企業との連携進む新潟農業特区2016年4月20日
「大規模農業の改革拠点」として国家戦略特区に指定された新潟市の篠田昭市長が4月13日、東京都内でその成果を報告した。
国家戦略特区に指定されたのは平成26年5月。特区に認められた規制緩和を活用して農商工連携と6次産業化、食産業の集積・創造などを柱にした新潟ニューフードバレー構想を推進してきた。
農業生産法人の要件のうち「役員の1人以上が農作業に従事していればよい」との規制緩和でローソン(水稲)、新潟麦酒(養豚・豚肉販売、牧草栽培)、新潟クボタ(耕作放棄地での小麦生産、輸出用米)、JR東日本(市内農業者と連携した酒米生産と日本酒販売)などがそれぞれ特例法人を設立し生産、販売活動を行っている。コンビニや店舗など売り先が決まっていることで、設立に参加した農業者も安定した経営ができると評価しているという。特区に適用された農業生産法人の役員要件の緩和は、4月から全国に適用されている。
農用地区域での農家レストランの設置も認められたことから、自社で生産する市内産の牛肉を使ったステーキレストランや自社生産のイチゴ、トマトなどを使用したレストランもオープンした。観光にも結びつけ、アグリツーリズムのコースとしても位置づけているという。
ICTを活用するなどの革新的な農業技術開発への取り組みも始まっている。電通やパナソニック、ドコモなど市が連携協定を結び、湿地帯でも育成できる大豆の品種開発、クラウド型水田管理システムによるほ場管理の効率化の研究なども進んでいる。
篠田市長は「考えていた以上に"大地"には力がある。21世紀の暮らしは新潟にありをめざす」として田園の力を、子育て、教育、福祉、エネルギー問題など他分野へ活用する地方創生に取り組む意欲を話した。
企業の農地取得については「植物工場のような大きな投資が必要になる場合は、農地の所有が必要になるのではないか」として規制緩和の必要性を指摘した。
(写真)講演する篠田市長
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