新たな生活スタイル探る 「なりわい」による地方創生 JC総研がシンポ2016年3月7日
一般社団法人JC総研は3月5日、東京都内で「産業・なりわいづくりと農山村再生ー地方創生の課題ー」のテーマでシンポジウムを開いた。田園回帰がとなえられているが、単に農業の産業化によって仕事を得るのではなく、農業と農村が本来持つ「なりわい」の中から、生活できるライフスタイルのあり方について意見交換した。3つの現地事例の報告とパネルディスカッションした。
シンポジウムのテーマについて、明治大学の小田切徳美教授が説明。同教授は、田園回帰が増えているにもかかわらず、農村人口が減少しているが、「人口減少下でも、内外の人を呼び込む地域をつくる」ことが大事とし、そのための〝地域磨き〟を課題として挙げる。そのために「ひと」「しごと」「まち」づくりの必要性を指摘。ここで挙げる「しごと」とは、単なる収入を得る場ではなく、農村での生活のあり方とであり、シンポジウムはここに焦点を当てた。
基調講演で筒井一伸・鳥取大学准教授は、「継業」という概念を提起した。新しいことに挑戦する「起業」ではなく、従来から農村にある民宿や民芸品製造などのしごとのことであり、いまそれらが高齢化によって消滅しようとしている。
つまりこれらのしごとは、「なりわい」であり、受け入れる農山村側にとってイメージしやすく、支援もしやすいというわけだ。事例としては少ないという問題があるが、同准教授は「継業の多様化が進めば、増えつつある現役世代の移住希望者のなりわいづくりの一つの受け皿になるのではないか」と言う。
このような視点に沿って、高知県四万十町の株式会社・十和おかみさん市(いち)の居長野信子社長が報告。野菜直売、加工品および料理、仕出し、学校給食へ食材提供、食育などに取り組んでいる女性のグループで、「一人ひとりの収入はわずかだが、お金に代えられない多くの大事なものを得てきた」と言う。
また、和歌山県田辺市で、人材育成や地域づくりにかかわるコミュニティ会社を立ち上げた農業法人株式会社・秋津野の玉井常貴社長は、「農業がないと地域はだめになるとの信念をもってないと、地域づくりはだめになる」と、地域で事業を展開する場合、その社会性が必要だとの考えを強調した。
愛媛県のJAおちいまばりの渡部浩忠常務は「強い志が地域を元気にする」で報告。同JAは、農産物の直売所や食堂、加工や貸農園、農作業支援などさまざまな事業を展開しており、「これから若い者が住みたくなるような地域づくりを目指し、JAでやれることはすべてやっていこうという姿勢で臨んでいく」と、地域における農協の役割を強調した。
パネルディスカッションでは、地域づくりの理念の共有化、組織や事業の継承、地域ビジネスのあり方、特にコミュニティとの連携などで意見交換した。
(写真)地方創生と「なりわい」のあり方を探ったシンポジウム
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