【27年度農業予算】畜産・酪農の強化図る2014年9月30日
27年度予算概算要求では畜産・酪農の競争力の強化も大きな柱とした。耕種部門では次世代施設園芸導入や加工・業務用野菜の生産基盤事業などで増額要望をしている。
◆次世代施設園芸を支援
次世代施設園芸とは、植物工場などの先端生産技術を強固な販売力と融合させて生産から出荷までを一気通貫で実施すると同時に、生産に使用するエネルギーを地域のバイオマス利用など地産地消エネルギーの確立もめざす。
次世代施設園芸拠点をつくり、化石燃料使用量を事業実施5年後までに3割削減し、所得向上と雇用創出を実現することを政策目標としている。今年度より3倍増の63億円を要求している。
◆加工・業務用野菜生産を強化
加工・業務用野菜生産を強化するため、土壌・土層改良、被覆資材など作柄安定技術を導入する場合、3年間支援する対策を引き続き実施する。対象は現行5品目(キャベツ、タマネギ、ニンジン、ネギ、ホウレンソウ)に加え、カボチャ、レタスも対象とする。加工・業務用指定野菜の出荷量は平成20年度81万5000t。これを32年度に132万7000tに増やす目標だ。
◆畜産・酪農で新規事業多数
農家戸数や飼養頭数が減少するなど、危機にある畜産・酪農生産基盤を建て直すため、概算要求では新規事業をいくつも要望した。
悪臭問題などでの経営存続の危機に対応するための機器、施設の整備、農場移転などを支援する地域畜産環境総合対策(61億円)、和牛の生産拡大による国産牛肉の安定供給と、優良な乳用種の確保による生乳の安定供給などのための受精卵移植・性判別技術の活用などを支援する生産力強化対策(30億円)などを要求した。
高止まりする飼料原料への依存から脱却するため自給飼料生産拡大にも力を入れる。草地の生産性向上を図るための難防除雑草の駆除などによる草地の改良や、飼料作付面積に応じた交付金の対象拡大、飼料用米の保管、加工などに必要な機械リース事業なども支援する。
【27年度農林水産予算概算要求の重点事項(2)】(カッコ内)は26年度当初予算額
○強い農林水産業のための基盤づくり
▽農業農村整備事業(公共) 3371億円(2689億円)
▽農山漁村地域整備交付金(公共) 1335億円(1122億円)
▽強い農業づくり交付金 424億円(234億円)
▽次世代施設園芸導入加速化支援事業 63億円(20億円)
▽加工・業務用野菜生産基盤強化事業 20億円(10億円)
▽国産花きの生産・供給対策 7億円(5億円)
▽青果物流通システム高度化事業(新規) 5億円
▽農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業 4億円(3億円)
▽援農隊マッチング支援事業(産地活性化総合対策で実施) 1億円(1億円)
○畜産・酪農の競争力の強化
▽高収益型畜産体制構築事業 5億円(1億円)
▽畜産収益力強化対策(新規) 160億円
▽地域畜産環境総合対策(新規) 61億円
▽畜産・酪農生産力強化緊急対策事業(新規) 30億円
▽和牛の生産拡大を支える研究開発(新規) 3億円
▽飼料増産総合対策事業 37億円(14億円)
うち難防除雑草駆除緊急対策(新規) 20億円
▽飼料生産型酪農経営支援事業 79億円(62億円)
▽草地畜産基盤整備事業(公共)(農業農村整備事業) 70億円
▽自給飼料の生産拡大を支える研究開発(新規) 4億円
▽国産畜産物の新たな市場獲得のための技術開発促進事業(新規) 16億円
▽畜産・酪農経営安定対策 (所要額)1831億円(1710億円)
(関連記事)
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