【27年度農業予算】 「超急傾斜地」新たに加算2014年11月5日
「中山間地域等直接支払交付金」制度は、集落の維持・強化の観点から制度拡充をはかり、来年度からは新たに第4期対策として実施する。
◆中山間地域直接支払い
具体的には加算措置の拡充だ。複数集落が連携して広域の集落協定を締結し、集落の維持を図ろうとする取り組みに対して、地目にかかわらず10aあたり4000円を加算する。人材確保や集落間の連携活動体制づくりを支援する。
また、集落が小規模・高齢化集落の農地を取り込んで行う農業生産活動を支援する加算措置も継続する。単価は田で10a4500円、畑で同1800円としている。
さらに超急傾斜地の農地保全のため新たに加算措置を導入する。傾斜が田は1/10以上、畑は20度以上でいずれも10a6000円を単価とする。交付金と286億円を要求、そのほか地方公共団体による事業推進を支援する交付金として14億円があり合わせて300億円の要求額となっている。
◆地域の将来ビジョンづくりに支援
新規事業として農村集落活性化支援事業を10億円要求した。地域住民が主体となった将来ビジョンづくりや集落営農組織などを活用した集落間のネットワーク化などにより、地域の維持・活性化を図る取り組みを支援する。
農水省は地域全体の存続を図るため、たとえば、基幹集落へ公民館や農産物出荷拠点などの機能を集約させる一方、集落間をコミュニティバスで結んだりIT環境を整備するなどのネットワーク化の推進などを進める必要があると考えている。
これらの実現に向けて住民間で徹底して話し合うための、
▽専門知識を持ったアドバイザーがコーディネートするワークショップの開催
▽コーディネーターの育成や地域住民の意識改革を行うための先進地視察、セミナー参加
などを支援する。
また、地域のインフラとして従来から機能してきた集落営農組織を活用して、広域的に農産物の庭先集荷や、高齢者への声かけや、資材購入サポートなどの提供が可能となるような体制整備も支援する。
山村振興交付金も新規に15億円要求した。地域経済活性化対策として薪炭・山菜等の未利用資源や地場産品に潜在力を再評価し、地域ぐるみで販売促進などを図る組織づくり、人づくりなどの取り組みを支援する。
また、山村の景観や文化といったその土地固有の魅力・価値を「見える化・パッケージ化」し地域のブランド力を高めることや、山村で暮らすための協働や共助の促進も支援する。
一方で都市農業機能発揮対策事業も新規として3億円要求した。都市農業についての制度検討、都市農業の意義の周知、福祉農園の開設支援などを行う。
【27年度農林水産予算概算要求の重点事項(5)】(カッコ内)は26年度当初予算額
○人口減少社会における農山漁村の活性化
(日本型直接支払の実施)
▽多面的機能支払交付金 483億円(483億円)
▽中山間地域等直接支払交付金 300億円(285億 円)
▽環境保全型農業直接支払交付金 26億円(26億円)
(他省庁と連携した集落のネットワーク化、定住の促進)
▽農村集落活性化支援事業(新規) 10億円
▽山村振興交付金(新規) 15億円
▽離島漁業再生支援交付金 14億円(12億円)
(都市と農山漁村の共生・対流等)
▽都市農村共生・対流総合対策交付金 26億円(21億円)
▽農山漁村活性化プロジェクト支援交付金 80億円(65億円)
▽美しい農村再生支援事業 10億円(10億円)
▽都市農業機能発揮対策事業(新規) 3億円
(再生可能エネルギーの導入促進等)
▽農山漁村活性化再生可能エネルギー導入等促進対策 12億円(10億円)
▽地域バイオマス産業化推進事業 13億円(10億円)
▽木質バイオマスの利用拡大 6億円(5億円)
(鳥獣被害防止対策の推進)
▽鳥獣被害防止総合対策交付金 98億円(95億円)
▽森林鳥獣被害対策技術高度化実証事業 2億円(2億円)
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