国内生産力の着実な増大が重要-日中韓農業大臣会合2015年9月15日
日中韓農業大臣会合が9月12日から東京都内で開かれ翌13日、「国内生産力の着実な増大が食料安全保障を確保するうえで非常に重要」とする共同声明を採択した。
林芳正農相が議長を務めた日中韓農業大臣会合は今回で2回目。中国からは陳暁華(チン・ギョウカ)農業部副部長、韓国からは李桐弼(イ・ドンピル)農林畜産食品部長官が出席した。
会合では食料安全保障、動植物の疾病、自然災害と気候変動、国際的・地域的な多国間の枠組みでの農業協力などについて意見交換し、その成果を共同声明としてまとめた。 また、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザなど、国境を越えてまん延する越境性動物疾病への対応に関する協力覚書を交わした。
(日中韓農業大臣会合声明のポイント)
【食料安全保障】
・日中韓は食料純輸入国であり小規模経営であるとの共通認識のもと、国内生産力の着実な増大が食料安全保障を確保するうえで非常に重要との認識で一致。
・農業、貿易政策に関する情報交換の強化、農業技術の共有、農業投資に関する協力推進と農業貿易の促進を確認。
【動植物の疾病】
高病原性鳥インフルエンザ等の越境性動物疾病への対応で覚書締結(別掲)。
【自然災害と気候変動】
自然災害発生時の相互協力実施の可能性を議論し気候変動に対応した農業生産力確保の方策を検討。
【バイオマスエネルギーの開発】
温暖化対策の観点から稲わらや家畜の糞尿等農林業由来の廃棄物から主につくるバイオマスエネルギーの開発・使用努力の推進を確認。
【農業の科学技術協力】 持続的な東アジア型農業の発展を支援する重要性を共有し、研究者の交流と共同研究の促進を確認。
【農業の6次産業化】
6次産業化が極めて重要との認識のもと、環境整備を進めるための協力を奨励。
【日中韓FTA農業交渉】
日中韓FTA交渉の加速化が必須との考えを共有。交渉は各国のさまざまな懸念と関心を考慮。【国際的・地域的な多国間の枠組みでの農業協力】
G20、FAO、OIE等の枠組みでの政策や立場に関する意見交換や調整活動のさらに強化すると認識。
【高級実務レベル会合のメカニズム】
高級実務レベル会合を新設。共同声明に掲げられている各事項の進捗状況とその他の大臣会合に関連する事項を議論、確認。
(越境性動物疾病への協力に関する覚書)
・WTO/SPS協定並びにそれぞれの国内法令、規則に従って共同活動。・共同活動はOIEその他の国際機関の目標、活動と協調しこれを支持。・共同活動の分野=動物衛生情報の共有、サーベイランス、通報、疫学調査、ウイルス等の交換、診断技術・ワクチンの研究開発、人材育成、防疫対応等。
・共同活動の方法=フォーカルポイントを介した情報共有、研究のための共同ワーキンググループやプログラムの設立、専門家、職員の交流など。
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