世界農業遺産 日本から新たに3地域2015年12月16日
12月15日にローマのFAO(国連食糧農業機関)で開催された世界農業遺産(GIAHS)運営・科学合同委員会で、岐阜県長良川上中流域、和歌山県みなべ・田辺地域、宮崎県高千穂郷・椎葉山地域の3地域が世界農業遺産に認定された。
世界農業遺産はFAOが2002年に開始したプロジェクト。次世代に受け継がれるべき農業と、それによって育まれた文化、景観、生物多様性などが一体となった世界的に重要な農業システムを認定し、保全と持続的な活用を推進するのが目的。
岐阜県の長良川上中流域は、流域の人々の日々の暮らしや水質保全活動で清流が保たれ、そこで育った鮎が地域に恩恵をもたらしており、人の生活、水環境、漁業資源が相互に連関する里川システムとして評価された。
和歌山県のみなべ・田辺地域は、養分に乏しい礫質の斜面を梅林として利用するとともに、周辺には薪炭林を残すことで水源涵養や崩落防止機能を持たせている。薪炭林に生息するニホンミツバチと梅との共生など、地域資源を有効活用して高品質な梅を持続的に生産する農業システムが評価された。
宮崎県の高千穂郷・椎葉山地域は、険しく平地が少ない山間地において、針葉樹と広葉樹で構成されるモザイク林などによる森林保全管理、伝統的な焼畑農業、急斜面に築かれた500kmを超す水路網を持つ棚田での米づくりなど複合的な農林業システムが営まれている。神楽など特色ある伝統文化を継承していることも評価された。
世界農業遺産はこれまでに14か国32地域が認定されている。わが国では▽石川県能登地域(能登の里山・里海)▽新潟県佐渡地域(トキと暮らす郷づくり)▽静岡県掛川周辺地域(静岡の茶草場農法)▽大分県国東半島宇佐地域(クヌギ林とため池がつなぐ資源の循環)▽熊本県阿蘇地域(草原の維持と持続的農業)の5地域が認定されている。海外ではペルーのアンデス農業や中国の水田養魚などが認定されている。
来年1月に認定記念シンポジウムが開催される予定。
(写真上から)岐阜県郡上市の水舟、和歌山県の梅林風景、宮崎県の焼畑、認定証授与式で岐阜県知事古田肇氏(左)と和歌山県知事仁坂吉伸氏(中)と宮崎県知事河野俊嗣氏
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