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【TPP】粘り強く分析と運動 市民レベルで勉強会2015年4月17日

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 TPP(環太平洋連携協定)交渉は4月23日から首席交渉官会合が行われ28日に予定されている日米首脳会談でもTPPは主要議題のひとつと位置づけられるなど重要な局面を迎えている。こうしたなか、改めてTPP交渉の問題点を考え、安易な妥結しない運動を強めようと関係者は学習会などを開いて発信している。また23日には労働組合などが「秘密交渉のTPPを止めよ」と訴える国会議員会館前座り込みを行う予定だ。

 東京都千代田区内の労働組合が中心なって組織している「TPP参加に反対する千代田実行委員会」はこれまでに7回の連続講座を開き問題点を分析、共有してきた。
 3月末には農民運動全国連の真嶋良孝副会長を講師にTPPをめぐる情勢について認識を深めた。焦点となっている米国議会が政府にTPA(貿易促進権限)を与えるかどうかについて、真嶋副会長は全米労働総同盟をはじめ60の主要労働組合がTPA反対を国会議員に働きかけていることや、自由貿易協定は雇用を奪い賃金を下げると共和・民主入り乱れ反対キャンペーンが盛り上がっていることなどを紹介した。 ただ、一方で日本では安倍政権がTPP妥結に向けて農産物関税で譲歩、米で米国向け無税枠を示すなどの報道が相次ぎ、国会決議を無視した前のめりの姿勢を警戒しなければならないと指摘。真嶋氏は「かりにTPP交渉が頓挫したとしても、積み重ねてきた対米譲歩を米国が見逃すはずはなく、日米FTAに突入する危険性がある。これに対抗するには、TPP交渉の“漂流”ではなく“沈没”に追い込む運動が必要だ」と強調した。同実行委員会はTPP交渉は国家主権の破壊を前提とする多国籍企業利益優先の反国民的な条約交渉だとして「TPP交渉から即時撤退を要求する決議」を採択した。

◇   ◇

 農業・農協問題研究所は4月4日の研究例会のテーマを「TPP交渉の現局面」とした。講師は九州大学農学研究院の磯田宏准教授。
 磯田氏は昨年11月のTPP北京首脳会談で「終局が明確になりつつある」、「TPP協定を妥結することを最優先することを指示した」ことを改めて指摘。次期大統領選を控える米国は妥結を急ぐと同時に、TPPより先に他の通商交渉をまとめてはならないという米国利益最優先の身勝手が前面に出てきたと分析した。日本も政府系シンクタンク自体がTPPよりも日中韓FTA、RCEP(東アジア包括的経済連携協定)のほうが経済効果が大きいと試算しているにもかかわらず、米国主導のTPP優先妥結の指示のもとに、米国追随をしている。しかもTPP交渉中に、一方で日豪EPA妥結によって“関税をゼロにしなければいい”というロジックをつくりだした政府の動向を注視すべきと強調した。
 そのなかで日米政府が描く今後のスケジュール感として、大統領選スケジュールから逆算すると、年内の議会承認が不可欠で、その議会承認には「90審議日(約5か月)が必要」とフロマンUSTR代表が発言していることなどから、7月末には“締結”の必要があると分析した。そうなると“妥結”は5月中に必要になる。
 そこに向けて焦点となっているのがTPA法の議会成立。議会の賛同を得るため交渉状況を議員に一部開示するとも伝えられている。ただし、1月にリークされた投資分野のテキストで、ISD条項について政府調達や政府助成、補助金なども外国投資家の訴訟対象にするなどかえって範囲を広げる方向で交渉されていることが明らかになったことから、各国の主権を侵害するとして米国議会でも一部議員から激しい批判が出ているという。磯田氏は、米国での情報開示が国民へのISD条項の危険周知にもなり、TPA(貿易促進権限)の議会承認に影響を与える可能性も指摘した。

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