【農協改革】JAグループに自己改革要請 自民とりまとめ2014年6月10日
自民党は6月10日午前に開いた農協や農業委員会改革などに関する合同会議で9日に提示した「農協・農業委員会等に関する改革の推進について」を党の考えとして了承した。11日に開かれる政府の規制改革会議の農業ワーキンググループ(WG)会合で説明し、それを受けて規制改革会議は13日に農業改革について安倍首相に答申を行う。
農業者の所得向上に向けてJAが「買取り販売」を数値目標を決めて拡大するなど、経済事業に中心の事業運営に変革していくことを改革の主眼とした。
そのため信用事業ではリスクを減らし経済事業に専念するため事業譲渡と代理店化も選択できるよう検討する。同時に、JAが代理店化によって経営が成り立つかどうか判断できるよう信用事業の手数料を農林中金・信連が早急に示すことを求めた。
共済事業についてもJA共済連に対してJA負担の軽減策を早急に示すことを求めている。
JA段階の改革としては、理事の過半を認定農業者や農産物販売・経営のプロとするようを盛り込んだ。また、准組合員へのサービスを行うには、員外利用規制は協同組合として「本質的なもの」だとして、JAの組織分割や一部事業の株式会社・生活協同組合などへの転換も選択できるようにする。
連合会・中央会改革ではJA全農、農林中央金庫、JA共済連については株式会社(株式の譲渡制限は必要)に転換することが可能となる方向で検討する。
JA厚生連については員外利用規制がサービス提供のネックになる場合は、社会医療法人への転換も可能とする。JAの信用事業の代理店化も含め、いずれの連合会の組織形態についても「あくまで選択制」だとしている。
また、中央会については全中・県中とも「農協法上の中央会制度は…適切な移行期間を設けた上で現行の制度から自律的な新たな制度に移行する」とされた。新たな制度については、JAの自立を前提として「農協系統組織内での検討もふまえて」結論を得ることとされ、関連法案を時期通常国会に提出することを方針として決めた。また、5年間を「農協改革集中推進期間」することとし自民党は「農協は重大な危機感を持って…自己改革を実行するよう、強く要請する」とし、政府はこの単協の自立をめざすなどの今回の改革が進められるよう法整備を行うものとする、とJAグループの自己改革を重視方向でまとめた。
昨日からの会合では、今回の自民党案とりまとめが、規制改革会議農業WGの提示して内容に即したまとめになっていることや、インナーと呼ばれる一部幹部だけで議論されたことなどに対して異論や反発もあった。月曜夕方に急遽会合がセットされたことに対し「手続きがおかしい。この会合は受け付けない」などのほか、「議論が性急。単協の意見を聞くべきだ。(秋の)臨時国会(期間中)でも議論は間に合うのではないか」、「TPP、減反廃止、そして農協・農業委員会改革、それがなぜ所得倍増につながるのか、市場原理主義ではないかとの懸念が現場にある」、「単協の声を聞くべき。カヤの外になってはやる気を失ってしまう」などの声があがった。
ただ、齋藤農林部会長は11日に農業WG会合があるとして「そこにわれわれの考えをぶつけないとルージング・コントロールになってしまう。一任を」と了承をとりつけたが、最後まで「反対」の声は収まらなかった。
(写真)
会合のようす
(上の画像をクリックするとPDFファイルが開きます。)
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