安保法制関連法案での性急な議論に反対表明 パルシステム2015年5月18日
パルシステム生協連は、安倍内閣が5月14日(木)、国際平和支援法案と、現行関連法10本の改定を一括した「平和安全法制整備法案」の2法案を閣議決定し15日に国会に提出したが、法案に対する強い懸念と性急な議論へ反対を表明した。
パルシステムは、理念として掲げる「心豊かなくらしと共生の社会を創ります」に基づいて「安保法制関連法案に対して強い懸念を表明するとともに、今国会での性急な議論を進めることについて反対する意思を表明」するとし、次の4点が特に懸念されるとしている
1.重大な判断をする際の基準が不明確であいまい。
2.従来の周辺事態という概念が取り外され、地球上どこにでも自衛隊を派遣できる内容へと大きく変質している。
3.国連PKO活動のほかに国連以外の人道支援や治安維持の活動を新たに加え、他国軍への支援を可能とする法案を恒久法にしようとしている。
4.歯止めとして海外への自衛隊派遣の際、例外なく事前承認の規定を盛り込んだといわれているが、実際には新設する「国際平和支援法」に限られた定めであり、集団的自衛権の行使は緊急時には事後承認が認められており、万全な歯止めとはいえない。
意見の全文は以下の通り
「集団的自衛権に絡む安保法制関連法案に強く反対します」
安倍内閣は、国際平和支援法案と、自衛隊法やPKO協力法など現行関連法10本の改定を一括した「平和安全法制整備法案」の2法案を5月14日に閣議決定しました。法案は15日に国会に提出され、国会での議論が開始されます。私たちパルシステムグループは、理念として掲げる「心豊かなくらしと共生の社会を創ります」に基づき、安保法制関連法案に対して強い懸念を表明するとともに、今国会での性急な議論を進めることについて反対する意思を表明します。
報道各社による世論調査によると、安保法制関連法案が今国会で成立することに対し、約半数が反対しています。私たちは、国のあり方を左右する重要案件の決定に際し、国民的な議論を十分に積み重ねた上で、国民に信を問うなど必要な手続きを経ることが民主主義の基本的なルールと考えます。特に、今回の安保法制関連法案は、従来日本がとってきたこれまでの安全保障政策を180度転換する極めて重大な内容です。
しかし安倍首相は、国会審議すら入っていない4月に行われた米議会の演説で、関連法案を今夏までに成立させる旨を表明しました。さらに両政府は「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の再改定に合意し、従来の日本の周辺事態という概念から、自衛隊が地球規模で米軍に協力できるよう拡大する枠組みへと大きく変更しました。
また、現行関連法の改定10本を一括し1法案とするなど、審議の短期化を狙う結論ありきの姿勢は、立法府である国会と民意を軽視しており、前のめりな議論の進め方に批判が高まっています。
安保法制関連法案には大きな問題を含んでいます。最大の特徴は、自衛隊を海外にいつでも派遣でき、
米軍など他国軍を軍事的に支援することを可能にするというものです。いままでとまったく違った国に姿をかえてしまうことにつながりかねず、日本国憲法の趣旨に背く内容です。決して容認することはできません。
上記を前提としながら、以下4点を特に懸念します。
1.重大な判断をする際の基準が不明確であいまいです。
2.従来の周辺事態という概念が取り外され、地球上どこにでも自衛隊を派遣できる内容へと大き
く変質しています。
3.国連PKO活動のほかに国連以外の人道支援や治安維持の活動を新たに加え、他国軍への支援
を可能とする法案を恒久法にしようとしています。
4.歯止めとして海外への自衛隊派遣の際、例外なく事前承認の規定を盛り込んだといわれていま
すが、実際には新設する「国際平和支援法」に限られた定めであり、集団的自衛権の行使は緊急時には事後承認が認められており、万全な歯止めとはいえません。
「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」では、これまで原則禁止としていた他国の軍隊に対するODAと武器供与が可能になり、戦争に加担する恐れがあります。戦力の援助は公平、中立の国際協力の原則をゆがめ、対立する勢力の一方の側だけ援助し、敵と味方に分断することにつながります。
今年は戦後70年を迎えます。かつての戦争では、沖縄戦をはじめ東京、大阪など各都市への空爆と
広島、長崎への原爆投下をもたらしました。一方、隣国への侵略で、多くの尊い人命を奪い、人間の尊厳を深く傷つけました。これらの傷跡は、いまだ癒えていません。70年前の痛恨が二度と繰り返されることのないよう、慎重かつ賢明な判断を求めます。
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