総合農協の特性ふまえた中央会監査は必要2015年1月23日
自民党の農協改革等法案検討PTは1月22日にJA全中からヒアリングを行った。萬歳章JA全中会長らが出席。萬歳会長は「総合事業を展開している農協の特性をふまえた中央会監査は必要」と強調するとともに、准組合員を「JAのパートナーとして位置づけることが地域と農業振興につながる」と主張した。
◆上場会社の監査と目的異なる
萬歳会長は6月の政府・与党のとりまとめ方針に基づきJAグループも自己改革方針を決定したことなどを説明し、地域組合の性格をあわせもった協同組合として「総合事業を展開する農協の特性をふまえた中央会監査」が必要だと主張した。 ただ、「これまでまったく議論されていない監査制度の廃止などが報じられているが、現場からは真の目的は何か、誰のための改革かと声が出ている」と指摘し、「中央会制度や準組合員制度にどのような問題があるのか、事実と検証をふまえて検討することが必要だ」と訴えた。
また、JA全中の佐藤正典監査委員長がJA監査に対する考え方を説明した。
佐藤委員長は上場会社に対する監査は投資判断材料を得るためのものだが、JAへの監査は「組合の健全運営、事業の継続性」が目的という違いがあることや、JA全国監査機構による一手に監査する体制で均質性を維持していること、契約上のトラブルや監査難民などの混乱を防止していること、監査報酬負担が割安で安定していることなど有効性を説明した。
(写真)
1月22日の自民党農協改革等法案検討PTのようす。中央で話すのは林芳正全農水相
◆准組合員利用制限にも反対
出席した議員は約140人。監査について「協同組合として監査が必要」、「農業やJAのことがわからない人では監査できないのではないか」など現行の監査制度を評価する声が多かった一方、「地域農協の自由度を高める監査を考えるべき。外部監査も必要だ」など批判的な意見もあった。
一方、准組合員制度については農村地域での住民生活を支えているほか、都市地域でも「学童農園などへの参加で農業理解と振興に役立っている。准組合員の事業利用がJAの安定につながり都市農業振興につながっている」と事業利用制限に反対する声が多かった。
中央会が単協の自由度を奪っているとの指摘が与党や政府からも出ているが、中家徹JA全中副会長もJA紀南組合長としてJAの自由度が奪われたと感じたことはないと指摘した。この点については冨士専務も「どういう自由度を奪っているのか、具体的に示してほしい」と主張した。
また、中央会監査を農協法に位置づける必要性については「組合員が事業を継続して利用するための業務監査は、公認会計士監査にはないからこそ法的位置づけが必要」と強調した。
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