JA改革で意見を交換 新世紀JA研2015年4月21日
監査や准組問題農水省の奥原経営局長らと
全国のJAの常勤役員・幹部職員の相互研鑚を目的とする新世紀JA研究会(代表=藤尾東泉・JAいわて中央組合長)は4月9日、JA改革について、農水省経営局の奥原正明局長らと意見交換した。
意見交換は、新世紀JA研究会が申し入れた。同研究会は年2回の研究セミナーの開催を含め、年に数回、双方の理解を深め、国の政策への意思反映を求めて、こうした意見交換会を開いている。
農水省本庁での意見交換会には、新世紀JA研究会から藤尾代表のほか、萬代宣雄(JAしまね組合長)、鈴木昭雄(JA東西しらかわ組合長)、古谷茂男(JAはだの組合長)、高橋信茂(JA東京みどり組合長)、宮本幸男(JA土浦会長)など研究会役員が参加。農水省からは奥原正明経営局長のほか、山北幸泰協同組織課長らが対応した。
(写真)奥原経営局長(右から2人目)と意見交換する新世紀JA研究会(農水省経営局長室で)
「効率経営だけでは限界」(新世紀JA研究会)
「政策と組織改革は一体」(農水省)
意見交換は、今国会で審議する農協法改正案について行われた。主なやり取りは次の通り。
(1) JAの理事構成で、過半数は認定農業者または農産物販売・法人経営に関し実践的能力を有する者(プロ)となっているが、これについて、「プロの資格については省令などでこれ以上規定する考えはない。JAで実務経験があると説明できる人であればよい」との考えを示した。
(2) 准組合員については、JAグループ内に総代になる権利を与えるべきとの意見もあるが、これは「法制度の根幹に関わるので難しい。准組合員への共益権の付与はJA組織の性格を変えることにつながるので、農水省としては考えられない。利用制限については、今までのように農業振興に力を入れない漫然とした運営を続けるようでは、これからも問題が再燃することは確実」との認識を示した。
(3) 信用・共済事業の組織のあり方については、「今のままでよいとは考えていない。今後、いろいろな角度から検討していく必要がある」との考えを示した。
(4) 中央会監査について、JA全国監査機構は公認会計士法に基づく監査法人として独立することになるが、問題はその負担。大きな経費になるのではないかという組合長らの危惧に、「現在、監査機構に対して直接支払っていないので分からないが、調査しながら対応したい」と述べた。
また、組合長からは、JAは農協らしい業務監査を行っているとは言い難い。今後、業務監査について農協が農業振興にどのように貢献しているのかの監査を行うなどの独自性の発揮が必要ではないか、との意見が出された。
(5)新世紀JA研究会からの強い要望でJAバンク支援基金の積立て掛け金が凍結になったが(この結果、全体で毎年100億円を超えるJA負担軽減となった)、今回も、特にJAしまねの萬代組合長が、引き続き、農水産業協同組合貯金保険機構の基金積み立掛け金凍結を要望した。貯金保険機構の積立金は、JAバンク支援基金を合わせれば一般銀行を対象にした預金保険機構の積立金に遜色がない(目標は預金保険機構の1割)ので、凍結すべだと主張。これに対して経営局からは、新しくつくられるJA全中外出しの監査法人の監査の実力も見ながら検討していきたいとの考えが示された。
(6)農業政策と農協改革について、「自民党政権になって、農業の6次産業化や輸出の拡大など、政策はJAや法人が、それを使いやすくなっている。組織改革もそれに合わせて改革する必要がある。政策と組織の改革は一体となって進めるべきだ」との考えを示した。
(7)このほか組合長らから、農政が依然として土地利用型農業を前提に面積要件にこだわっていることに対して、「面積要件で補助金を出す政策は限界。農業所得の増大は、兼業化も併せ、面積以外の別の方法を考えるべきだ」、「認定農家、法人経営による効率的経営だけを追求することは問題」との主張があった。
(関連記事)
・【コラム・ここがカンジん】農協法改正の骨格が明らかに (2015.04.02)
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