生産部会代表者も 理事構成の特例に 改正農協法の政省令2015年12月17日
農林水産省は12月17日に開かれた農林関係の合同会議に農協法改正にともなう政省令案を示し了承された。改正農協法ではJAの理事構成について、過半数が「認定農業者または農産物販売・法人の経営などに関し実践的な能力を有する者」でなければならないとしたが、省令案では組合員に占める認定農業者数で特例を設けるほか、生産部会の代表者を認定農業者に準じる者として理事構成に加えることもできるようにした。
改正農協法は8月に国会で成立、来年4月に施行される。それまでに政省令も決定されることになっていたが、農協改革を議論してきた自民党の農林関係部会で報告、了承するとされていた。
同党の農協改革PTの吉川貴盛座長は「年明けの総代会で定款変更したいというJAもあることから、団体から年内に政省令を決めてもらいたいとの声を受けた。団体も評価している案だ」などと説明した。
原則として理事構成の過半数を認定農業者と農産物販売などのプロとする、いわゆる過半数要件について、農水省はJAへのアンケートを実施した。
それを集計した結果では概ね8割のJAが認定農業者が40人いれば理事1人を選任できるという結果になったという。それをもとに「定数の過半」という要件を認定農業者とプロをそれぞれ4分の1ずつと想定し、要件を検討した。
その結果、改正農協法の「原則」を適用するJAは、「認定農業者が理事定数の10倍以上いる」ことを要件とした。たとえば、理事定数が40人の場合、認定農業者がその10倍以上、すなわち400人以上いるJAが原則適応の対象となる。(経営管理委員会方式の場合はプロも含めて過半数という規定はなく、認定農業者だけで過半を占めるという規定のため経営管理委員数の20倍以上の認定農業者がいるJAが対象となる)
「例外」が適用される要件のひとつは、理事定数の10分の6以上(6割以上)を「認定農業者+認定農業者に準じる者+プロ」で構成する場合。これは地域の認定農業者数を要件とはしない代わりに、担い手の理事登用をより重視する場合に例外と認めるもの。原則規定の「過半」よりも厳しい「6割以上」を認定農業者に準じる者も含めた担い手と販売のプロ等で構成するJAが対象となる。
認定農業者に準じる者としては、果樹部会など生産部会の代表者や集落営農組織の役員などを省令で定めている。ただし、この例外は理事定数の10分の3以上を「認定農業者+認定農業者に準じる者」とすることも要件となる。(経営管理委員会方式の場合は10分の6以上を認定農業者+認定農業者に準ずるものとするJA)。 認定農業者に準じる者は果樹部会など生産部会の代表者等とする。
そのほか、認定農業者が理事定数の10倍(経営管理委員会方式の場合は20倍)までいないJAに対しては「認定農業者に準じる者をカウント」して理事の過半数を占めるようにすることも認める。この場合は理事の選挙(選任)に先立って正組合員に占める認定農業者数に関する調査を行い、結果を公表していることも必要になる。
それでも理事に過半数を構成することができない場合は行政庁(JAの場合は都道府県)の承認を受けて過半数要件を4分の1まで引き下げることも例外規定に盛り込む。ただし、理事構成の原則適用が困難なことを調査結果とともに公表することが必要になる。さらに理事構成要件を満たすことが困難なJAがある場合は、事例によって農林水産大臣の特認とすることも盛り込んだ。
そのほか省令では▽全農が株式会社に組織変更する場合は株式の譲渡制限に関する方法を定めなければならないこと、▽県中・全中の組織変更後の中央会の名称を使うことができる事業等の要件、▽組織変更後の農協連合会が行う監査事業の従事者の要件などを省令で定める。
農林水産省は与党で政省令案が了承されたことを受けて今月から来年1月中旬までの約1か月間、パブリックコメントを求める。その後、政令を閣議決定し、政省令として来年4月の改正農協法施行前に官報で公布される。
(写真)12月17日朝の自民党農林関係合同部会
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