農協に生活インフラ機能を期待 全国の自治体2014年12月5日
都道府県と市町村の多くは、農協が地域農業振興だけでなく生活インフラの役割を担っていると認識しており、今後も地域全体の発展を支えるような役割発揮を期待していることが民間シンクタンクの調査結果から明らかになった。
産業振興や地域振興の調査研究を行う専門シンクタンクの日本アプライドリサーチ研究所が全国自治体を対象に10月から11月にかけて実施し、都道府県、市町村合わせて904件の回答を得た。
この調査では「農協が現在、地域で担っている役割について、なくなると非常に困る」ことについて聞いた。
その結果、農業関連では「農業技術の指導・情報提供」(市区町村83%、都道府県81%)を筆頭に「安定的な販路の複数確保」、「安心・安全な農畜産物生産」、「自治体の農業政策への協力」、「農業金融サービスの提供」の項目で7割を超えた。
都道府県と市区町村の比較では、市町村のほうが「安定的な販路の複数確保」、「新規就農者の育成・支援」の“役割がなくなると困る”とする割合が高かった。
生活インフラ関連では「過疎・中山間地での生活・金融サービス維持」(市区町村69%、都道府県60%)をはじめ「地域における雇用機会の創出」、「自治体が取り組む地域振興策への協力」、「地域への金融機能の提供」、「地域への生活サービスの提供」の各項目で約4割?7割となり、農協の果たす役割の必要性が示されている。
今後の農協に対しては「安定的な販売体制、新たな販路開拓を行い農家の生活安定化を図ってほしい」、「農家所得向上をはかるための取り組みを強化し地域農業の牽引役として期待したい」と農業振興への期待に加え、「民間活力の弱い山間地等では、農協が唯一地域に根ざした活動組織であり、収益の変動により事業を廃止したり機能を移転しない機関であるので、行政とともに政策遂行を担ってほしい」、「農業者のための共益性と地域住民のための公共性を同時追求しながら事業展開してほしい」と地域振興への役割発揮の期待も寄せられている。
同研究所では「自治体からみれば農協は地域農業や生活インフラですでに一定の役割を担っていると認識している」、「農家の対する営農指導の充実などのほか地域全体の発展を支えるような役割のさらなる発揮を期待していることが分かった」としている。
政府の農協改革では農業関連事業への特化を求め、准組合員も含めたJAの総合事業展開を制限する考えも示されているが、全国の自治体は農業だけでなく地域振興の担い手として期待しているのが現場の実態であることが示されたといえる。
(関連記事)
・【農業・農協改革】米国が農協攻撃-50年前、占領下の沖縄で- 普天間朝重・JAおきなわ代表理事専務(2014.12.02)
・系統経済事業強化に全力 JA全農(2014.11.28)
・【農業・農協改革】中央会機能を守り、地域社会崩壊防げ 高橋専太郎・JAいわて花巻代表理事組合長(2014.11.17)
・規制改革会議の支離滅裂な中央会攻撃(2014.11.17)
・「自己改革案は不十分」 自民・稲田政調会長(2014.11.13)
重要な記事
最新の記事
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(2)今後を見据えた農協の取り組み 営農黒字化シフトへ2025年1月23日
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(3)水田に土砂、生活困惑2025年1月23日
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(4)自給運動は農協運動2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(1)2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(2)2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(3)2025年1月23日
-
元気な地域をみんなの力で 第70回JA全国女性大会2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(1)新しい仲間との出会い 次世代へつなげるバトン 青森県 JA八戸女性部 坂本順子さん2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(2)この地域を、次世代に繋ぐ、私たち 山梨県 JA南アルプス市女性部 保坂美紀子さん2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(3)私たちの力で地域をささえ愛 愛知県 JA愛知東女性部 小山彩さん2025年1月23日
-
旧正月【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第325回2025年1月23日
-
地元産米を毎月お届け 「お米サポート」スタート JAいずみの2025年1月23日
-
定着するか賃金引上げ 2025春闘スタート 鍵は価格転嫁2025年1月23日
-
鳥インフル 米アイオワ州など5州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月23日
-
鳥インフル 英シュロップシャー州、クルイド州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月23日
-
スーパー売り上げ、過去最高 野菜・米の価格影響 「米不足再来」への懸念も2025年1月23日
-
福島県産「あんぽ柿」都内レストランでオリジナルメニュー 24日から提供 JA全農福島2025年1月23日
-
主要病虫害に強い緑茶用新品種「かなえまる」標準作業手順書を公開 農研機構2025年1月23日
-
次世代シーケンサー用いた外来DNA検出法解析ツール「GenEditScan」公開 農研機構2025年1月23日
-
りんご栽培と農業の未来を考える「2025いいづなリンゴフォーラム」開催 長野県飯綱町2025年1月23日