のアジアの国も同じ思いではないか。時間をかけたらいいと思う」と強調した。
(関連記事)
・TPPで半失業社会がやってくる?(2014.04.14)
・自民政調会、政府に「毅然とした姿勢貫け」(2014.04.11)
・日豪EPA交渉 国会決議の実現求める(2014.04.04)
・TPPを先取りする生産調整政策の廃止(2014.03.26)
・【TPP交渉とこれからの日本農業】多国籍企業と諸国民が対立(田代洋一・大妻女子大学教授)(2014.03.10)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(138)-改正食料・農業・農村基本法(24)-2025年4月19日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(55)【防除学習帖】第294回2025年4月19日
-
農薬の正しい使い方(28)【今さら聞けない営農情報】第294回2025年4月19日
-
若者たちのスタートアップ農園 "The Circle(ザ・サークル)"【イタリア通信】2025年4月19日
-
【特殊報】コムギ縞萎縮病 県内で数十年ぶりに確認 愛知県2025年4月18日
-
3月の米相対取引価格2万5876円 備蓄米放出で前月比609円下がる 小売価格への反映どこまで2025年4月18日
-
地方卸にも備蓄米届くよう 備蓄米販売ルール改定 農水省2025年4月18日
-
主食用МA米の拡大国産米に影響 閣議了解と整合せず 江藤農相2025年4月18日
-
米産業のイノベーション競う 石川の「ひゃくまん穀」、秋田の「サキホコレ」もPR お米未来展2025年4月18日
-
「5%の賃上げ」広がりどこまで 2025年春闘〝後半戦〟へ 農産物価格にも影響か2025年4月18日
-
(431)不安定化の波及効果【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月18日
-
JA全農えひめ 直販ショップで「えひめ100みかんいよかん混合」などの飲料や柑橘、「アスパラ」など販売2025年4月18日
-
商品の力で産地応援 「ニッポンエール」詰合せ JA全農2025年4月18日
-
JA共済アプリの新機能「かぞく共有」の提供を開始 もしもにそなえて家族に契約情報を共有できる JA共済連2025年4月18日
-
地元産小粒大豆を原料に 直営工場で風味豊かな「やさと納豆」生産 JAやさと2025年4月18日
-
冬に咲く可憐な「啓翁桜」 日本一の産地から JAやまがた2025年4月18日
-
農林中金が使⽤するメールシステムに不正アクセス 第三者によるサイバー攻撃2025年4月18日
-
農水省「地域の食品産業ビジネス創出プロジェクト事業」23日まで申請受付 船井総研2025年4月18日
-
日本初のバイオ炭カンファレンス「GLOBAL BIOCHAR EXCHANGE 2025」に協賛 兼松2025年4月18日
-
森林価値の最大化に貢献 ISFCに加盟 日本製紙2025年4月18日