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食料自給率目標 カロリーベース45% 農水省が基本計画原案2015年3月19日

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 農林水産省は3月17日、食料・農業・農村審議会企画部会の第17回会合に今後10年の農政の指針となる新たな食料・農業・農村基本計画の原案を提示した。法定目標である食料自給率目標は平成37年度にカロリーベースで45%、金額ベースで73%とする。カロリーベース目標は現行基本計画(32年度目標)の50%から5%引き下げる一方、金額ベース目標は3%引き上げる。本審議会の答申を経て、政府は3月中に閣議決定する。

◆実現可能性重視

 食料・農業・農村基本法では「おおむね5年ごとに、10年程度先を見通して」基本計画を策定することになっている。1回目は平成12年に策定、今回は4回目となる。
 新基本計画の策定に向け大臣が審議会に諮問したのは昨年1月。企画部会では現行計画の検証と今後の施策の方向について16回にわたって議論してきた。
 カロリーベースの食料自給率が50%目標にはほど遠く約40%で推移していることについて、検証の結果、増加を見込んでいた米や米粉の消費が大きく予測を下回る一方で、減少を見込んでいた油脂類の消費が予測を上回って推移していることなどの要因を上げた。また、品目別の数量目標には「当初の目標設定が過大と考えられる品目」もあると指摘している。
 そのうえで「実現可能性を重視」(農水省食料安全保障課)して設定するとして今回、カロリーベースは45%を目標とした。基準年度の平成25年度は39%。今後10年間で6%の引き上げが目標になる。
 ただ、平成12年、17年策定の基本計画では食料自給率目標について「世界の食料需給が不安定な要素を有していることや国民の多くが我が国の食料事情に不安を抱いていることを踏まえれば、基本的には、食料として国民に供給される熱量の5割以上を国内生産で賄うことを目指すことが適当である」(17年基本計画)と記述していた。


◆国の姿勢後退?

 しかし、今回の基本計画にはこのような記述はない。この点について企画部会委員の萬歳章JA全中会長は17日の部会で「5割以上をめざすことが適当という文言は残すべき」と主張した。近藤一海委員(農事組合法人ながさき南部生産組合会長)も「国民がいついかなるときでも飢えない、あるいは日本農業のあり方として本来の目標はどのへんにあるのかをまず明確にしたうえで、到達可能な計画としての数字に落とさないと引き下げというイメージになってしまう」などと指摘した。 これに対して農水省はカロリーベース食料自給率目標は、企画部会の議論でも実現可能性を重視すべきとの指摘があったとして、現実に見合った需要量と生産量を設定して算定する考え方に立ったと強調した。
 平成12年基本計画策定の際には、“自給率”という目標を掲げるなら過半を国産で供給することが本来の姿ではないか、といった議論をふまえた。しかし、今回はこうした考え方を引き継がないことになる。萬歳JA全中会長は「食料自給率向上への国の姿勢が後退したと言われかねない」とも指摘した。

総合食料自給率・飼料自給率


◆飼料用米110万t

 飼料自給率は平成25年度26%を40%に引き上げることを目標とする。
 飼料作物生産は350万tを501万tにまで増やし、粗飼料は100%自給をめざす。
 一方、飼料用米生産は11万tを10倍に拡大し110万tとする。農水省によると110万tの飼料用米はカロリーベース自給率を0.5%上昇させることになるという。
 この生産努力目標を達成するための課題として▽実需者のニーズに応じた安定生産と畜産経営における利用拡大、▽多収性専用品種の導入や地域条件に応じた栽培技術の確立等を通じた収量向上、▽供給・利用体制の整備による流通コストの低減などが挙げられている。 ただ、生産現場からは飼料用米への支援が安定的に継続されるのかという不安の声が根強い。
 この点について新基本計画では、米粉用米や麦、大豆なども含めて戦略作物として「本作化を推進する」と明記。また、「水田活用の直接支払交付金による支援」も基本計画本文のなかに明記される。
 同日は自民党の農業基本政策検討PTも開かれ出席議員から財政も含めて持続可能か農家は不安に思っているといった指摘が出た。
 この点について宮腰光寛同PT座長は「水田活用の直接支払交付金による支援、と明記している。財務省とも調整した」と財政当局と調整したうえでの記述だと説明した。 審議会企画部会で萬歳会長は飼料用米など本作化推進を基本計画に盛り込んだことを評価、そのうえで政策的支援の継続性、安定性を求めた。農水省は「財源についてはその年その年で必要な額はきちんと確保していく」と強調した。
 一方、飼料用米と米粉用米を除く米の生産努力目標は752万tとされた。25年度859万tからは大きく減少する。ただ、飼料用米110万t、米粉用米10万tと合わせれば米そのものの生産努力目標は872万tとなり基準年度の25年度生産量を維持する目標設定とした。飼料用米生産に大幅にシフトし、水田フル活用による水田維持と主食用の価格安定につなげる取り組みも課題となるといえる。

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