耕作放棄地に税負担を 産業競争力会議2015年5月28日
規制改革会議の農業WGと産業競争力会議実行点検会合の合同会議が5月27日に開かれた。テーマは農地中間管理機構の初年度実績への評価。会合では機構への農地貸し出しを促進するため耕作放棄地化した農地に対し固定資産税などの負担を増やす仕組みを検討すべきだとの意見が強まった。
政府は10年間で担い手に集積されている農地の割合を5割から8割に引き上げることを目標に掲げている。そのためには「機構」で年間14万ha程度の集積が必要になる。しかし、26年度の機構からの権利移転は3万1000haにとどまった。
会合ではこうした初年度実績について農水省から報告を受けて議論した。 おもに機構への農地貸付けのインセンティブ強化が必要との意見が出て、耕作放棄地化した場合には固定資産税などを上げ農地保有の負担が大きくなり、一方で機構に貸し付けると負担が軽くなるような仕組みを検討すべきことが強調された。「インセンティブとともに逆インセンティブも考えるべき」との指摘が多かったという。
また、農水省は「農地流動化の促進の観点から転用規制のあり方に関する検討会」を立ち上げて28年度中に中間とりまとめを行う方針で検討を進めている。これについても農地転用利益の規制について「検討をもっと早められないか」との指摘もあった。
そのほか「人・農地プラン」を担い手への農地集積目的の観点から見直すことが必要だとの意見や、農地の貸借については現場の事情を理解している市町村段階での取り組みを強化すべき、民間ノウハウをもっと活用すべきとの意見も出された。 議論全体として、農地中間管理機構の仕組みは日本農業立て直しの最後の手段だとして「これまでにない方法で進めていくべき」「税制措置を含めた強力な措置が必要」との議論で6月の成長戦略の改訂に向けて税制のあり方を中心に議論が進むことになる。
ただ、耕作放棄地に固定資産税負担を増やすといった強権的な手法による農地集積には現場からの反発も考えられる。
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