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多様性に応える JAの総合事業 「内外に発信、奨励を」 モニク・ルルーICA会長インタビュー2016年5月17日

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 昨年11月にICA(国際協同組合同盟)の会長に就任したモニク・ルルー氏が5月15日に来日しJJC・日本協同組合学会共催のセミナーで講演したほか、福島県の視察や奥野JA全中会長ら日本の協同組合関係者との意見交換などを行った。15日には本紙などのインタビューにも応じた。ルルー会長は女性や若者、経験豊富な高齢者など多様な人材が参加する協同組合の特性を発揮することの重要性と、格差や貧困など厳しい問題が起きている今、国内外で協同組合が連携して存在感を示すことが重要などと指摘した。

--会長就任後初の来日です。

モニク・ルルー氏 就任後、すぐに訪日することが大変重要だと思っていました。というのも日本は協同組合にとっても重要な存在だからです。みなさんと議論してみたいことのひとつが協同組合はもっと連携する必要があるということです。日本のなかだけでなく世界で広く協同組合間の協同が必要だと思っています。世界には不平等や格差、あるいは若者の雇用問題、さらに高齢社会などの問題があり、協同組合がどんな役割を果たし、貢献ができるのか考えていきたいと思っています。

--グリーン会長に続き女性の会長就任です。協同組合にとって女性の役割をどうお考えですか。

 どんな場であれ男女の共同参画がよりよい結果を生み出すと確信しています。とくに男女ともに教育を受ける権利は担保されなければなりません。教育がスタートポイントになって社会人、プロフェッショナルとして十分に力を活かすことができるわけですから。まず教育を重要視しています。女性と協同組合の問題は非常に重要なテーマですが、私としては女性も男性もフルアクセスということをこれからも実践していきたいと思います。
 たとえば(会長を務めたカナダの協同組織金融機関の)デジャルダングループでは2013年の全国大会で5000人の理事の男女構成を50:50にしようと決め、2015年には女性理事が45%になりました。男女共同参画を進めるためにはやはりプログラムを作って意識的に進めていかなければなりません。
 組織には多様性が大事です。男女もそうですが、若い人、そして高齢の経験豊かな人があまねく働いていく。多様な人材が関わると会議でもいろいろ多様性のある話題を話し合うようになりましたし、バランスのとれた内容になってきました。
 とくに女性や若い人たちは専門的な知識や技術を持ち、さらに自らのネットワークをすでに持っているという人たちも多い。そういう人たちが理事会などに参画してくると周りのネットワークされた人たちも協同組合に参加してくれるかたちになりますから、組合員も増えるということにつながります。新しいネットワーク、新しいコミュニティも広がってきたという成果もでてきたということです。
 日本でも女性がきちんと力を発揮していると思いますが、もっときちんと認識される必要があります。そういう仕組みになればそれがまた組織の力になる。単協でも中央機関でも、女性がより重要な立場をもっと担っていかれることを期待します。
 私が協同組合が素晴らしいと思うのは、さまざまな事業をしてそこに人が参加しているということです。事業は農業や金融、あるいは消費生協、教育などいろいろですが、協同組合であるがゆえに老いも若きもみんな一緒に参加する。そこで学び合いが行われています。協同組合の素晴らしいところで、一般の私企業には見られないことです。
 この協同組合の事業モデルをどんどん世の中に知らしめる役割を担っていかなければなりません。
 私もこの秋に中国で開催されるG20にあわせて開催されるB20(注:ビジネスリーダーらの国際会合)に参加する予定ですが、日本の協同組合からも代表を送って発言していただきたいと思います。

--日本の農業協同組合は農業振興だけでなく、食農教育や高齢者福祉、さらには葬祭事業まで展開しています。日本の総合農協についてどう思われますか。

 まさに多様性ですね。私も以前のICA会合で説明を受けて感銘を受けており、大変いいことだと思います。ほかの国でも協同組合がさまざまな活動をすることを奨励したいと思います。今年秋のケベックでの協同組合サミットで、そういうテーマをセミナーのかたちで取り上げて日本の経験を発信してほしいと思います。優れたアイデアは1つの国に留めずにどんどん普及していってほしいと思います。
 世界はますます厳しくなっていろいろな問題が起きていますが、人間としては、やはり自分が信用できるいい組織につながっていたい、ということだと思います。それができているのが協同組合だと思います。そこに自信を持ち、さらに私たちはイノベーションを起こして新しい空間にも進出して新しいニーズにも応えられるような存在になるべきだと思います。

(モニク・F・ルルー)1954年カナダ生まれ。2008年から16年まで同国の協同組合組織金融機関デジャルダン・グループの会長を務めた。15年11月にICA会長に就任。

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