【TPP】閣僚協議に向け日米協議継続2014年9月11日
9月9日と10日に行われたTPP交渉の事務レベルでの日米協議について、大江首席交渉官代理は「期待したほどの進展は得られなかった」と話した。ただ、閣僚級協議の場を設定するなど妥結に向けて協議を継続する方針だ。大江首席交渉官代理は「われわれに残された時間はそんなにない」、「マーケット(アクセス)はここ1、2カ月でまとめなくてはいけない」と話した。協議が加速する可能性もあり、注視が必要だ。
TPP交渉は4月の日米首脳会談と甘利・フロマン会談の結果、重要品目について日米両国は、関税率の削減、削減期間、関税割当のあり方、セーフガードの発動などを組み合わせて交渉を続けていく「方程式合意」に達した。
その後、TPP交渉が大筋合意に達するには日米二国間協議の進展が不可欠だとして、両国は7月から8月にかけて農産物と自動車に関する実務者協議を断続的に行った。
8月5日、農産物市場アクセス交渉を終えた大江首席交渉官代理は「霧が晴れ頂上に向かって歩き始めた」と話し「互いの宿題ははっきりしており、だらだらやっていると他の国の交渉や全体に影響があるため秋以降は集中的にやりたい」と述べた。
そのため9月からの二国間協議の本格化が想定され注視が必要になっている。
◆「進展は限定的」大江氏
こうしたなか東京で行われた9、10日の交渉に日本側は大江首席交渉官代理と農林水産省の大澤国際部長、米国側はカトラー次席通商代表代行とベッター首席農業交渉官が参加した。
10日午前の協議終了後、大江首席交渉官代理は記者団に対して「正直言って今回の進展は極めて限られたものだった。期待したほどの進展は得られなかったといったほうがいい」と話した。
一方、TPP交渉は9月1日から10日間、ベトナムのハノイで首席交渉官会合が開かれた。この場で日本は9カ国と交渉をし、大江首席交渉官代理は「他の国との交渉はかなり進展したみたいだ」と述べた。ただ、今回の日米協議は「ハノイから帰ってきて次の日の交渉だったので、こちらも十分準備できていなかった部分もあった」と協議が進展しなかった要因を指摘した。
交渉は「方程式合意」に基づいて、関税を削減する枠組みや、率、期間などの数値についての「相場感」をめぐって協議がされているとみられる。大江首席交渉官代理は「われわれに残された時間はそんなにない」として「マーケット(アクセス)はここ1、2か月でまとめなくてはいけないと思っている」と述べ、10日もカトラー氏と昼食をとりながら「これからどうやって進めていくか両方で考える」と話した。
ただ、日米の距離感について問われると大江首席交渉官代理は「まだかなりあります」と話した。
日米協議が加速することも考えられることから、国会決議に沿った交渉を行うよう求めていく必要がある。
(写真)
記者団に囲まれる大江首席交渉官代理、10日外務省玄関。
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