【TPP】閣僚会合で政治判断へ2015年7月14日
TPP政府対策本部の大江首席交渉官代理は7月9日からのカトラー米国次席通商代表代行との日米2国間協議を終えた。一定の進展はあったものの、「残っている問題は非常に政治的な判断を要する」と話し、7月28日からハワイで開催される閣僚会合での政治判断に委ねられる見通しになったことを明らかにした。
米国通商代表部(USTR)はTPP交渉の閣僚会合を7月28日から31日の日程で米国ハワイ州マウイ島で開くと発表している。
大江首席交渉官代理は今回の日米協議について「閣僚会合ですべて終わらせるという目標を持って2日間協議をした」と話した。
そのうえで残された問題について「カトラーさんとも1年半以上、これだけ議論して残っているので、1日2日議論したからといって解決がつくということにはならないが、もう閣僚会議で全部決着させなくてはならないと思っている」と述べた。
報道されている米の輸入問題についても「問題を整理して最後、政治の判断を仰ぐということだと思う」と述べた。
一方、カトラー次席通商代表代行は米の問題について次のように述べた。
「日本がTPP交渉に参加したとき、米に関しては日本市場におけるセンシティビティがあるからもっとも困難な問題になると予測していたが、実際そうだったことが証明されている。(今回の日米協議で)意見交換し、米についての潜在的な着地点がどこにあり得るのかについての進展はみられた。しかし、まだ残された問題となっているのでハワイで閣僚どうしで話し合わなければならなくなる可能性がある」
ただ、農産物では米だけが問題になっているわけではない。
乳製品について大江氏は「日米だけの話ではない。その意味では残っている問題とは連立方程式のような(もの)。いろいろな国を巻き込んで最後の決着が図られるということになる」との見通しを示したほか、交渉全体について「日米が先にまとまって(次に)他の国、という関係にはない」、「最後のカードが日米の問題であっても、12か国全体がこれでまとまるというモードになって最後がばーっと進むと思う」と日米だけでなく、他の参加国も「最後に交渉をまとめるための腹を決めてくるかどうかにもよる」と述べた。
カトラー氏は今回の協議について「自動車、農業、その他を含めて隔たりをさらに狭めることができたと意を強くしている。合意に到達するための道のりを明らかすることができた」と話した。 ただ、大江氏は米国と他国との交渉について「必ずも全部が全部順調に進んでいるわけではないようだ」と話し、閣僚会議について「12か国全体がまとまるということにならないと、お互いぎりぎりのカードを出せないと思うから、やってみないと分からない」と交渉の行方に厳しい認識を示した。
林農相は7月10日の定例記者会見で今後のTPP交渉について「(衆参の)農林水産委員会の決議が守られたと評価をいただけるように政府全体で交渉に全力を尽くしていきたいと思っている。解決すべき困難な課題は残されているがしっかりと早期妥結に向けて努力していきたい」と話した。
(写真)大江首席交渉官代理(上)、カトラー米国次席通商代表代行
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